トップリーグ2021 第5節レポート(パナソニック ワイルドナイツ 62-5 NECグリーンロケッツ)

ジャパンラグビー トップリーグ 2021 第5節 ホワイトカンファレンス
2021年3月28日(日)13:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場
パナソニック ワイルドナイツ 62-5 NECグリーンロケッツ

NECグリーンロケッツ

NECグリーンロケッツの左から、亀井 共同キャプテン、瀧澤選手、浅野ヘッドコーチ

NECグリーンロケッツの左から、亀井 共同キャプテン、瀧澤選手、浅野ヘッドコーチ

浅野良太ヘッドコーチ

「今日もコロナ禍の中、会場に本当に多くの方々に来ていただき、緑のジャージを応援していただきありがたく思います。今日の試合ではNECの中心選手としてずっと活躍してくれている瀧澤選手がトップリーグ100キャップを達成しました。瀧澤選手に、あらためて『おめでとう』『ありがとう』という言葉を贈りたいと思います。瀧澤選手は長年にわたり1番、あるときは3番もやってきました。すごく前向きにチームのことを考えてくれている選手です。その中でチームのキャプテンも務めてくれました。非常に経験値の高い、貢献度の高い選手です。瀧澤選手のトップリーグ100キャップ目の試合でもあり、今日の試合は勝ちたかったのが本音ではありますが、今日は瀧澤選手のこれまでの貢献に感謝を申し上げたいと思います。また土井貴弘選手(PR)も今日の試合でNECの100キャップ達成(注:トップリーグ以外の試合を含む)しました。この2人ともチームへの大変な功労者です。この場を借りて皆さんにご報告させていただきます。ゲームに関してはセットプレー、ブレイクダウンのところで勢いを作れませんでした。パナソニック相手に得点することはとても難しいことはわかってはいましたが、それでも勢いをつけようとした中で、(勢いを)消されてしまい、このスコアに反映されたと思います。しかし、選手たちは非常に前向きに何かを変えようと続けていますし、来週もまた秩父宮でリコー戦があります。ぜひ1勝して、我々の成長に繋げていきたいと思います」

亀井亮依 共同キャプテン FL

「試合についてはスコアの通り完敗でした。僕たちとしては、チームとしてこれまで敗戦が続いていた中でマインドとしても厳しい状況ではありましたが、この1週間、選手たちで一体となっていい準備をしてきました。準備したものをしっかり出しての結果だと思います。現実は厳しいですが、あとリーグ戦残り数試合とトーナメント戦になります。応援して下さる皆様も多くいらっしゃいます。外から見ると『連敗して何してんねん』とか言われることもあるかと思いますが、僕らはしっかり前を向いて、いい準備をして次の試合に臨みたいと思います」

──『準備したものは出せた』と言いましたが、これはディフェンスのことも含めてだと思います。やってきたことを出し切っても、結果としてスコアは開いてしまったのはどういったところに原因があると思いますか?

「アタックでもディフェンスでも、トータルして見ると、自分たちがアタックできている時間は短くなってしまいました。いいボールキープをすることで、いいセットプレーから、また、ファーストフェイズから自分たちが攻撃する時間を長くすることができていませんでした。そこが一つ、スコアできていない原因だと思います。セットプレー含め、準備はできていましたが、ボールキープしてそれをスコアに繋げることができていなかったというところです」

瀧澤 直選手 PR (この日でトップリーグ100cap達成)

「コロナ禍もある中で、今日、試合ができたことをありがたいと思います。100キャップではありますが、ここまで来られたこと、自分だけでなく多くの方々に連れて来てもらったという思いがあります。こう言うのも変ですが、皆さんに『おめでとう』という気持ちですし、ただ連れて来てもらったことに感謝したいという気持ちが試合前には一番大きかったです。もちろん、私個人としては嬉しいですし、ひとつの節目を達成できたのは皆様のおかげだという実感はあります。一番にはチームとして連敗が続いているので、100キャップというより、今日の試合に勝ちたいという気持ちで試合に臨みました。しかし、今日の試合は結果としては点差が広がってしまったので、一人の選手としてはもっといい試合をしたかったという気持ちはあります」

──亀井キャプテンが『準備したものは出せた』と言いましたが、これはディフェンスのことも含めてだと思います。やってきたことを出し切っても、結果としてスコアは開いてしまったのはどういったところに原因があると思いますか?

「準備してきたことをやろうというチャレンジする気持ちはすごくありました。いろいろなことを準備してきましたし、試合中に選手同士でコミュニケーション取って修正しようというポジティブなコミュニケーションはできていました。結果に繋がらなかったのは間違いありませんが、ポジティブなチャレンジ精神の火種のようなものはあったと感じます。ただ、小さなところかもしれませんが、全ての面で少しずつ相手に上回られたという印象です。そういうところでインターセプトされたり、60-70m走られたり、ということになり点差が広がりました。しかし、やっていて点差ほどの力の差があるかということではなく、小さなところでの差の積み重ねでスコアが開いたという印象ですので、まだまだ自分たちもやれると感じています。モールでは自陣で相手に押し込まれたところでトライされ、また、敵陣でのモールでは押し切れずトライに結びつけられなかったのは反省点です。ただ、最後行けるというところでペナルティをもらったところでもモールで押し切れなかったところや、逆にパナソニックは攻め込んだところでしっかりモールでトライに繋げたところなどではパナソニックはよくマネジメントができているなと思いました。技術的なところの反省点はたくさんあります」

パナソニック ワイルドナイツ

パナソニック ワイルドナイツのディーンズ監督(右)、坂手キャプテン

パナソニック ワイルドナイツのディーンズ監督(右)、坂手キャプテン

ロビー・ディーンズ監督

「今日の選手たちのパフォーマンスに非常に満足しています。スタンドから見ていては分からなかったもしれませんが、試合前に降っていた雨でグラウンドコンディションはボールが滑りやすいところもありました。スタートはもちろん、難しい立ち上がりになると思っていましたが、我々の欲しい結果が得られましたし、またプレーの精度を維持して戦うことができました。選手たちはとてもよかったです。ヒーナンダニエル選手(LO)は今年初めて試合に出ましたが、長い試合ブランクにもかかわらずいいパフォーマンスができてうれしく思います。藤井大喜選手(PR)は本日(トップリーグ)デビューを飾ることができました。彼のキャリアが今日スタートできたことを嬉しく思います。(横にいる坂手主将の肩に手を掛けて)キャプテンも今日、非常に良くやってくれました」

──今日、ハットトリックを達成した福岡堅樹選手(WTB)のパフォーマンスはいつものことながら素晴らしかったと思いますが、今日は福岡選手に良くボールを集めていたような印象があります。福岡選手の今日のパフォーマンスについてのコメントをお願いします。

「ケンキ(福岡選手)はチームに対してインパクトを与えてくれる選手です。ケンキができるだけボールに触るようにさせたいというチームのプランで普段からやっています。彼自身も自分からボールを取りに行ったり、インターセプトを狙ったりというプレーをしてくれ、ケンキにはとても信頼をおいています。リキヤ(松田選手)もキックを上手に使い、試合を組み立てていました。ただ、一人の選手にずっとボールを集めるということはラグビーではなかなかありませんし、チーム全体でやっていかなければいけません。多面的にアタックしていくことが大事ですので、今日はそれを意識して戦いました」

──これからもリーグ戦、トーナメント戦が続きますが、これまでのところでのチーム作りでの成熟度の手応えはありますか?

「チームの成熟度に関しては非常に満足しています。坂手キャプテンも言いましたが、もっとディテールにこだわらなければいけないところもあります。また、現時点で良くできているところもあります。来週の試合は我々にとっていいテストになると思います。我々が目指したいところに対して、どこの立ち位置にいるのか自分たちが知ることができますので楽しみにしています」

──今日、福井翔大選手(FL)は初先発だったと思います。高校卒業して直接、パナソニックに入団し、ここまで段階を経て成長してきたと思います。福井選手についての評価はいかがですか?

「フクイは将来楽しみのある選手です。我々の仕事は彼の将来をできるだけサポートしていくということです。しかし、彼自身はまだ体もできあがっていませんので、出場時間などについてはマネジメントしながらやっていきます。今日、フクイは初の先発でしたので、彼自身としても今日の試合をとても楽しみにしていたと思います。あとで、フクイには今日の試合でのプレーはどうだったか、彼自身にフィードバックしたいと思います」

坂手淳史キャプテン HO

「ロビー監督が言ったとおりですが、今日はゲームを通して自分たちのやりたいことができたと思いますし、満足している部分も多くあります。前半、特にゲームがすごくスローになるところがありましたが、そこでもコミュニケーションを取りながら、全員でやるべきところをできましたし、バックスによるフォワードへのリードや、フォワードがしっかりディフェンスをして止めてくれるところなど、細かなところで動き続けることができ、すごくいいゲームになったと思います。後半、フィニッシャー(注:後半に入替出場した選手たち)がいいゲームの進め方をしてくれて、こういった点差になったと思います。引き続きしっかりトレーニングをしていきもっとレベルを上げたいと思います」

──今日、ハットトリックを達成した福岡堅樹選手(WTB)のパフォーマンスはいつものことながら素晴らしかったと思います。

「堅樹(福岡選手)のいつも通りのパフォーマンスでチームとしても非常に助かったところです。ゲーム中に話していた内容としては、ただ単に10番からロングキックを蹴ったり、15番野口からロングを蹴ったりするよりも、スペースにボールを回しながら、空いているスペースにボールを蹴っていき、プレッシャーを掛けていくというほうがいいとリキヤ中心に話をしていました。外に回すことが自然にゲームの中で行われていたと思います。そのうえでスペースがあったらキックも使い、2人がいいプレーをしたのでそういったところに繋がったと思います。ゲームの中でのコミュニケーションはとても良かったです」

──福岡選手と一緒に試合でプレーできる回数はあとあまり多くないと思いますが、名残惜しさなどありますか?

「これからも彼と一緒にプレーできるのは楽しいですし、彼はゲームに対して常にいい影響を与えてくれるので、残り試合は少ないかも知れませんが楽しんでいけると思います」

──今日はディフェンスがとても良かったと思いますが、チームとして心掛けていることは? また、来週の対神戸製鋼戦に向けての準備は?

「ディフェンスでは自分たちとしては少し良くないところもありましたが、その中でもいいかたちでのディフェンスはできました。前に出ることを意識して全員でディフェンスラインを越えられたところで、いいディフェンスができていたのは、失点を最小限に抑えることができた要因だと思います。いいコミュニケーションで前に出るいいディフェンスができていたと思います。来週の神戸製鋼戦でも自分たちの強みを思い切り出せるように、1週間、いい準備をして、神戸製鋼戦を迎えるようにしたいと思います」

──先ほど、フィニッシャーの活躍のことに触れました。今日の試合では坂手選手は後半6分に入替え交替となりましたが、役割の分担と、個人としてはもっとプレーしたい気持ちと、どのように感じますか?

「いつもロビーさんが言っていますが、先発メンバーの役割もありますし、ウチでは16番から23番の選手達を『マット』と言っていますが、そのプレーヤーの役割もあります。スターティングの選手がもっと長い時間プレーすることも可能ですが、スターティング選手の役割にフォーカスしてやっていますので、そこには拘っていません。選手に与えられた時間について思いっきりやることが大事だと思ってやっています」

左から福岡選手、福井選手

左から福岡選手、福井選手

福岡堅樹選手 WTB (マン・オブ・ザ・マッチ)

「チームとしてもボーナスポイントを取って勝ちきることができ、これからホワイトカンファレンス1位通過を目指すための一つの弾みになったと思います。いくつか不用意なミスもあり、そういったところで相手に少し流れを渡してしまったところでも、しっかり、自分たちのディフェンスから大きな流れを取り返すことができ、そこで特にフォワードが頑張ってくれてバックスとしてもとてもやりやすかったです。フォワードが取り返してくれたボールをバックスがスコアすることができたのはWTBとしての仕事でもありますし、バックスとしても自分たちの仕事ができたと思います」

──前半39分の1本目のトライは特に素晴らしいプレーでした。今日、3トライのパフォーマンスについてコメントをお願いします。

「自分らしいパフォーマンスでトライを取れたシーンはありますが、一番最初のところではタッチに出てしまい、トライを取れなかったところについてはしっかりと反省して、自分の能力と状況をしっかりと客観的に判断しながらできるシチュエーションの経験をもっと積み重ねてトライに繋げられるプレーを続けたいと思います。2本目のトライ(後半11分)は内田さんのお陰で取れたトライですし、3本目(後半29分)もディフェンスのシーンで、いつでもインターセプトのチャンスは狙っているものです。あそこはディフェンスが少し足らずに少しリスクを負いながらのプレーでしたが結果的にトライになり良かったと思います」

──バックス全体としてはNECのディフェンスに対してどう攻略してトライを取ろうとチームで話し合っていたのですか?

「NECは割と広がってディフェンスするチームなので、まずはしっかりとタテに攻めてしっかりとスペースを作り出して、そこから外に‥‥と意識はしていました。自陣でのアタックでは、外にキックパスのスペースが空いていたりしていたので、いろいろなオプションを使いながら僕たちが主導権を握って攻めていきたいと思っていました。そこでは僕は常に松田選手とコミュニケーション取りながら、相手を揺さぶれるようなアタックをしたいと思っていました」

──福岡選手はミスがあった後でも、笑顔になって切り替えていることが多いと感じましたが、どのような心境で次のプレーに向かっていますか?

「ミスを引きずっても何のメリットもないので、常に切り替えて、次に同じシーンがあったらどうするかについてはしっかりと自分に落とし込んで、また次のシチュエーションを楽しみながらプレーすることを心掛けています」

──さきほどのトライについてのコメントでは最初に取ったトライ(前半39分)は自分で取った感覚があるように受け止めましたが、あの場面、逆サイドで行ったのは事前のサインによるプレーだったのか? あるいはいつのタイミングでの判断だったのでしょうか? あのトライをした瞬間にはすごくいい顔をしていましたが。

「動きとしては自分たちで決め打ちしていた動きでもあります。その中で力也がしっかりと相手を引きつけてくれたので、そのスペースに走り込めました。その後は、オフロードも一つの選択肢でしたが、ディフェンスが離れていくのがわかったのでボールキープしてチャンスあるならばトライを狙いたいと思いがあり、自分の判断で走りました。最後は『あっ、行けた』と思ったので気持ちよくトライできました」

──福井選手の今日のプレーについては?

「今シーズン初先発ですし、80分間しっかり走り回ってエネルギッシュにやってくれたのは、僕らから見たらありがたいことです。しかし褒めると調子の乗ってしまうタイプなので、しっかりと反省してもらって、また次に前を向いてやってほしいと思います」

福井翔大選手 FL

「今日は3シーズン目で初めてスタートで使ってもらいました。すごくワクワクしながら試合に入りましたが、思うように行かないことも多く、先ほど堅樹さんが言った『不用意なミス』というのはほとんど僕のミスだったと思います。次に生かせるポジティブなミスとは思っていましたが、それはなかなか無理なので、きょうは落ち込もうかと思っています」

──ご自身での評価は辛い評価ですが、ブレイクダウンの絡みなどではチームに貢献していたと思いますが、今日のプレーへのポジティブな評価は?

「途中からは人より動こうと思ってプレーして、ある程度は動けていたとは思いますが、(評価の白黒という意味では)グレーです」

──今年、トップリーグには福井選手よりも若い選手が何人か入ってきて試合に出ていますが彼等の存在は刺激になりますか?

「刺激になります。僕が一番下というのでなく、年下キャラを出してもっと引っ張っていきたいと思います」

──これまでリザーブからの出場でいいパフォーマンスをみせてくれていました。今日は先発でのプレーでしたが、どういったところに違いを感じましたか?

「堀江さんには『いつも通りのプレーをしたら絶対に勝てるからやめておけ』と言われたのですが、15分くらいで1回投げてしまい、『エネルギッシュがいい』とは言ってくれていますが、そこの使い分けをしっかりするべきだなと思いました。空回りをしたところがあったと思います。こつこつチームのために体を張り続けるというところでは少しはチームに貢献できたかなと思います」

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