トップリーグ2021 第7節レポート(パナソニック 55-19 ヤマハ発動機)

ジャパンラグビー トップリーグ 2021 第7節 ホワイトカンファレンス
2021年4月10日(土)12:00キックオフ/埼玉・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場
パナソニック ワイルドナイツ 55-19 ヤマハ発動機ジュビロ

ヤマハ発動機ジュビロ

ヤマハ発動機ジュビロの右から、堀川監督、ウヴェ選手、スミス選手

ヤマハ発動機ジュビロの右から、堀川監督、ウヴェ選手、スミス選手

堀川隆延 監督兼GM

「今日は、素晴らしいスタジアムで天気も良く、多くのお客様の前でラグビーができたことに感謝申し上げたいと思います。試合の内容は、見ての通り完敗です。自分たちのチャンスをチャンスにできず、自分たちのミスから得点をされました。パナソニックに対して、やってはいけないことを私たちが自らやってしまったことが今日の敗因です。厳しい結果になりましたが、次のトーナメントに向けて、もう一度自分たちに何が必要なのかを選手たちとコミュニケーションをとって準備していきたいと思います」

──前半途中に五郎丸選手とサム・グリーン選手を交替させた意図と、その結果をどう思われますか?

「試合直前に五郎丸選手のコンディション不良を訴えられ、前半のパフォーマンスが良くなかったので交替させました。サム・グリーン選手は若いですし、今後に期待したいと思います」

──ここまでのリーグ戦を戦った中で、セットプレーに頼り過ぎないヤマハスタイルの発展形を探すシーズンと言っておられました。その手応え、ボールを動かして攻めるスタイルの完成度はどの程度か、プレーオフに向けて、どういう所を修正するのか。

「ここ2、3試合、神戸、ドコモ戦以降、自分たちのスタイルというものを選手たちが何となく理解している部分もあるのですが、何故ここでボールを動かすのか、何故ここでポジショニングするのかなど、ようやく選手が理解して実行できるようになってきているので、この点についてはポジティブにとらえています。ヤマハは、セットピースからのアタックを当然ながら重視しますが、ボールの動かし方は見ての通りトップリーグの中でも一番ボールがワイドに動き、スピーディーに動きます。そこを徹底的に次のトーナメントまでに鍛え上げていきたいと思います」

──グリーン選手が途中からFBとして入りましたが、SOとしてのオプションはあるのでしょうか?

「そのオプションはあります」

ヘル・ウヴェ ゲームキャプテン LO

「自分たちのミスがパナソニックのトライに結び付きましたが、私たちも良い所があったと思います。次のトーナメントが大事ですから、今日いろいろと勉強したことを今後に生かしたいと思います」

──前半途中に少し盛り返してトライを取りましたが、何を修正して、あのような形にもっていけたのでしょうか?

「まずはボールをキープし、ヤマハスタイルをしっかりやっていこうと、前半最後は良いプレーができたと思いますが、後半の序盤で良いプレーができなかったことは、このゲームから学ぶところだと思います」

クワッガ・スミス選手 No.8

「相手に対してチャンスを与えてしまい、良いプレーをされてしまいました。セットピースのところでは、うまくプレーできていたのですが、しっかり自分たちの強み、チャンスを活かしきれていなかったと思います。トップリーグの中でも特に強いチームと対戦できるというチャンスでしたが、良い試合ができませんでした」

──チームが勝星を得られない中、ご自身は良いプレーを続けていますが、苦しい中で力を発揮するために意識しているとは何でしょうか?

「自分のアビリティ(技量・能力)をチームのために出していくことが大切ですが、全員が100パーセント発揮していても一人ができない時には試合はうまく運びません。細かいことを気にするのではなく、自分がチームのために、何ができるかをしっかり考えるようにしています。ミスはありましたが、ゲームで学んで次の試合に生かしていきたいと思います」

パナソニック ワイルドナイツ

パナソニックワイルドナイツのディーンズ監督(左)、堀江選手

パナソニックワイルドナイツのディーンズ監督(左)、堀江選手

ロビー・ディーンズ監督

「ホームの熊谷で試合ができ、非常に光栄に思います。素晴らしいコンディションの中で試合ができ、我々としても非常に充実した感触を得ています。今日は、チームとしても特別な日でした。堀江翔太選手がワイルドナイツとして通算150試合出場の試合でしたので、我々としても特別な思いで臨みました。もう一つの理由としては、一位で通過して(プレーオフトーナメントの)ホームでの準々決勝を勝ち取れるチャンスがあり本日、良いパフォーマンスでチームとして勝ち取れたことを嬉しく思います。準々決勝を熊谷でというのは、まだ可能性があるということで我々は、それを勝ち取りにいくため、チームとして頑張っていきます」

──今日も先発を7人替えるなど、これまでいろいろな組み合わせで試合を進めていますが、絶対に負けられない戦いのトーナメントに向けてベスト23人は固まってきたのでしょうか?

「私の中では、15人という考えではなく、23人でどう戦うかということでメンバーを選出しています。今日は先に出る選手と後に出る選手を替えたのですが、普段から23人がいかにパフォーマンスを最大限に発揮できるかにフォーカスしています。今後も試合が続く中、いろいろな選手に可能性があるので、今日はこれまでベンチから出場する選手に機会を与えました」

──監督の目から福岡堅樹選手が学生とプレーヤーとして、どのようにアジャストしていこうとしていると思いますか? 今後の彼の起用法を教えてください。

「なるべく先発として起用したいと考えています。ただ、今週は学業のため練習に参加できないこともあって、今日はベンチからの起用となりました。福岡選手とは対話を重ね学業のカリキュラムを見ながら、いかに彼のパフォーマンスを最大限に発揮できるか、ラグビーと学業のバランスをマネジメントしていきたいと思います。彼はラグビーをしたいという意欲もあり、『意志ある所に道あり』ですから我々もサポートしていきますし、それは叶えられると思います」

──トーナメントに向けて、どのエリアを強化したいか? 堀江選手はチームにとってどのような存在なのでしょうか?

「トーナメントは、やるか、やられるかの戦いになります。これまで各チームとも試合を重ね、過去の映像などを調べるなどの準備をすると思います。リスクをとるチームもあるでしょうし、当日のサプライズもありますから、さまざまなことを準備していきたいと思います。堀江選手をひと言で表現すると『素晴らしい』のひと言しかありません。コーチとして、このような選手を指導できること、一緒にラグビーができることを光栄に思います。他の選手も彼と一緒にラグビーを楽しんでいますし、ラグビーに対する知識がチームに大きな影響を与えています。堀江選手がプレーしたいと思う日まで、彼はプレーできると思います(笑)」

堀江翔太ゲームキャプテン HO

「勝利できて良かったです。試合前にチームメイトから150キャップの祝福を受け、私のために頑張って動くと言ってもらいました。私は特にディフェンスを見ているのですが、ヤマハのアタックに何本かやられたので、しっかりと修正して次の試合につなげたいと思います。まだまだ、成長する試合は何試合もありますので、しっかり一試合、一試合成長して決勝に向かって一歩一歩進めたら良いと思っています」

──今日の試合でカンファレンストップを決め、リーグのタイトル獲得に向けて良いステップを踏んでいると感じますが、そのあたりの感触と優勝に向けた思いをお聞かせください。

「まずは目指す所が、ここであったので良かったと思っています。簡単に一位にはなれないと思っていますので、一つ一つ自分たちのパフォーマンスを100パーセント発揮することを意識していました。あまり先を見ずに目の前の事をひとつずつ積み重ねていきたいと思っています」

──中盤、ヤマハが少し盛り返して得点をしましたが、両チームにどんな事が起き、こんな事になったのでしょうか?

「前半終了間際だったと思います。あの状態になることは、一週間準備してきた中で言い続けてきたことで、一回か二回はあるであろうと思っていた想定内であったので、すぐに修正できました。ヤマハのアタックがワイド、ワイドにふるので、そこを修正したのですが、詳細については企業秘密です。(笑)」

ライリー選手(左)、竹山選手

ライリー選手(左)、竹山選手

竹山晃暉選手 WTB

「リーグ最終戦で、一位を決めて決勝トーナメントに向かっていく大事な試合であり、個人としてもチームとしても勝ちにこだわる試合展開でした。良い準備もできましたし、熊谷の多くのファンの前で表現できたこと、チームの勝利に貢献できたことを嬉しく思います」

──トップレベルでやっていることの手応えと自身に成長をどう考えているのでしょうか?

「昨年はコロナの影響でリーグが中止となり、個人として成長できるチャンスを逃しましたが、困難な状況下でさまざまな運営の方々チームのスタッフが、私たちがよりラグビーをし易くなる環境をつくってくださることに感謝いたします。試合を通してしっかりと成長できることを今年の目標に掲げています。やるべきことをしっかりやることを試合ごとに反省しながら決勝トーナメントに向かっていきたいと思っています。最終戦で良い形で勝利を掴むことができ、今後も抜かりなく決勝トーナメントに向けて準備をしていきます」

──パナソニックは選手層が厚く、とくにバックスリーのポジションは熾烈な争いですが、どういう部分を自分の持ち味としてチームに出していこうと考えているのでしょうか、7試合を通じてどの程度出せたと思いますか?

「昨年と現状の自分をバックスコーチの金沢さん、ロビー監督を中心に毎試合ごとに振り返ってミーティングをしています。今までできなかったことが多かったと気づくシーズンでもありました。個人としてできなかったこと(ディフェンス、ハイボールなど)にも、しっかりと目を向けて自主練習、通常練習の中で意識して毎日取り組んでいます。代表にはチャレンジしたいと思っています。ただ、ワイルドナイツで試合に出場する中で、自分が良いウイングかと見直した時、そうではないと自身は思っているので、そこを一歩ずつ成長しながら代表にチャレンジしたいと思います。ワイルドナイツで試合に出場し続けることが、これからの自分の未来を創ると思っています。個人としても挑戦できるように一試合、一試合通して成長すること、ラストのトップリーグで優勝できるようにチームに貢献したいと思っています。

ディラン・ライリー選手 CTB

「今日は勝ちにこだわり、多くのファンの前でプレーすることができ、ファンを楽しませることができて嬉しく思います。応援してくださるファンの皆様、ワイルドナイツとして通算150試合出場を果たした堀江選手のために勝利を捧げたいと思います」

──今年で入団3年目となりますが、自身の成長をどんな所で感じますか?

「日本に来てチームで大きく成長することができました。日本は文化も違いますし、環境を知り慣れて学ぶことを大事にしましたが、周りの人々が私を助けてくれました。クラブでのこの3年間を光栄に思います。私が来日した初日からクラブの人々が私を助けてくれ、パナソニックでラグビーができることを嬉しく思います。プレー面では、従来からの私の強みであるボールキャリーに加え、来日してからプレーメイク、判断、キックが上達したと思います」

──トップリーグで初めてハットトリックを達成された中で、今まで以上に前へボールを運ぶ意識が強かったと思います。これはチャンスがあったからでしょうか? 自身で取るという意識が強かったからでしょうか?

「クイックボールを出してくれたFWに感謝したいと思います。FWがハードワークして良いボールを出してくれたので、バックスがスペースに走りやすくなり今日、このように走ることができました」

マン・オブ・ザ・マッチはパナソニック ワイルドナイツから、ディラン・ライリー選手

マン・オブ・ザ・マッチはパナソニック ワイルドナイツから、ディラン・ライリー選手

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