トップリーグ2021 第1節レポート(三菱重工相模原 7-75 サントリー)
ジャパンラグビー トップリーグ 2021 第1節 レッドカンファレンス
2021年2月21日(日)14:00キックオフ/神奈川・相模原ギオンスタジアム
三菱重工相模原ダイナボアーズ 7-75 サントリーサンゴリアス
1月16日に開幕するはずだった最後のトップリーグ。新型コロナウイルスの影響で約1か月遅れの開幕に、相模原ギオンスタジアムには、4058名の観客が集まった。神奈川県では、昨年2月16日以来のラグビーの試合に期待は高まる。
快晴の中、三菱重工相模原ダイナボアーズのキックオフで試合が始まった。
今季、世界トップクラスのプレイヤー、ボーデン・バレットを擁し、代表選手が数多くいるサントリーが牙を剥く。2分に13番ケレビが、5分に9番流が中央にトライ。わずか5分で得点は0対14となる。
反撃に転じたい三菱重工相模原ダイナボアーズは、13番リトルが個人技でタックラーを跳ね除けて左隅にトライ、難しい位置からのゴールを10番スレイドが決めて、観客席から歓声があがる。7対14。
今日の試合の見どころのひとつが共にNZ代表である両チームの10番の対戦である。しかしこのプレイで、13番リトルが脳震盪の疑いで一時退場となり試合に戻ることはなかった。
サントリーの攻撃は凄まじく、わずか1分で11番リーが左サイドを駆け上がり左中間へトライ。7対21。
攻撃力が高いチーム同士の激しいターンオーバー、目まぐるしくボールが動く。
ラインアウトからのこぼれ球を、10番バレットが素早く拾い突進、そのパスを三菱重工相模原がターンオーバーボールを繋ぎ、一気にゴールに持ち込んでトライかと思いきやトライにはつながらない。17分過ぎにこの日初めてのスクラム。敵陣5mでのチャンスだったがこれを活かすことはできない。逆にサントリー11番リーが自陣より独走し左隅にトライを決める。7対26。さらに5分後の33分にリーがこの日3本目のトライ。前半でハットトリックの達成。7対33。前半終了間際、攻め続けるサントリー、10番バレットが別次元のスピードでゴール前に飛び込みトライ。前半終了して7対40と点差を広げた。
後半はサントリーのキックオフから開始。
後半6分サントリーの連続攻撃、最後は右に展開してNo.8タタフが右中間にトライ。7対47。
その6分後、サントリー新人の14番中野がフィジカルを活かして中央にトライ。7対54。
アンストッパブルの異名を持ち走り出したら止まらないサントリー11番リーが、後半19分、32分にトライを決めて、この日だけで5本のトライを積み上げた。7対66。
後半終了間際、一矢を報いたい三菱重工相模原、敵陣5mまで攻め込むも、インターセプトを喫してサントリー15番尾崎が中央にトライ。7対75。試合終了。
優勝候補サントリーサンゴリアスは会心の勝利、三菱重工相模原には課題の多い試合となった。今後の巻き返しに期待したい。
サントリーサンゴリアス
ミルトン・ヘイグ監督
「プレシーズン6か月間で良い準備はしてきたので、開幕戦を良い形でスタートしたかった。そういう意味では良い結果がでた。当然まだまだ改善していかなければならないことはあるのだけれど、70点を越える得点、良いディフェンスも各局面で出ていたので良いスタートができたと思います」
──テビタ・リー選手への活躍・期待感はいかがでしょうか?
「ニュージーランドから戻ってきて、彼の身体がすごく仕上がっていた。まだ26歳と若いのですけど約8年間プロ選手として活躍していますし、ボールを持つと観客を興奮させるプレイヤーだと思っています。フットワークとかパワーとかスピードとか18歳の頃から見ていますけど、優れたところを持った選手だと思います。個人の目標としてもトップリーグのトップトライスコアラーとして活躍できるように今シーズン期待しています。今日、5回トライをとれたので良いスタートができたのではと思います」
──今日2年目を含めた4人の新人がデビューしたが、彼らの評価とバレット選手の評価を教えて下さい。
「開幕戦ということはありますが、5~6か月一緒にトレーニングしており、練習試合でも良いパフォーマンスをしていたので良い活躍をしてくれるのではないかと期待感はありました。しっかりと自分たちの役割を理解してベストなパフォーマンスをしてくれることを期待していたのですが、その期待に応えてくれたと感じています。
バレット選手については、やはりワールドクラスの選手です。ただ一人の選手に頼っていてはラグビーというチームは機能しないと思っています。チームとして彼がしっかりとパフォーマンスを発揮できるように、先ほど中村キャプテンも言っていましたが、協力しながら良いコンビネーションを発揮できるようにする。前キャプテンの流も非常に協力してくれており良いパフォーマンスにつながっている」
中村 亮土キャプテン
「チームとしては良いスタートが切れたと思います。ただ、まだ1試合終わっただけなので、毎週毎週良い準備をして、積み重ねて次戦に備える」
──中村選手の存在感を感じたが、バレット選手がいることでご自身への影響・チームへの影響をどう感じましたか?
「10番としてしっかりとゲームをコントロールしてくれる事とランナーとしてもとても優秀なので、彼についていきながら、お互いをサポートしていきながら、チームをリードしていけたらと思っています。今日は全体として良くできていたと思うのでこれからも同じようにしていきたい。これからもバレット選手にプレッシャーがかかっていくと思うので、そこをサポートして一緒にやっていきたいと思います」
ボーデン・バレット選手
「やっとトップリーグが開幕戦を迎えられました。サントリーサンゴリアスのチームメイトと戦えたことが感慨深いです。やはりファンの人たちの前でプレイできることに喜びを感じます」
──公式戦でプレイすることによりどんな発見がありましたか?
「本当に日々改善し、向上できるように意識してやっているのですが、その中で良いことも悪いことも試合によって起こると思います。今のところチームメイトと試合の準備をして、毎日過ごしていることが非常に楽しくて良い経験ができていると思います」
──対面がオールブラックスのコリン・スレイド選手でしたが、いかがでしたか?
「対戦できて良かったと思っています。すごい能力の高い選手です。ただ自分の良い形でボールを持つ機会がなかったですが、良いランニングもしていました。一緒にプレイできて良かったです」
──ダンカーター選手の引退について、バレット選手はどういうお気持ちですか?
「すごくラグビーに対して与えてくれた影響が大きい選手であって、世界でもNo.1、ベストな選手だったと思っている。個人的にも昨日引退のニュースを聞いて、メッセージをお送りしました。一緒のチームメイトとしてもプレイしましたし、対戦相手としてもプレイしました。とても学ぶことが多く、小さい頃から尊敬し、そういう選手になりたいと思っていました。彼の功績はこれからも残っていくと思います。残念なことではありますが、とても学ばせていただきました」
──最後のトップリーグに臨むにあたって何かテーマはありますか?
「優勝というのはあります。またプレイヤーとしても日々向上したいという思いでやっています。最後のトップリーグで素晴らしい経験を一緒に共有したいと思っています」
中野将伍選手
「サントリーサンゴリアスとして初めての公式戦でしたので、思い切り自分の持ち味を出して思い切りプレイするぞと意識して試合に臨みました。ミスもあり良い点もあったので次の試合までに精度を上げていくことが課題です」
──中野選手は大学時代センターで出場されていたが、サントリーでウイングでの起用が増えていますが、いかがでしょうか?
「初めてのポジションだったので最初はうまくいかない部分もありましたが、練習・練習試合をする中で、自分の持ち味であるフィジカル・突破力を活かせるように周りとコミュニケーションをとっています。ウイング・センターでも出場できるように準備し、自分の持ち味を発揮したい」
三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレッグ・クーパー ヘッドコーチ
「最初にサポーターの皆様、応援ありがとうございます。残念な結果に終わってしまいましたが、次の試合に向けて進んでいければと思います。初戦で強いチームと当たりたくさんの課題が出て多くのことを学びました。ポジティブにとらえ、課題を修正して次の試合に臨みたいと思います」
──対戦相手との差というのはどう感じましたか?
「サントリーは強いチームであると分析し、気持を入れないといけないと自分たちで思っていましたが、それを出すことができなかった」
──マイケル・リトル選手のトライは、チームにとってどんな影響を与えましか?
「マイケルは1対1での攻撃は世界でもトップクラスであると思う。チームとして盛り上がったが、彼が欠場したことは残念。しかしチームとして同じパフォーマンスを維持しなければならない」
──(相手の)バレット選手とコリン・スレイド選手について。
「両スタンドオフとも強いパフォーマンスを出したと思いました。二人ともワールドクラスの選手で、こういう場面でプレイするのは貴重だと思っていますし、バレット選手は、きちんとしたプラットフォームの中で戦えていたので勝負しやすかったのではと思います。スレイド選手も勝負できたのですが、もう少し良いプラットフォームを彼にあげれば、もっと良いパフォーマンスができたのではと思います。継続していきます」
トーマス優デーリックデニイ キャプテン
「今日は開幕戦で多くのファンの方に足を運んでいただき感謝いたします。ただ残念な結果となり、これをしっかりと受け止めて、来週の試合に向けて課題を修正して準備したいと思います」
──対戦相手との差というのはどう感じましたか?
「サントリーのラグビーは理解していたが、自分たちのリズムですることができなかった。これが残念。強いチームであるけどウィークポイントはあった。もっと自分たちから仕掛けていかなくてはならない」
──マイケル・リトル選手のトライは、チームにとってどんな影響を与えましか?
「トライを取った時はチームが良い感じになっていたが、彼が欠場して、彼一人ではないチームであることを、全員で戦い続けるようにしていかなければならない」
──(相手の)バレット選手とコリン・スレイド選手について。
「バレット選手をはじめ良い選手がサントリーにいることは理解していて、バレット選手の強いランニングを消せば良かったと思っていたのですが、局面でできなかったことがありました。相手の強いところを消せば自分たちのリズムにできると思っています」
──次戦に向けての意気込みと地元ファンへのメッセージをお願いします。
「残念な結果になってしまいましたが、まだまだ私たちの実力を出せると信じています。地元のファンの皆様も引き続き応援を宜しくお願いします。それが私たちの力になります」
安江祥光選手
「コロナ渦の中で、トップリーグが開催できたことを本当に選手として皆様のご尽力のお陰だとすごく感謝しております。ただチームの結果に関しては、しっかりと受け止めて次節に向けて反省しなくてはならない部分があったことは凄く収穫だと感じております」
──開幕戦サントリーに向けての準備と今日の試合での課題を教えて下さい。
「FWに関しては、現代ラグビーにおいてセットプレイというのはすごく重要視されている。一人一人が自覚を持って遂行していく、ラインアウトしかりスクラムしかりという部分でサントリーと戦うためにはそこを強化しなくてはならないことを念頭において練習をしていました。今回の試合で学んだ収穫は、セットプレイの安定と共に、相手の強みであるプレイをさせないようなセットプレイづくりという部分を次回の反省に活かしていきたいと思います」
コリン・スレイド選手
「こんにちは。ここまでハードなトレーニングをして負けたことは悔しい。やはりサントリーは良いチームだと思います。課題をきちんと修正して次の試合に臨めるように頑張っていきたいと思います」
──開幕戦サントリーに向けての準備と今日の試合での課題を教えて下さい。
「1月開幕に合わせて順調に準備し、皆ワクワクしてエキサイティングだったのですけど、延期となって雰囲気が落ちたというのではなく変わったなと感じました。でも順調に準備は行っていました。今日の試合の課題は、ディフェンスだと思っています。1対1のタックルやアタックからディフェンスに切り替えるときの速さが課題だと感じました。バレット選手など50~60mの簡単なトライを許していた。そういう簡単なトライをさせないようにコツコツと粘り強くディフェンスをして相手のミスを誘う。今後も我々自身、努力しないといけないと思いました」