トップリーグ2021 第4節レポート(三菱重工相模原 26-26 NTTコ厶)

ジャパンラグビー トップリーグ 2021 第4節 レッドカンファレンス
2021年3月14日(日)14:00キックオフ/神奈川・相模原ギオンスタジアム
三菱重工相模原ダイナボアーズ 26-26 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス

北風強く吹く相模原ギオンスタジアム。風上に陣を取った三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下ダイナボアーズ)は前半有利にゲームを進めたい。一方風下のNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(以下シャイニングアークス)、前半は我慢し後半の勝負に持ち込みたいところだ。

前半、お互いに激しいプレッシャーをかけ、なかなかゲインラインを突破できない。またハンドリングミスや反則を犯し、思うような展開ができない両チーム。ゲームが動いたのは16分、ダイボアーズが得たPKから相手陣内のラインアウトからゴール前攻撃、ラック連取の攻撃で最後はWTB山本が飛び込んでトライ、5-0と均衡を破った。
29分にはCTBリトルのキックからまたしてもWTB山本がキャッチしてトライ、ゴールも決まり12-0とした。その直後、ダイナボアーズ陣20m付近、ダイナボアーズバックスのパスタイミングが悪く、シャイニングアークスWTB張にインターセプトを許しゴールに飛び込みトライ(ゴール成功)、12-7で前半を終えた。

後半に入って先にスコアしたのはシャイニングアークスだ。6分相手ゴール前で攻撃のフェイズを重ね、最後は途中出場の20番鶴谷がトライ、ゴールも決まり12-14と逆転した。その直後、ダイナボアーズCTBリトルが鋭い突進でディフェンスを砕きチャンスを作りSOスレイドがトライ、ゴール成功で19-14と再びリードをする。
お互い決定的なチャンスが来ない状況が暫し続く中、17分自陣15m付近のラインアウトから出たボールを回しシャイニングアークス14番WTB石井が2本目のトライで19-21(ゴール成功)と逆転した。
勢いづいたシャイニングアークスは19分相手陣15m付近からのキックパスをFBマフーザがキャッチし、WTB石井にボールを繋ぎ、またしても石井選手がゴールに飛び込んだ。これで19-26、残り10分、最後まで目の離せない展開だ。

だが31分、ダイナボアーズは相手陣10m付近のラックからサイドを途中から出場した18番ブイが見事に抜け出しそのままトライ、ゴールも成功し26-26になった。
残り1分、シャイニングアークスのトライかと思われたが、キックオフサイドと判定され勝利の女神はどちらにも微笑みを与えず引き分けでフルタイム。命拾いで引き分けのダイナボアーズ、一方スクラムではプレッシャーをかけたがブレイクダウンでの反則が響き、流れがつかめず悔しい結果となったシャイニングアークスだった。

ダイナボアーズはサントリー戦での敗戦後、悔しさをバネにチーム力をステップアップし、まとまって来たようだ。フィットネス中心に準備し、個々の役割を果たし、しっかりパフォーマンスを出した一戦だった。最後に記すなら、リトル選手は、世界規格のプレーヤーだと改めて地元ファンにも印象付けたことである。

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス

NTTコミュニケーションズシャイニングアークスのリースエドワード ヘッドコーチ(右)、中島進護 共同キャプテン

NTTコミュニケーションズシャイニングアークスのリースエドワード ヘッドコーチ(右)、中島進護 共同キャプテン

ヒュー・リースエドワード ヘッドコーチ

「勝つべき試合を落としてしまったことは苦い経験で、がっかりなことではありますが、試合中にうまくいっていなかった部分が結構あります。例えばブレイクダウン、ラインアウトなどがうまくいっていなかったので、修正しなければなりません。オフの期間が少しあるので、そこをはさんで自分たちのミスを修正してチームとして前進して次の試合に向けて準備をしたいと思います」

中島進護 共同キャプテン

「ヘッドコーチが言ったように、ここで落とせない試合を落としてしまって、自分たちとしてはスクラムだったり、セットピースのところで細かいミス、反則。あとブレイクダウンの時の反則などが自分たちの課題だと思った。特別何かを変えるのではなく、今までやってきたことができなかっただけなので、そこをしっかり次の試合に向けて修正していきたいと思います」

──ペナルティが多かった原因は。

「ブレイクダウン周りだったり、本当に細かいところを自分たちで修正していく必要があると思います」

左から石井選手、目崎選手、前田選手

左から石井選手、目崎選手、前田選手

目崎啓志選手

「今日の結果はシャイニングアークスにとって望んだものではなかったですけど、三菱さんのディフェンスがうちに対してしっかりと対策が練られていたなかで、自分たちの力が発揮できませんでした。ポジティブなところとネガティブなところをしっかりチームでとらえて、最終的に決勝トーナメントをしっかりと勝ち上がれるように結果を出していきたい」

──決勝トーナメントへの意気込みを教えてください。

「残りの試合で自分たちの形をつくっていかなければならないと思います。今回引き分けという結果に一喜一憂するわけではなく、ここでいくら良いラグビーをしても決勝トーナメントを1回戦で負けてしまったら意味がない。最終的にチームとしてトーナメントで勝つことが目標です。残り試合で良いパフォーマンスを発揮したい。自分たちがチームとして力があることは一番わかっていますが、まだその力が発揮できていない。一貫性をもってチーム一丸となってやっていく」

前田土芽選手

「アタックしていく中でリズムをつくるということだと思うのですけど、次に仕掛けたり、次にトライを狙う中でミスを起こしたり、反則をしてしまって、なかなかリズムにのれないシーンがあった。ブレイクダウン周りもすぐに倒れないとか、早くサポートするとか、基本的なことをもっともっと突き詰めていかないと、今後キツイかと思うし、ディフェンスに関しても相手のキーマンに走られすぎた。そこで相手の勢いがつくので、そこを抑えていかないと、強いディフェンスにつながっていかないと思う。そこを突き詰めていくしかない」

──スタンドオフになられて2戦目。手ごたえはいかがですか?

「自分の役割はボールを回す、システムを機能させること。前回のクボタ戦・三菱重工戦でもそうだったのですが、外側から上がってくる相手に対してうまくしていきたい。ボールを大きく動かしたいと思います。手ごたえは、もっとできるかなと思っています」

──スタンドオフは小さい頃も含めて初めてですか?

「まったく初めてです」

──世界のスクラムハーフ・レイドロー選手について一言お願いします。

「まさか1年前には彼と一緒にプレイするとは思っていなかった。毎日勉強になっている。ずっと同じことを安定してやれる選手で、波がない。そしてコミュニケーション能力が高い。僕も彼に対してもっとコミュニケーションをとっていかなくてはならないと思います」

石井魁選手

「まさに二人が言ってくれたこと。僕たちは試合が終わったので、次に向けてやっていければと思います」

──チームが劣勢の時に1つ目のトライを決めた時の気持ちを教えて下さい。

「劣勢だったので、自分たちに活路を見い出したいと思っていました。外側にスペースがあったのでクリエイトできた結果がトライにつながりました」

三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズのクーパー ヘッドコーチ(右)、ベッドウェル-カーティス ゲームキャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズのクーパー ヘッドコーチ(右)、ベッドウェル-カーティス ゲームキャプテン

グレッグ・クーパー ヘッドコーチ

「サポーターの皆様に本当に感謝しております。我々の力に繋がり本当に感謝しております。今週は特にステップアップしました。選手全員が勇気を出して良いパフォーマンスを出したと思います。本当は勝ちたかったが、良い結果だと思います。先週の東芝戦は苦しい戦いだったが、それを乗り越えて良いパフォーマンス。チームの結束力が増してワンチームとなって成長したことが良いと思います」

──ディフェンスが機能していたかと思うのですが、どのように評価をされていますか?

「ディフェンスの向上はしたと思います。簡単なトライを許してしまったのですが、チーム全体、気持ちと勇気をもってプレイしました。特にゴールラインの守備はよかったと思います」

──マン・オブ・ザ・マッチを獲得したマイケル・リトル選手はチームにとってどんな存在ですか?

「残念ながら2試合出場していなかったのですが、ワールドクラスなラグビー選手。1対1で勝負できる選手。本当に大きな存在だと思います。来週に向けて良いパフォーマンスを出してもらいたい」

──最後の場面、攻めてもいいのでは? と思ったのですが、どういう理由で蹴りだしたのでしょうか?

「スクラムならば攻めたいと思ったのですが、ラインアウトだとボールロスのリスクがあります。選手に任せていたのですが、勝ち点2を得たことは良い判断だと思っています」

ヘイデン・ベッドウェル-カーティス ゲームキャプテン

「過去と比べて今週は良い結果がでている。毎週毎週少しずつステップアップしている。チーム全体が、フォワードとバックスが良いコンビネーションで合わせられ良い結果に繋がったと思います」

──ディフェンスが機能していたかと思うのですが、どのように評価をされていますか?

「今週の練習で心掛けたのがセットピースのディフェンス。そして外から上がってくる選手のディフェンスを集中してやってきました。ゴールラインで止められるのは、気持ちと勇気を示せている証拠で、それが毎試合続けられたら素晴らしいと思います」

──最後の場面、攻めてもいいのでは? と思ったのですが、どういう理由で蹴りだしたのでしょうか?

「試合前にコーチとリーダーとこの状況でどうしたら良いか話し合いました。グラウンド上は向かい風で、ラインアウトの成功率はフィフティフィティだったので、リスクを冒さず勝ち点2を取ったほうが良いと判断しました」

左から小林選手、リトル選手

左から小林選手、リトル選手

小林訓也選手

「以前NTTコムに7年間所属していたので(対戦を)楽しみにしていました。前回サントリー戦のホームの試合であまり良いプレイができなかったので、今日の試合への意気込み・気合を入れて臨みました。その結果がスコアに現れたと思っています。勝ちたかったですけど、チームのパフォーマンスには満足しています」

──ゴール前での粘り強いディフェンスが引き分けに繋がったのでは?

「トライラインを越えさせない。何回か越えられましたけどグラウンディングさせない。そこを粘れたのが良かったと思います。手を入れたり、身体を入れたりしてトライをさせなかったことが、この結果に繋がったと思います」

マイケル・リトル選手

「やっと皆さんの前でプレイできたことが嬉しいと思います。サントリー戦のような良くない結果でなく、ホームゲームとしてまずまずの結果が出たと思います」

──今日までにどういう準備をして試合に臨まれたのでしょうか?

「準備の面は、フィットネス。たくさん走ることを中心に練習をしてきました。やはり試合とは比較できない。NTTコムのワールドクラスの選手とぶつかり合うことを意識していました。その局面で自分の役割を遂行することを心がけていました」

──今日の試合でどこか怪我をされたのでしょうか?

「久しぶりにコンタクトを再開して打撲しました。しっかり治して次の試合に備えたいと思います」

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