トップリーグ2021 プレーオフ1回戦レポート(宗像サニックス 21-31 近鉄)

ジャパンラグビー トップリーグ 2021 プレーオフトーナメント 一回戦
2021年4月18日(日)12:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場
宗像サニックスブルース 21-31 近鉄ライナーズ

宗像サニックスブルース

宗像サニックスブルースのブラウン ヘッドコーチ(左)、福坪 共同キャプテン

宗像サニックスブルースのブラウン ヘッドコーチ(左)、福坪 共同キャプテン

コーリー・ブラウン ヘッドコーチ

「まず、近鉄の皆さんに今日の試合の勝利おめでとうございますと申し上げたい。秩父宮のグラウンドは非常にいいコンディションでしたので、選手たちもとても頑張ってラグビーをしてくれました。選手たちが試合でしっかり努力を見せていい態度を持ってプレーしてくれたことを誇りに思います。チームの中では今週1週間にいろいろなことがあり、すごく難しい状況の中でのプレーでした。試合の中ではクイックタップを使っての速いテンポでいいラグビーをしていたのがたくさん見られたと思います。スピードと勢いがあってそういったラグビーができているときは相手に対してプレッシャーを掛けることができてトライに繋がったと思いますが、自分たちのミスから相手にチャンスを与えてしまったこともありました」

──シーズンを通して、アンストラクチャーからの攻撃の精度が今季は課題だったと思いますが?

「遂行力のところでボールのポゼッションや、ボールを我慢して持ちきることができずにターンオーバーされてしまうことがありました。ボールをキャリーしたときにボールを落としてしまったり、そこでコンタクトで真っ直ぐ行けなかったりすること、一つの理由ではありませんが、その遂行力の部分で自分たちがボールを失ってしまうというアンストラクチャーでの精度のところで影響があったと思います」

──今日の試合の終盤に、本職のSOでない選手(注:後半21分にSOジェイソン・エメリー選手の交替で入った濱里耕平選手は通常はSH/WTB)がSOのポジションに入りましたが、今日のメンバー構成やメンバー交代、また、いろいろなアクシデントもあった影響かと思いますが?

「単にケガが多かったためです。今日入れていないメンバー、田代宙士選手、小野晃征選手らがケガを抱えてしまっていることもあり、それをカバーしなければならず、全体的な理由で、このようなことになってしまいました。ただ、今日の23人は本当にいい仕事をしてくれましたし、彼等の準備と今日の試合に関しては誇りに思います。1週間難しいことがあった中でこういった状況で試合をしなければならないところで、選手たちは本当に良くやってくれたと思います。SOジェイソン・エメリーは、後半、あと20分というところでハムストリングのケガをしてしまったので交替しました」

福坪龍一郎 共同キャプテン LO

「今日の試合開催に向けて各関係者の皆様、ありがとうございました。本当にいい状態でプレーすることができました。ヘッドコーチも言いましたが、今週はチームにとって、ちょっと難しい週ではありましたが、お互い信頼し合って今シーズンずっとやってきたことを出そうということをチームに話してプレーしました。良かったところもありましたし、相手にチャンスを与えてしまい守り切れなかったところもありました。それでもゲーム中は切り替えて『次に次に』との気持ちで自分たちのラグビーをしようとやってきました。でも結果はこうなってしまったので、近鉄さんには『勝利おめでとう』と言いたいと思います」

──試合の入りのキックオフを含めて、相手のキックボールをキャッチ前にバウンドさせてしまってピンチあるいは失点に繋がったところがあったと思いますが? また、これをどのように修正しようとしましたか?

「正直言って、相手のキックがうまかったところがあったと思います。修正としてはポジショニングの修正しかなかったと思いますが、風の影響もありました。相手が上手だったということで、正直言って、そこまで対応できる準備ができていなかったと思います」

──相手が(レッドカードで)1人少なくなりましたが、相手の選手数が1人少なくなったことによってゲームプランを修正したところはありましたか?

「僕自身はその時には交代してピッチから出てしまっていたので‥‥。プランはあまりなかったです」

──冒頭に『今週は難しい状況があった』と言いました。クラブ内部の問題だと思いますが、具体的に1週間、選手たちは話を聞いてからどういう感想を持って、チームを試合に持って行こうとする働きかけをしましたか?

「皆さん(今週報道されたチームの強化縮小検討のニュースは)ご存じかと思いますが、各選手とは週の初めに面談をしてきました。選手はいろいろと考えることもあり、オフ・フィールドで考えていましたが、水曜日からチーム練習を始めて、ゲームが始まれば目の前のラグビーには集中できるから大丈夫だということを皆に伝えて、この1週間準備してきました。実際、ゲームになれば、皆、目の前のことに集中して戦えたことは良かったと思います。正直、チームが今後どのような方向に行くかということは僕たちもはっきりとはわかりません。今後ともサニックスのラグビーチームはラグビー選手にとって夢のあるチームだと思います。そこは今後とも続けるつもりです。夢のあるチームであり続けると思います」

──最後の円陣の中で、今週の報道があったことを受け、選手たちにどのような声を掛けましたか?

「自分たちはプロスポーツチームなので、あの報道には関係なく、1年で人が多く入れ替わるものなので、今年キャプテンをやらせてもらったことを嬉しく思うし、皆とここでプレーできたことを嬉しく思うということを言いました。昨年の5月からプレシーズンを始めて約1年の期間、ラグビー漬けの毎日をやってきましたが、最後にスタッフの皆さんに感謝の気持ちを伝えました」

ヘスケス選手(左)、ムーア選手

ヘスケス選手(左)、ムーア選手

ジェームス・ムーア選手 FL

「ヘッドコーチはじめ、皆さんも言っていますけれど、非常に難しい中での1週間でした。これで今シーズンが終わり、来シーズンになりますが、また、チームを去ってしまう選手も多いと思います。今日、ここ秩父宮でシーズン最後の試合ができたこと、またいいパフォーマンスが出せたところもあり、そこについてはとても嬉しく思います。ただ、今日は近鉄さんの方がより素晴らしいパフォーマンスだったと思います。それに対しては自分たちの方が劣ってしまったのでこのような結果になったと思います」

──相手が(レッドカードで)一人少なくなった状況でもなかなかいいアタックができない状況が続きました。全体的にそこの数的優位を生かせなかった要因は?

「近鉄さんの方がフォワードが素晴らしいかたちだったのでそこでアドバンテージが取れなかったと思います。自分たちは速いランニングラグビーを目指していますが、セットピースのところで、自分たちが相手よりいい動きができなかったというところだと思います」

──今回のサニックスに関する報道について、ご自身はサニックスに愛着はあると思いますが、話を聞いたときの感想と今後のご自分の方向についてどう思われていますか?

「そのニュースの報道を聞いたときはとても残念に思いました。サニックスはとてもファンのことを大事にする素晴らしいチームだと思います。今回、この報道が出たことによってたくさんの方々がとても残念な気持ちになっていると思います。今後の自分の方向についての質問には、今のところについては差し控えさせてもらいます」

カーン・ヘスケス選手 WTB(23番)

「皆さんと同じコメントです。本当に今週は難しい週でした。ただその中でもいつもサポーターや自分たちの家族のサポートがあり、しっかり自分たちのラグビーをすることができたと思います。得点が何点対何点とか言うことでなく、いつも常にグラウンドにサポートしてくれるサポーターの方々に感謝しています。自分たちとしては自分たちがやろうとしているいいパフォーマンスのラグビーを皆さんに見せたいという思いで毎週やってきました。自分たちの持っているスキルやいいものを常に意識してできたことはファンの皆様のおかげと思っています。今日は近鉄さんに勝利おめでとうと言いたいと思います」

──今回のサニックスに関する報道について、ご自身はサニックスに愛着はあると思いますが、話を聞いたときの感想と今後のご自分の方向についてどう思われていますか?

「今年でサニックスでの11シーズン目ですが、サニックスでたくさんのことを学ばせていただきました。自分としてはたくさんの家族と呼べる方々と関わることができました。本当にファミリーのメンバーを失ってしまうことはとても残念な気持ちです。私にとってはサニックスのファミリーが人生そのものでしたので、今回の報道を聞いてとてもさみしい気持ちでした」

近鉄ライナーズ

近鉄ライナーズの有水ヘッドコーチ(右)、フィフィタ選手

近鉄ライナーズの有水ヘッドコーチ(右)、フィフィタ選手

有水剛志ヘッドコーチ

「本日は協会の皆様並びに、サニックスの皆様、ありがとうございました。今シーズン、我々はスタート時から、フォーマットが決まる前からトップ8をターゲットとしてシーズンに入りました。その上で、今日のゲームに勝って、来週、トップ8にチャレンジできるという結果を残すことができて嬉しく思っています。来週はホームの花園で、チャンピオンチームでありますパナソニックさんと戦うことになりますので、我々の力がどこまで通用するか、良い準備をしてパナソニック戦に備えたいと思います」

マイケル・ストーバーク ゲームキャプテン LO

「まず、本日の試合を審判してくれたレフリーの皆様に感謝したいと思います。サニックスさんにはとても素晴らしい準備と大きなチャレンジ精神で挑んでくださって、お陰で良い試合をすることができて感謝します。我々はこの試合に勝つことができたからこそ、今後、トップ8に対してのチャレンジをする権利を手にすることができました。今日は特に、14人でプレーしなければいけない時間が結構ありましたし、そのチャレンジを乗り越えて、次はトップ8にチャレンジしていく気持ちでいます。ですから、来週のパナソニックさんとの試合もすごく楽しみにしていますし、チャンピオンチームですが、彼らも人間ですので、変わりなくしっかり準備して良い形で試合に取り組んでいきたいと思います。しっかり彼らを倒して、目標を達成する、そんな気持ちでいきたいと思います」

──レッドカードで厳しい時間帯があったが、どう乗り越えたのか?

「大きな壁を乗り越えなければいけなかったのですが、やはり、その中でチームとして力を合わせてハードワークして、身体を張ってやりたいラグビーをするために運動量とか、14人になったからこそ、もう一人の仕事の分をカバーしていく、そのような気持ちで引き続き戦いました。特にスクラムとラインアウトのところですが、バックローが一人抜けたからこそ、他のバックロー二人とセカンドローの選手がリフトもちょっと役割が変わってしまって、それは苦難でしたが、チームで何とか力を合わせてカバーできました。さらにフロントローは、特に後半入って来た二人のフロントローは7人でスクラムをしなければならないところだったのですが、しっかり力を合わせて良い形でスクラムできたところもすごく良かったと思います」

──キャプテン自身の良いタックルもあったが、このように運動量が大きい試合を総括して?

「特に運動量の分野ですけれども、前回の豊田自動織機戦では、自分がチームリーダーだったのに、そこでは本来やるべきリーダーとしての運動量が体現できず、すごく自分のワークレートに対してはガッカリ感がありました。だから、今日こそしっかり良い準備をして、キャプテンらしく良い運動量をしっかり果たして、ちゃんと自分がリーダーになってチームを引っ張って行く役割を果たしていくというチャレンジを自分にも刻んでいました。しっかりその形で自己のメンタルの準備もしていて、私自身もこの試合では良い形でポジションできたからこそ、良いチェイスもできて、相手に当たることができたと思います」

──代表候補資格がワールドラグビーに認められず、日本代表スコッドに入れなかったが、これから代表資格が取れる時期まで目指すのか? そういうものが今日の試合のモチベーションに繋がったのか?

「良い質問です。おっしゃるとおり、残念ながら今回は日本代表に入るための資格を入手することができませんでした。もちろん、将来的に日本代表になることができれば、すごく素晴らしい目標であるし、さらに、いつか、心の底にまだ残っている希望の一つですので、それに向かって選手としてしっかり成長を続けていきたいと思います。一方、今日の試合のモチベーションとしては、どちらかと言えば近鉄の代表として、しっかり試合をするということが一番大きなモチベーションになったと感じています。あとは、相手にジミー(ジェームス・ムーア)選手がいて、彼は日本代表の候補として名前を挙げられている選手の一人ですので、彼に対しても自分がロックとして、より良いパフォーマンスをして、自分が勝るのであれば、自分の成長にもつながるのではないかという、チャレンジ精神と言うか、競争心がモチベーションになりましたけれども、やはり近鉄のために近鉄をしっかり勝利に導くためにできるだけ力を尽くしてやって行こうと、その気持ちでやっていましたので、モチベーションの源は私のクラブです」

ゲニア選手(左)、ストーバーク ゲームキャプテン

ゲニア選手(左)、ストーバーク ゲームキャプテン

ウィル・ゲニア選手 SH

「私たちにとって、トップリーグチームに対してプレーするのはチャレンジでした。特に豊田自動織機戦以降、あの試合は負けてしまったと同時に、どう戦わなければいけないかという気持ちを学んで来て、あの試合から学んできたこと、出てきた課題などをしっかり1週間かけて分析して、次の週はこの試合に臨むために準備して来ました。特に今日の目立った働きは、まずは自分たちのオフ・ザ・ボールの時の運動量です。自分たちのやりたいこともできましたし、特にキックチェイスについてと、相手に蹴られた時のキックリピートの時にもしっかりチェイスしていて、オフ・ザ・ボールの時の動きは良かったと思います。あとはもちろん、私たちのチーム近鉄の、サニックスさんに対してチャレンジして、しっかり挑んだところも、選手の働きを含めて非常に誇らしく思います。数年間トップリーグでプレーできない時期が継続したのに、全員で力を合わせて、このトップリーグに戻ってきて、今日の試合にしっかり良い形で挑むことができ、進化もできて良い形で勝利を収めることができました。すごく喜ばしいと思います」

──スクラムハーフとして、人数が少なくなった時にディフェンスをどのようにコントロールしたのか?

「まず、このようなシチュエーションは、ウチのコーチ陣は練習の時に、こういう対策をしていきましょうとバーチャルでシナリオを作っています。それをちゃんと練習で準備していました。例えばバックローが一人抜かれた時にどうやって14人で収奪するのかとか、スタンドオフが抜かれたらとか、仮想的なことをシンビン等に対して準備しているからこそ、今日も焦らずに良い形でできました。特にディフェンスのところでは、フロントラインにプラグインして、自分でもしっかり止めるように努力して、できる限りディフェンスにもしっかりコミットして意識して、しっかり心を配りました。それに応じて点数の範囲もそこまで崩れずに持続できたし、最後にキャプテンが言ったようにお互いのハードワークをしっかりやろうという気持ちがあったからこそ、良い形で試合を締めることができたと思います」

──片岡選手のトライの前、ずっとフェイズを重ねて最後にハイパントした判断は?

「判断材料はスペースですね。相手がスペースを空けている感じがしましたので、確認できたから、そこに蹴り込めばチャンスになるのではないかという判断でした。あとは自分のスキルを信頼して、スペースをちゃんと獲得するために、自分のスキルをマックスで生かそうという気持ちでしっかり蹴り込んで。それを遂行できたから、結果、トライになったのですけれども、同時にやはりそこで反応してくれた片岡選手自身は特にキックチェイサーとしてものすごく能力の高いWTBの選手なので、私としっかりコネクションしてちゃんと自分のプランを感じたから、彼も良いチェイスをして、そのまま相手のゴールに駆け込んで行って、最終的にスコアすることができました。結構、我々のクラブで言っているのですが、キックがある程度乱れたとしても、キックチェイスそのものがものすごく良かったら、結局、悪いキックは良いキックになるという考え方があるので、まさしく、片岡選手はいつもそうしてくれているからこそ、自分も自信をもって蹴れています」

シオサイア・フィフィタ選手 CTB

「僕にとっては初めてのトップリーグチームとの試合でした。近鉄に入ってずっと毎日取り組んで来て、こういうタフな試合の中で、どれだけ自分の強みであるアタックが通用するかずっと楽しみにして来ました。少しミスもあったが、それを仲間たちがカバーしてくれて。あとはパナソニック戦に向けて、しっかり一日一日を大事にして頑張っていきたいと思います」

──自分のアタックとハードワークに対する評価は?

「前の試合に比べたら、成長はしているのではないかと思います。ボールを持ったらしっかりゲインラインを突破して、それが今日の試合ではしっかりできたのではないかと思います」

──前回の豊田自動織機戦ではフェイズ中のコミュニケーションに課題があったと述べていたが?

「確かに豊田自動織機戦では一つの課題としてありました。コミュニケーションのところは今日は完璧と言うか、前の試合よりは良い感じにできました」

──社会人として2試合目で、前の試合ではまだまだと述べていたが、今日はどうだったか?

「まあ、1試合1試合しっかり成長していきたいと思います」

──日本代表候補に選ばれたが、今のところ、どんな課題や手応えがあるか?

「まあ、アタックだけでは多分入れないと思うので、アタックでもディフェンスでもしっかり。そういうところのフィジカルでは絶対負けないように、それを意識しています」

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