トップリーグ2021 第3節レポート(NEC 31-59 ヤマハ発動機)

ジャパンラグビー トップリーグ 2021 第3節 ホワイトカンファレンス
2021年3月6日(土)12:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場
NECグリーンロケッツ 31-59 ヤマハ発動機ジュビロ

NECグリーンロケッツ

NECグリーンロケッツの左から滝澤選手、中嶋共同キャプテン、浅野ヘッドコーチ

NECグリーンロケッツの左から滝澤選手、中嶋共同キャプテン、浅野ヘッドコーチ

浅野良太ヘッドコーチ

「第3節に初めての東京開催となりましたが、この試合の準備をしていただいた皆様に感謝申し上げます。非常に厳しい状況下、我々に最善の試合環境を与えていただき本当にありがとうございます。スタンドに来ていただいたファンの方々、また、テレビの前を含め多くの方々に応援していただく中で試合ができましたことに感謝します。試合については、ヤマハさんのボールをヨコに広げてくるアタックに対して、どれだけウチがディフェンスできるかが今日のテーマでした。前半開始早々にスコアできましたが、準備してきたことが通用するということで選手達は自信になったと思います。しかしその直後にキックチャージからトライを取られたこと、また、後半の開始直後にも同じように得点されたことなど、ゲームを構築していく上で自分たち自身で崩してしまったことは非常にもったいなかったと思います。ここができるチームはこのレベルで勝つチームだと思いますが、我々はその準備をしっかりしていきますし、一つのミスをなくす、また、やりきるというところにこだわりを持って、次週の柏の葉でのホームゲームでは絶対に地元での勝利を取りたいと思います」

──後半、立ち上がりにトライを取られましたが、そのあと、流れをつかみかけそうになったシーンもありました。

「ハーフタイムには1トライ差(7点差)まで戻しましたが、後半、立ち上がりにヤマハにスコアされてしまいました。ウチにケガ人が出るなどして、ゲームの組み立てが難しくなったのは事実ですが、一つ一つのプレーが試合を左右するところ、また、逆に、前半終盤に2トライ取った時間には我々はペナルティを犯さずにアタックできていたところもありました。そのような意味でも、後半最初の失点はゲームの組み立ての意味で、ゲームの流れに影響したプレーでした」

中嶋大希 共同キャプテン SH

「秩父宮でこの観客数の中で試合ができたこと、関係者の皆様、ありがとうございました。試合については、ヤマハは他のチームとは少し違ったアタックをしてきますので、2対1でどういうふうにディフェンスをするかをチームでしっかり考えて対策してきました。しかしそれをやりきれなかったというディフェンスの部分、特に真ん中に強い選手がいてその選手を抑えきれないというところで僕らのシステムをやりきれず、相手を自由に動かせてしまい簡単にトライを取られてしまうという悪い流れになりました。しかし、フォワード、バックス一体となったいいプレーも多く見られ、そこからトライに繋がったシーンもありましたので、そこには自信を持っていきたいと思います。今日の試合結果はがっかりするものではありますが、次に繋がるプレーも多くあったので、下を向かずに次の試合に向けてまた頑張っていきたいと思います」

──今日はブレイクダウンでターンオーバーされることが多かったと思います。これはヤマハにはブレイクダウンに強い選手が多かったこともありますが、どのように考えていますか?

「たしかにブレイクダウンではヤマハにプレッシャーを受けることが多くあり、ボールをテンポ良く展開できなかったり、ペナルティを取られたりというシーンが多くありました。選手同士で話し合い、ハーフタイムにはしっかり修正し、確実にボールを出していこうとして、後半には多少は良くなりましたが、まだ、アタックのリズムを掴みきれませんでした。そこは課題だと思います」

滝澤直選手 PR

「今日は秩父宮で試合ができたことに感謝します。試合内容については、監督、中嶋キャプテンの言ったとおりですが、言えることは『僕達はもっとできるのにできなかった。そこに何か理由がある』ということです。そこを詰めていかなければいけないと思います」

──バックスリーはヤマハを上回るスピードもあり、いいトライが取れていました。SOグッド選手のパスも良かったですが、滝澤選手いかがですか?

「僕がアタックのことを語るのもおかしいですが、グッド選手のパスを起点にうまくアタックできたところも多かったと思います。練習してきたことも練習していなかったことも試合に出ましたがボールが動いている間はいい攻撃ができたと思います」

──後半の最初には、スクラムをかなり押せていたと思います。しかし、その後、アーリープッシュを取られるなどセットプレーでのリズムが出ませんでしたが?

「今日は前半最初のスクラムで相手にボールを取られてしまいましたが、そこが一番の勝負所だったと思っています。後半、修正でき我々からプレッシャーを掛けられると思い、いいスクラムが組めました。レフリーの笛に対してうまくできなかった点もあったと思います。全体としてスクラムとしてはうまく組めたとは思いますが、最後、結果につなげられなかったと思います」

──後半、スクラムから『何が違うの?』という声がNECフォワードから聞こえましたが?

「僕はそんな言葉は言っていなかったと思いますが、我々がアーリープッシュを取られましたが、ヤマハがそれと同じようなプレーがあったときに笛が吹かれなかったことについて選手が言ったものと思います。あまりそのような声を出すのは良いこととは思いませんが、真剣に組んでいるのでつい気持ちが出たのだと思います」

──大学時代からの先輩の五郎丸選手が今年で引退と宣言しての直接対戦の試合となりましたが?

「五郎丸さんは大学での先輩ですが、もう10年くらい一緒のチームではやっていません。五郎丸先輩は日本ラグビーに大きく貢献された方であり、その五郎丸先輩=ゴローさんと試合ができたのは嬉しく思います」

ヤマハ発動機ジュビロ

ヤマハ発動機ジュビロの堀川監督兼GM(右)、大戸キャプテン

ヤマハ発動機ジュビロの堀川監督兼GM(右)、大戸キャプテン

堀川隆延 監督兼G.M.

「久しぶりにコンディションの良い秩父宮で選手達がプレーできたことに感謝いたします。先週の(リコー戦での)敗戦を受けて、今日は自分たちのプライドを取り戻す試合にしたいと臨みました。勝点5を上げる勝利をすることができ満足できる結果でしたが、内容としてはまだまだ成長が必要な部分がたくさんある内容でした。特に前半のラスト5分でNECに2トライ、後半のラスト10分で2トライ、計4トライを許してしまいましたが、我々が今年強みにしてきた時間帯で失点を重ねたことについては、次に向けてしっかり修正していきたいと思います」

──戦術的な質問ですが、先週の敗戦後、グラウンドでのプレーとしてはどのような点にフォーカスして1週間準備してきましたか?

「アタックとディフェンスと、それぞれとありますが、メンタル的には次のことを考えない。つまり、目の前の瞬間瞬間でやるべきことにフォーカスすることが大事なことだということ。アタックに関しては外側に激しく前に出てくるディフェンスに対して、前回のゲームではボールを下げてしまったのでボールを下げないために何が必要かを考えて1週間取り組みました。今日はその点ではスペースにボールを動かすことがしっかりできたため、得点を重ねることができたと思います。そこは評価したいと思います。また、ラインアウトでは相手が準備してきたプレーに対して、相手の1つ目のトライは許せるとしても、2回目3回目と相手の動きを見てアジャストできなかったところはやはり経験不足もあると思います。この点はいい課題をもらったと考えています。次のキヤノン戦に向けて、何をどうすればいいのか、選手としっかりコミュニケーションをとって改善していきたいと思います」

──今年はフォーマットが変更になったこともあり、トップリーグのチームはカンファレンスの8チーム全てがトーナメント戦に進めます。したがってカンファレンスの順位に影響する勝ち点にはそれほど重視しなくてもいいスキームになっています。その中での戦い方で、シーズンを通して若手をどう育てるか、など選手の起用法についてはどのように考えていますか?

「質問ありがとうございます。ご指摘の通り、勝ち点は重要でないかもしれませんが、やはり私たちは日本一を目指してやっている中で、勝ち方にもこだわってやっていきたい、また、自分たちのスタイルを信じ切って勝ち点5を取り切ることがチームの自信につながることもありますので、そこはしっかりこだわっていきたいと思います。第1戦、2戦、3戦とメンバーが替わっていますが、若い選手を思いきって起用するようなゲームも必要です。第2戦では敗戦となりましたが、練習で成果を出している調子のいい選手にはこれからもチャンスを与えていきたいと思います。今日は五郎丸選手が久しぶりに先発しましたが、ベテラン選手もコンディションのいい選手に関しては、バランスを見ながら起用していきたいと思います。

──五郎丸選手の今日のプレーについての評価は?

「僕は100点満点中の80点、90点くらいの出来だったかなと思います。100点を出すのは難しいと思いますが、今日一番大事なことはしっかりエリアを取っていく、また、前半最初の20分でしっかりゲームをコントロールすることが重要でした。そこでの五郎丸選手のリーダーシップ、パフォーマンスは良かったと思います。これからの試合も期待できると思います」

大戸裕矢キャプテン LO

「コロナ禍の状況下で試合を開催していただいた協会関係者の方々、また今日、観戦しに来ていただいた観客の皆様に感謝いたします。先週のリコー戦で負けてから自分たちがどう変われるか、どう成長できるかというところに1週間フォーカスして今日の試合に臨みました。マインドのところは先週に比べて成長できたと思います。監督も言いましたが、試合の内容についてはまだまだ伸び代があると思います。来週は、ホームのヤマハスタジアムでの試合(キヤノン戦)になりますので、ヤマハらしいいい試合ができるようにいい準備をしていきたいと思います」

五郎丸歩選手 FB (マン・オブ・ザ・マッチ)

五郎丸選手

──今シーズンでの初出場となりました。五郎丸選手は今シーズンで引退されることを表明していますが、どのような気持ちで今日の試合に臨みましたか? また、今日のパフォーマンスについてはご自分で振り返っていかがですか?

「ヤマハとして、リーグ戦(ホワイトカンファレンス)での東京の試合は今日の1試合しかありませんので、今日は非常に気持ちも入っていました。それ以上にチームは先週のリコー戦で負けてしまい、チームをどう立て直すかにフォーカスして今週1週間準備して臨んだ試合でした。結果は非常にいいかたちでリカバリーできたと思います。次のキヤノン戦に備えてチームがもっともっと強くなるよう邁進していきたいと思います。先週はあまりキックを使わずにアタックし続けた試合でしたが、しっかりとキックを蹴って敵陣でのセットピースで戦えるチャンスを作るというのがヤマハのスタイルだと思います。今日は、その原点に立ち戻ったという感じでした」

──最初の2戦では五郎丸選手はメンバーに入りませんでした。そのチームの中で五郎丸選手はどのような役割を果たすことを意識してやっていましたか?

「2節ともメンバーからは外れましたが、まずは自分がしっかりとしたパフォーマンスが出せる準備を今までと変わらずやっていました。そこは特別に何かしたことということではなく、これまで続けてきた準備を3週間しっかりと続けた結果を今日出すことが出来たと思います。トップリーグの開始が1月開始予定から延期になったことは、僕だけでなくトップリーガー全員にとてもショックだったと思います。延期の発表も試合開始時期にかなり迫っていた時期でしたし、昨シーズンは途中で中断となったことも少し頭によぎりました。しかし、プレーはしっかりできていますし、多くのお客様にも試合に来ていただいている中でプレーできることは非常に嬉しいことです。僕個人の引退にはあまりフォーカスせずに、チームがどうやったら勝てるのかにしっかりフォーカスしていくべきことが自分のスタイルだと思います。
私がヤマハに入ってから日本選手権では日本一を取りましたが、トップリーグでのチャンピオンはまだ取れていないのでこのラストチャンスのシーズンにチーム一丸となって結果を残したいと思います」

──珍しいことですが、五郎丸選手は引退を宣言してからのシーズンとなりました。五郎丸選手はご自分をコントロールすることには長けていると思いますが、このシーズン限りということで練習や試合では何か違いはありますか?

「今年をラストと決めていますから、試合メンバーに入らないときにノンメンバーと一緒にトレーニングするときでも非常にポジティブにトレーニングできます。ネガティブなことでもポジティブなことでも、全てを楽しめている時間を過ごせていると感じます」

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