トップリーグ2021 第6節レポート(NEC 15-37 リコー)

ジャパンラグビー トップリーグ 2021 第6節 ホワイトカンファレンス
2021年4月4日(日)13:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場
NECグリーンロケッツ 15-37 リコーブラックラムズ

NECグリーンロケッツ

NECグリーンロケッツの右から、浅野ヘッドコーチ、中嶋共同キャプテン、瀧澤選手

NECグリーンロケッツの右から、浅野ヘッドコーチ、中嶋共同キャプテン、瀧澤選手

浅野良太ヘッドコーチ

「NECは最近雨の試合が続く中で、今日は天候に恵まれ、また、トップリーグのカンファレンスの中では今シーズン最後の秩父宮ということで、緑の服を着て応援に駆けつけて頂いた皆さん、本当にありがとうございました。我々が秩父宮で試合ができるということは大変特別なことですし、その中で皆さんの応援の前でプレーができることは本当に幸せなことですが、勝利に繋げることができなかったことが非常に残念です。
前半、風上を選択した中で『3対22』、ここが今日のゲームがうまくいかなかったことです。ただ我々は立て直す力があるということを示した。それは後半、風下になってから『12対15』という形で修正できるところは修正する力があるというところ、次にポジティブにつなげて最後来週のキヤノン戦(熊谷)は勝つことにこだわっていきたいと思います」

──今シーズン勝てていない状況を、どのように受け止めていますか?

「勝てていないことは私の責任と思い受け止めています。新リーグのディビジョン分けにも今シーズンの順位が反映されることも知っていますけれど、我々がコントロールできないこともありますので、できるところは準備して試合に勝つということ、毎週、そこに役割を注ぐことが私の現場の仕事かと思います。勝つことだけにフォーカスして考えています」

中嶋大希 共同キャプテン FL

「今日、緑のジャージを着て応援に来てくださった多くのNECファンとラグビーファンの皆様に来て頂いて本当に幸せな時間でした。
前半風上から強烈な風が吹いている中で、敵陣で戦い点差を広げようとしましたが、一変して自陣で戦う時間が増えて、相手にスポイルされて反対の結果になってしまったところが、今日のターニングポイントと思います。後半は自分たちプレーができる時間もありましたが、そこから終盤まで立て直すことができなかったことが反省点です。来週も熊谷で試合がありますので修正して1勝できるように頑張ります」

──今シーズン勝てていない状況を、どのように受け止めていますか?

「試合前に話も出たり、選手たちも思うところ、考えるところもあってプレッシャーに感じる選手もいたり、そこを考えず今シーズンを戦う選手がいたり、いろんな中で自分自身の中でも考えていますが、自分たちが掲げている『トップ4』の目標に一番フォーカスして、今シーズン戦うことが来シーズンに繋がることと考えて戦います」

──序盤押されて感じたことは? 風上の前半で何故うまくできなかったか、また、後半の良い時間を過ごせた時にはうまくいったことについて?

「前半、何回か敵陣に攻め入って得点のチャンスはありましたが、そこで取りきれないシーンが何度か続いてネガティブな印象を与えてしまったことが問題でした。相手が回して来ることは分かっていましたが自陣に入られて自分たちのペナルティで得点を重ねられてしまいました。自分たちの準備していたことと違うとの考えが生まれたことが前半のネガティブな印象かと思います。前半の最後のほうから後半の前半にかけて、自分たちの攻める機会が増え、自信に繋がり2トライに繋がりましたが、完全に乗りきることができずペナルティが重なってしまったことが問題でした」

瀧澤 直選手 PR

「今回もプレーができたこと、ご準備頂いたこと、ありがとうございます。試合に負け続けるのもイヤになりましたので、遅いタイミングではありますが、まず1勝するところで何かを変えられるのではないかと期待して、その1勝が遠いので皆で考えていかなければならないのかなと考えてはいるのですが、どうやっていくのかということが一番重要なのかなと思います」

──チームの雰囲気、ベテランとしての役割は?

「やはり負けているのでチームの雰囲気は良いとはいえません。それは認めざるを得ないと思います。次の1勝した時の影響は大きいと思いますし、雰囲気も良くなると思います。私自身も負けを多く経験していますので、負けている時こそ頑張らなければいけないと分かっているつもりです。やれることは少ないですが少しでもチームにエナジー、元気を与えられればとポジティブに頑張っています」

リコーブラックラムズ

リコーブラックラムズの神鳥監督(左)、松橋キャプテン

リコーブラックラムズの神鳥監督(左)、松橋キャプテン

神鳥裕之監督

「我々としては、これまで4試合接戦が続き、うち3試合は敗戦が続いていましたが、その中でチームがドロップせずに選手たちが話し合いながらもう一度リコースタイルをしっかり確認し合って、今日、それを体現できました。選手たちを本当に誇りに思います。この1週間、いい準備がしっかりできたことがゲームに繋がったと思います。リーグ戦はあと1試合残っていますので、全力で戦っていい結果を残したいと思います」

──リコーではコーチングの際に選手たちの主体性を重んじている印象があります。そこは監督としてどのようにマネジメントしていますか?

「グラウンドで体現するのは選手たちです。共同キャプテンの松橋や濱野が中心となって、また、リーダーズグループでもよく話し合ってくれています。それと、コーチングスタッフと選手たちが必ず週に1回、週の始めにミーティングをして基本的に選手たちが出してきたアイデアを尊重しながら、また、ケースバイケースではありますが、選手の考える力を引き出してチームとしてうまくコントロールしていこうとしています」

──今シーズン、勝てない試合が続くことがあっても、リコーらしさは出ていました。これはそういった部分がチームに根付いてきたことによると感じていますか?

「『我々がいい時はどんな時だろう?』というのは、我々の試合はいつも一生懸命で必死になって戦ってようやく勝てるというアティチュード=態度がないと、我々(コーチングスタッフ)もリードできない。というところでは同じベースに乗っています。勝ちきれない時にも、立ち戻るべきはそういった態度のところを見直していく、その上で、準備だったり、プランだったりを重ねていくという順番でチームを見直していくことで筋が通ると思います」

──リコーと言えば、例年、サポーターの声援が大きいですが、今季は声を出しての応援ができない状況で、監督・キャプテンはどのように感じていますか?

「リコーのサポーターはたぶんトップリーグの中でも一番熱心ではないかと感じます。そういったサポーターに我々は感動や一生懸命さを伝えることでこのチームの魅力を上げていきたいと思っています。今年は声を上げての応援はできませんが、我々には十分届いていますし、我々はそれに応えていきます。そういった関係でチームを前に進めていきたいと思います」

松橋周平キャプテン FL

「勝てて良かったです。監督も言っていたように4試合接戦が続き、僕たちとしては『あと少し何かが足りない』の『あと少し』の部分がみんなわかっていたので、その『あと少し』を変えるために今週1週間、プレーヤーとスタッフが一丸となって準備のところや姿勢の部分をもう一度振り返って、もっとお互いに高い要求をし合うなど、そういった部分をひとつひとつしっかりクリアしていい準備をしたことがこの結果に繋がったと思います。試合は、前半から自分たちらしさが出たと思います。これが今季のリコーのラグビーだというのをファンの皆様にも示すことができたのはとても嬉しかったです。途中乱れた部分もあり、修正しなければいけなかったのですが、そこは改善して来週の試合にまたいい姿勢で臨みたいと思います」

──接戦での敗戦が続き悔しい雰囲気だったと思いますが、もう少し具体的に、チーム内でこの1週間、よりフォーカスしたところなどあれば教えてください。また、今日の試合ではフォワード戦やキャプテンを中心としたブレイクダウンのところはとても良かったと思いますが、そのあたりで手応えのあったところはありましたか?
「今週、フォーカスしたところは、僕らが今季のスローガンで掲げている“BIGGA”(Back in Game Go Again)『ボールを持っていないときのアクションをどれだけ体現するか』というのが試合に大きく差をつけるところです。前節の試合、キヤノン戦ではこのスローガンが全くできていなかったというところがありました。もう1回、このスローガンに立ち返って、僕たちの”BIGGA“は何なのかというところを1人1人が責任を持って果たそうということを皆が意識した上で、今日、試合ができたと思います。
もう一つ、プレーヤーズで話したのが、この試合を勝って最後まで勝ち進むと、6週間後にはトーナメントの決勝に進めることになりますが、『そこに行きたい』『自分たちは何をしたいのか』『どれだけ犠牲を払うべきなのか』『ラグビーのためにどう振る舞うべきなのか』といったところを全員がしっかり認識した上で1人1人が行動や準備をもう一回見直したというところ、すなわち、『接戦の中でもう少し変わらなければいけない』というところ、この2つです。基本は姿勢が変わることですが、姿勢がいい準備に繋がると思います」

──今日は風が強い難しいコンディションでしたが、どのようにプランを立てて、実行して、どこがうまくいったというところはありますか?

「見ていてわかったとも思いますが、前半、風下からのスタートでした。もともとテリトリーの部分でもしっかりアタックしようと思っていましたが、ディフェンスの時間が多くありました。アタックする時間を増やそうと、風下であったこともあり、自分たちからアタックの時間を増やしていきました。前半はそれができたと思います。後半は風上となりましたが、風を味方につけ相手陣でプレーすることを意識して、全員が理解してプレーしてチャンスがあればアタックする、チャンスがなければキックして皆で前に上がっていくということを心掛けました」

──今シーズンの結果は新リーグのディビジョン分けに影響すると思いますが、特にプレッシャーを感じることはありますか?

「当然、皆、今シーズンの結果はすごく大事であり、来シーズンに繋がるので、負けられないのはわかっています。リーグ戦の順位は今後のトーナメント戦の組合せにも大事になることもわかっています。ただ、結果はコントロールできないのでできることに集中してやろうと皆思っています。リーグ戦で、今日を含めて未だ2勝しかできていないこと、もう負けられないことも、皆、口にはしていなくてもわかっています。1人1人の態度=アティチュードを重要視していきたいと思います」

左からブロードハースト選手、ルーカス選手

左からブロードハースト選手、ルーカス選手

ブロードハースト マイケル選手 FL (マン・オブ・ザ・マッチ)

「私自身もですが、チームとして80分間しっかりプレーできて良かったと思います。チームとして80分間しっかり戦おうと話をしてきました。これまでの試合でも40分とか、60分はいいプレーができていましたが、今日はしっかりフィニッシュのところまでという話をしました。それが今日はできたと思います」

──松橋キャプテンがチームとして“BIGGA”を大事にしてこの試合に臨んだと言っていましたが、ブロードハースト選手はBIGGAを具体的にはどのようなところで意識してプレーしたのですか? 若手の選手たちも”BIGGA“のプレーができてきたと思いますか?

「地面に寝ている時間を減らせば、ディフェンスであればディフェンダー、アタックであればアタッカーの人数が増えます。ディフェンスで早くセットすればするほど、ラインを前に上げることができますし、アタックのセットが早ければアタックのオプションも増えます。したがって、プレーヤーをしっかり立たせることです。3人4人が地面に寝ているとアタックの形も作れませんし、ディフェンダーが外にいないという状況ができてしまいます。ワークレートのところになります。武井選手など若手のいい選手が多くいますが、私たちシニアメンバーとしてもパフォーマンスをしっかりやらなければいけないというプレッシャーを感じます。若手の選手たちは本当に一生懸命にやっているので、年上の選手がスターティングメンバーに入るのは簡単でなくなってきています。今日は第1列に若手2選手(注:HO武井選手、PR笹川選手)がスターターに入りましたが、とても価値のあることだと思います」

──ブロードハースト選手は長くトップリーグでプレーしています。トップリーグのプレーレベルが高くなってきていると感じていると思いますが、どのようなところにそれを感じていますか? また、レベルが高くなった理由はどこにあると思いますか?

「日本のラグビーを知る人が増えてきました。それを伝える側が増えるほど見に来る人も増えています。そうなると、世界のすごい選手たちが日本に来たいという思いに繋がります。レベルの高い選手が来ることにより、僕らの助けにもなり、これまでの(高くない)レベルでプレーしてきた選手たちにもプラスにもなります。(トップリーグでは)もう、簡単に勝てるチームはなくなってきています。もちろんいいチームは今もありますが、彼等も毎週ハードワークをしなければなりません。1位のチームが15位のチームに勝つためにもハードワークが必要になっています。このレベルはどんどん良くなっていくと思います。よりレベルの高いコーチやレベルの高い選手が来ることにより、日本人選手のレベルもどんどん良くなっていると思います」

──トップリーグでのプレーが進化しているのに対し、レフリングはそれほど進んでいないようにも感じますが?

「それに関してはコメントしづらいところです。レフリーのスクーリング(勉強会)をもっと積極的に行ったらいいかと思います。ニュージーランドやオーストラリアではレフリーが悪い笛を吹いた試合のあと、数週間、試合を与えられない制度もあります。選手のレベルが良くなるのと同じで、外国からのレフリーをもっと日本に呼んで、教えてもらうとか、笛を吹いてもらうということは成長に繋がると思います。何年か前には外国からレフリーを呼んで笛を吹いてもらう試合もあったと思います。ああいったことを通じて自分たちのベンチマークを見ることもできるので、とても良かったと思います」

アイザック・ルーカス選手 SO

「マイケル(ブロードハースト選手)も言ったように、まず、勝てて良かったです。過去数週間は残念な結果が続いていました。過去3試合本当に僅差で負けていたので、マイケルが言ったように1分から80分までしっかりとコンプリートする(完全に行う)ことができ、チームが勝利できたことはとても嬉しいです」

──今日2本目のトライの場面(前半12分、ファリア選手のトライ)、面白いかたちでパスを投げていましたが、あのプレーについてコメントお願いします。

「フォワードのいいキャリーが続いて、ゲインラインもしっかり切れていて、ボールを呼び込んで、NECのWTBが詰めていたので、すこしループ気味で片手で上から通すようなパスで、WTBファリア選手に繋げようとのパスになりました」

──今日、ブロードハースト選手を含めてフォワードのいい動きのおかげでルーカス選手がSOとしてもプレーしやすかったと思いますが? ご自分のプレーやゲームコントロールにどのような影響がありましたか?

「特に今日は、フォワードがショートパス、インサイドパスなどのスキルをうまく使ってくれてゲインラインを越えることができました。そのおかげでゲームコントローラーとしてクイックボールを使えて正しいエリアでゲームを進めていくことができます。それが試合を通して全体的にできていたと思います」

──アイザック・ルーカス選手は今シーズンからの来日ですが、来日してトップリーグは思っていたよりレベルは高いと思いましたか?

「正直言って、特にレベルについての予想はせずに来日しました。個人的には自分が成長することを目指していて、毎試合、自分が成長したいと思っています。マイケルが言ったようにトップリーグでは楽な試合はありません。どの試合でも勝つためには本当にハードワークしなければいけません。私としてはトップリーグでプレーすることを楽しんでやれています」

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