トップリーグ2021 第6節レポート(サントリー 33-26 クボタ)

ジャパンラグビー トップリーグ 2021 第6節 レッドカンファレンス
2021年4月3日(土)14:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場
サントリーサンゴリアス 33-26 クボタスピアーズ

クボタスピアーズ

クボタスピアーズのルディケ ヘッドコーチ(左)、立川キャプテン

クボタスピアーズのルディケ ヘッドコーチ(左)、立川キャプテン

フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「まずはこういう素晴らしい試合をサントリーさんと戦えてよかったと思います。ファンの皆さまにも来ていただけて日本のラグビーの成長を見ることができたと思います。最後の場面はどちらに転がってもおかしくないような場面だったのですが、前半の悪かった場面はハーフタイムに修正するところは修正できたので、そういう所はポジティブに捉えています。それを勝ちに結びつけられなかったことは、とても残念です。まだまだ試合もありますし、この試合が我々の成長の過程を計るうえでとても大事な試合だったので、次のトヨタ戦に向けてしっかりと準備していきたい」

──ハーフタイムの修正について、具体的な指示や後半にこう変えたというポイントがあれば詳しく教えてください。

「フォーカス・ポイントは2つです。1つ目は、ディシプリン、規律のところです。2つ目はプレッシャー、ボールを持った状態の時のブレイクダウンもプレッシャーで思うようにできていなかったので、立川はじめリーダー陣の選手たちがパニックにならずにフォーカス・ポイントにのっとって(2つの)ポイントを修正してくれました」

──後半(12分)、クロッティ選手はじめ一気に(4人)選手を替えたところはどういう決断で、あの選手を送り出したのか? 交代した選手たちのプレーについても感想を聞かせてください。

「後半は特にスコアで追いつきたいということもあって、タイミングをみて、ミッドフィールドのところで立川とクロッティということで変更しました。彼らもよくやってくれました。アタックをもっと進めたいと思ってだったのを、彼らもエネルギーを持ってアタックをやってくれました」

──イエローカードを出された時間帯のことと、もしプレーオフでのサントリーさんとの再戦があったらということについてお聞かせください」

「プレーオフのカード・スケジュールまではまだ試合もあって、なんとも言えないところです。イエローカードはやはり影響があってコントロールしたいことをコントロールできないし、プレッシャーをかけたいところでかけきれなかったというところは正直あります。(シン・ビンの10分間に)トライを2つ取られましたが、サントリーさんがスマートにやっていたのは事実ですし、コンタクトのところでも、接点のところでも自分たちがやりたいことをできていなかったのは事実ですので、次の試合からさらに強くしていきたいと思います。次の試合がとても大切です」

立川理道キャプテン CTB

「クボタの望んでいる結果ではなかったのですが、たくさんの方々がスタジアムに来ていただいて、すごく素晴らしい雰囲気のなかで試合ができたのにはまず感謝したいと思っています。試合の内容についてはヘッドコーチが話してくれたことと同じなんですが、前半なかなか波に乗れなかったところを、後半にしっかりと切り替えて追い上げていけたのは成長の証だし、この敗戦をしっかりと次のトヨタ自動車戦、その先のプレーオフでのプレーにつなげていきたいと思います。

──ハーフタイムの修正について、具体的な指示や後半にこう変えたというポイントがあれば詳しく教えてください。

「選手側もヘッドコーチと同じ部分が多かったです。やっぱりブレイクダウンも前半は相手のジャッカルに苦しめられたので、そのブレイクダウンの修正。それと、ラインのオフサイドも多かったので、それもしっかりバックスが気をつけるようにフォワードにも伝えられたので、後半は良くなったと思います」

──ブレイクダウンのところでレフリーとのコミュニケーションに少しストレスがあるようでしたが?

「いや、ストレスは全くなかったです。いいコミュニケーションがとれていたと思います。自分たちのペナルティには納得していた部分と、調整した部分と。コミュニケーションはよくとりましたが、ストレスは感じていませんでした」

──ハーフタイムにラインオフサイドを修正されたということですが、前に出るディフェンスを維持しながら修正するということでどういう点に気をつけ合ったのでしょうか?

「ラインアウトのデリバリーや、ハーフからの球出しのテンポのバリエーションはサントリーさんがあったので、そのデリバリーのタイミングだけをしっかり見るというところと、ラインのオフサイド自体はしっかりハーフバックして同じようにディフェンスするように言いました」

──イエローカードを出された時間帯のことと、もしプレーオフでのサントリーさんとの再戦があったらということについてお聞かせください」

「カードというのはチームにとってはとてもしんどい時間になるので、そういう中でももう少しコントロールしていければよかったのですが‥‥。サントリーさんとまた試合することについては何も考えていません。次のトヨタ自動車戦にフォーカスすることが自分たちにとって重要ですし、イエローカードを含めたペナルティのことについても来週に向けてしっかり修正していきたいと思っています」

ラブスカフニ選手(左)、藤原選手

ラブスカフニ選手(左)、藤原選手

ピーター・ラピース・ラブスカフニ選手 FL

「試合前からフィジカルな戦いになると思っていましたが実際にその通りになったので、前半はサントリーがよくやっていたと思いますし、後半は我々が試合を戻したという意味では良いマインドで試合ができたと思いますが、そのままもっとやり続けて行ってリードしたかったんですけど、それはできなかった。次にやる機会があればそうできるように次週に備えていきたいと思っています」

──ラピース選手は良いタックルも、良いジャッカルもありましたが、自分たちのブレイクダウンの感触と、相手のブレイクダウンのクオリティについてお聞かせください。

「サントリーは前半、特にブレイクダウンのところでプレッシャーをかけてきました。そこを振り返ってどうすればもっとよくできるのか、お互いに競り合って楽しんでやっていきたいと思います」

──クボタも年々強くなってきています。今日のこのゲーム勝つためには何が必要だったでしょうか?

「まずはサントリーを誉め讃えるべきだと思います。特に前半はサントリーがプレッシャーをかけてきて、我々もプレッシャーをかけられてペナルティを与えていたので‥‥。我々は後半はやれると信じてプレーしたので後半はああいう形になりました。その時にすべきことも分かっていたし、信じてファイトし続けたからこそああいう形になったのかと思います。今後も信じてやり続けて同じような機会があれば、違う結果になるかと思います」

──クボタは年々強くなってきていますが、世界的な代表選手だけでなく、若い選手も成長してきています。その理由は何だと思われますか?

「コーチングスタッフがしっかりやってくれているのが大きいと思います。チームもとても健全な環境だと思います。ここにいる藤原のような新しく入ってきた選手がチームにエネルギーをもたらしてくれていますし、各自がいろんなことで貢献してチームにいろいろな価値をもたらしてくれています。今後もこうやってチームの信頼性をあげつつ結果もついてくればいいと思っています」

──自信のあったラインアウトモール、最後は出されてしまいましたがあれは何があったとみますか?

「自分は後ろでボールを持っていたのですが、出されて終わってしまいました、まだ映像は確認できてないし、サイドエントリーではないのかと思うところもありますが、映像で確認して修正できるところは修正して今後に繋げていきたいと思います」

藤原忍選手 SH(4月からの新人でこの日トップリーグデビュー)

「試合はリザーブから、後半40分くらいに出してもらったのですけど、それまでリザーブのクロッティ選手と、『こういうスターティングメンバーが戦っている時に、リザーブの選手はどんな仕事をするのか』ということを話していました。結果は惜しい結果になったんですけど、ああいう接戦の時にフラン監督に自信をもって任される選手になりたいと思いました」

──試合終了間際の出場になりましたが、それまでどう思っていたでしょうか? そして実際に出ての印象を教えてください。

「試合に出るまでは接戦になっていたので、僕が出るまでに、ピッチにいる選手たちには焦りもあると思ったのでどうやってそれを落ち着かせるかとかを考えていました。早く出たいという思いもありましたが、まだそこまでの信頼を得ていないのかと思うので、そこは日頃の練習から頑張りたいと思います」

──藤原選手は出場まで見ている時間も長かったと思いますが、自チームの井上選手、対戦相手の流選手、斎藤選手と3人のSHを見て、トップリーグの実戦を見ていて勉強になったところはありましたか?

「やはり選手みんなとコミュニケーションをとれる能力は3人ともあるし、周りを見て判断して動かしていたし、時間配分だったり、そういうところは全然違うなぁと勉強になりました」

サントリーサンゴリアス

サントリーサンゴリアスのヘイグ監督(左)、中村キャプテン

サントリーサンゴリアスのヘイグ監督(左)、中村キャプテン

ミルトン・ヘイグ監督

「今日の試合では両サイドが一つの試合の中にあったと思います。前半は自分たちの勢いを作れて、自分たちの思い通りに23点取ることができました。後半の最初にいい入りをしようとハーフタイムに話をして後半スタートしましたが、後半の最初のところでエクスキューションを頑張っていかずにミスが出てしまい相手に有利な状況を与えてしまい、後半だけで相手に19点とられてしまいました。いい前半と悪い後半があった試合でした。自分たちがすごく大切にしている言葉に『ネバー・ギブ・アップ』がありますが、そういう意味では最後の10分間、あるいは7分間まで諦めずにボールを動かしながら得点して勝利を獲得できましたので、その意味で選手たちを誇りに思います」

──今日のメンバー構成は、単純に今のベストメンバーを組んだのですか? もしくは対クボタ戦ということで選んだメンバーだったのですか? また、今日のメンバー構成ではどのあたりが強みとなりましたか?

「『ベストの23人を選んだ』というのがそれへの回答ですが、実際には、ケガ人──ツイ・ヘンドリック、テビタ・タタフ、トム・サベッジら──がいたので、その中でベストの23人を選ぶということになりました。特にクボタ戦でこういう選手をピックアップしたと言うことはありません。選手層が厚くなっているので、すごくいい23人を選ぶことができて試合に臨めたと思います。誰を選んでクボタ戦に備えたと言うことはありませんでした。トレーニングを見ていていい状態にある選手をピックアップして23人のベストメンバーを選びました。したがってどこの選手が強みになると言うより、ベストの選手をピックアップした結果が今日の23人でした」

──中野将伍選手をこれまでの試合でのWTBでの起用から今日はCTBでの起用に変えました。このねらいと今日の彼の評価は? また、クボタでは新しく入団したばかりのSH藤原忍選手が今日リザーブから出場しましたが、サントリーでは箸本選手らの新人選手たちは今季、出場の可能性はあるのでしょうか?

「中野将伍選手については、彼が自然にもっとプレーできるポジションはCTBだと思っていました。今までWTBでいいパフォーマンスを示していましたが、フィジカルにダイレクトにプレーするという意味では彼はキャプテンの中村選手とのコンビネーションがいいので今日は中野選手をCTBとして起用しました。あと、今日WTBに起用した江見選手のパフォーマンスも、練習試合でもとても良かったので、今日はそのコンビネーションでプレーしてもらいました。新戦力については、今は、練習でのパフォーマンスを見ているところです。箸本選手ほかルーキー選手達にもドアはオープンしています。練習でいいパフォーマンスをしている選手を使いたいと思っています。プロ選手や社員選手に関係なくいいパフォーマンスができているかを見ながらセレクションしています」

──今日(リザーブだった)サム・ケレビ選手をピッチに送り出したタイミング(後半19分)と、バレット選手をFBにポジション変更したタイミング(後半29分)については?

「そこは、試合の前から決めている部分です。テンポを変えるところや、エナジー、インパクトを与えることを考えて、(バックスの)その3人は戦術的に考えて交替することを決めていました。後半の試合の流れや勢いを見ながら、交替のタイミングを変えることはありますが、基本的には最初から決めています」

中村亮土 キャプテン CTB

「クボタという素晴らしいチームと、いい環境の中で天気にも恵まれ試合ができたことは、とても良かったと思います。また、レッドカンファレンスでの全勝対決にふさわしいゲームができたと思います。結果として勝てましたが、結果を残しながらいい課題も見つかったので、またもう1回いい準備をして一つ一つ積み上げていきたいと思います」

──後半29分にクボタに同点に追いつかれたあと、最後(後半38分)にはボーデン・バレット選手が決勝のトライを決めました。あの時点では選手たちのマインドセットをどのようにして勝ちきるところに持っていけたのですか?

「終盤(後半29分)にトライされて追いつかれた場面では、クボタのサポーターも皆、ノリノリで少しアウェイ感も感じました。その(クボタファンの)『サントリーを倒すぞ』という会場の雰囲気に飲まれないようにと、選手たちで言っていました。ただ、試合前からこういった状況は想像ができていて、実際、70分過ぎ、あるいはロスタイムで勝ちきるというところを想定していました。したがって焦ることなく、自分たちのアタックをしようというところにフォーカスしていました。(『アウェイ感』と言いましたが)サントリーのファンの方々も多くいてたくさんの方々の応援の中でできたことは嬉しかったのですが、やはり、クボタの勢いも含めて会場の勢いがクボタ側にあった中で勝ち切れたことがとても良かったと思います」

──前半、クボタの前に出るディフェンスのプレッシャーがありましたが、オフサイドを誘っていいかたちで得点を重ねました。クボタのディフェンスをどう攻略しようとして、実際、どこがうまくいったと思いますか?

「分析の中で、クボタのディフェンスはすごく前に出てくるということはわかっていました。したがって外に攻めたり、相手のラインオフサイドをコントロールしたりというのは準備段階で話をしていました。その意味では準備したことが試合で機能したと言えます」

──(後半38分に)バレット選手のトライで勝ち越したあと、最後のプレーでスクラムオフサイドを取られ、自陣での相手ボールのラインアウトになりました。あの場面ではどのようなことを考えてプレーしていましたか?

「正直、なんとも思っていませんでした。いつも通りディフェンスすることだけを考えていました。あとはフォワードが頑張ってくれただけと思います」

──ボーデン・バレット選手がSOとFBでは持ち味は変わりますが、最後のトライのシーンでもバレット選手が外にいる時とSOでコントロールしている時との違いはどのようなところに感じますか?

「ボーディ(バレット選手)は10番であれ、15番であれ、グラウンドにいるだけでチームメイトとして頼もしく感じます。10番でも15番でもゲームコントロールとパス・ラン・キックの全てのスキルにおいてハイレベルなので、チームを前に動かしてくれる選手です。(トップリーグの)初戦からチームにフィットしていて、準備期間があまりない中でも、毎回ベストパフォーマンスを出してくれる選手で、本当に世界のトップレベルの選手だと感じます」

バレット選手

バレット選手

ボーデン・バレット選手 SO (マン・オブ・ザ・マッチ)

「今日の試合は難しい試合、フィジカルな試合になるということはわかっていました。クボタさんのようにセットピースを得意とするチームに対しては、自分たちはしっかりスピードを上げてテンポを上げたゲームをしたいと考えてプレーしていました。逆に相手はスローダウンしてセットピースからセットピースへというのを強みとしているので、後半のはじめには相手に流れが行ったところもありましたが、最後の10分のところでチームとしてコネクトして勝つことができたことは良かったと思います」

──最後のトライシーンを振り返って、どういうルートが見えてあのコースを走って行けたのでしょうか?

「パスをくれたヒカル(田村選手)がファンタスティックな仕事をしてくれました。ヒカルからのボールに対してアンダーラインでボールをもらって抜いていきました。練習では良くやるプレーですが、今日みたいなシチュエーションでは直感が重要だと思います。空いているスペースをしっかり狙って、ヒカルのおかげもあっていいアンダーラインを走ることができました」

──バレット選手は前節トヨタ自動車戦でも最後に決勝PGを決めました。試合の終盤や大事な場面で実力が発揮できるのは、チームに対するフィット感やゲーム勘がだんだん上がってきていると言うことでしょうか?

「こういった結果を出せていますが、自分たちでいいテリトリーに入ってプレーしていかないと勝利を呼び込むプレーはできないと思っています。お互いを信じて最後の10分まで我慢強くプレーすることが今できていると思います。今までに比べて特にフィットしてきたという感覚ではありません」

──10番として試合の中で長い時間プレーできていますが、10番のプレーについてどう思いますか? また、日本のトップリーグのレベルについてどう感じていますか?

「『ジュウバン』のポジションについては、自分もやはりジュウバンをプレーしたい気持ちがあります。10番はゲームをコントロールできますし、特にアタックの部分ではパフォーマンスをコントロールすることができるので、10番をプレーすることをすごく楽しんでいます。ただ、あまり自分中心的にプレーするのではなく、10番はチームプレーヤーでありたいと思っているので、仕掛けるところは自分で仕掛けたいと思います。10番にはヒカル(田村選手)もおり、彼はすごく才能ある選手ですので、彼が10番で出るときは自分がFBでプレーすることになります。日本のトップリーグは速い展開のラグビーでボールインプレーの時間も長いと思います。スーパーラグビーとはまた違ったスタンダードがあると感じています」

──最後の時間帯にはボーデン選手はFBでプレーしていましたが、15番の時にはどういうイメージでゲームをコントロールしているのですか? また、ヒカル(田村)選手にはどういうコールをして、トライの場面へイメージしていたのですか?

「FBをプレーするときは特に片方のサイドのコントロールをしっかりすることを考えてプレーします。10番をプレーするときは外からのコミュニケーションが自分にとって重要なので、15番をプレーするときはフェイズプレーなどでどういったプレーが有効かというのを、ヒカルにシンプルにコミュニケーションしながらゲームをコントロールしていました。彼も今日はとてもいいパフォーマンスをしていたと思います」

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