トップリーグ2021 プレーオフ2回戦レポート(サントリー 76-31 NEC)

ジャパンラグビー トップリーグ 2021 プレーオフトーナメント 二回戦
2021年4月24日(土)14:30キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場
サントリーサンゴリアス 76-31 NECグリーンロケッツ

NECグリーンロケッツ

NECグリーンロケッツの右から、浅野ヘッドコーチ、中嶋 共同キャプテン、瀧澤選手

NECグリーンロケッツの右から、浅野ヘッドコーチ、中嶋 共同キャプテン、瀧澤選手

浅野良太ヘッドコーチ

「試合開催に当たって、非常に厳しい状況の下、会場を整えていただいたこと、また、応援に来ていただいた皆様を含め、本当にありがとうございます。感謝しています。中嶋キャプテン中心に1週間準備してきました。残念だったのは、レッドカードで一人少ない状況になってしまったことです。これは非常に残念な結果でしたが、後半は14人で立て直して最後まで戦い続けたところは、選手がしっかり見せてくれたと思います。トーナメント戦ですので、(今日の敗戦により)今シーズンはこれで最後になりました。このメンバーでもう戦えないことが寂しいです。今日出たメンバーはこの1年やってきたことをピッチで出してくれたと思います。選手に本当に感謝しています。また、サポートいただいた皆様にも大変感謝しております。ありがとうございました」

──今年、苦しい戦いが続きましたが、最後には(先週の織機戦で)勝利をし、成長が見えてきましたが、戦っている中で成長を感じた部分と、来季に向けてのここはもう少し上げていかなければと感じているものは?

「成長ということでは、昨年度も6試合でトップリーグが中断してしまい、そこから約1年間公式戦はありませんでした。我々は、若い選手が非常に多い中で、今シーズンは試合を通じての経験・自信を得た選手が多くいたと思います。試合ごとにプレーの精度が高くなってきたところは今日も見ることができました。来シーズンは、また、今シーズンの振り返りをした上で始まると思いますが、今シーズンの成長という意味ではそういった部分かと思います。選手は本当にハードワークを続けてくれました。また、今シーズンは我々からもコロナ感染者が出てしまい、スケジュールを組み替えることが複数回ありました。そこからもう1回立ち直る、立て直すところは素晴らしい成長だったと思います」

──来年からの新リーグに関しては成績以外のところも評価されてチームが各リーグに配置されると思います。今後配置が決定されるリーグの中でどのようなチームでありたいと思いますか?

「中嶋キャプテンが言ったとおり、応援されるチーム、応援しがいがあるチームでありたいです。魅力をそれぞれに感じてもらい個性を出していければいいと思います。地域性も今後は更に強く出てくると思います。千葉県の方々と一緒にラグビーを楽しんで盛り上げていければいいと思います」

中嶋大希 共同キャプテン SH

「監督も言いましたとおり、今日も多くの皆さんが試合を見るために足を運んでくれ、すごくいい雰囲気の中でラグビーができたことを嬉しく思います。そのような中で、トーナメント戦なので『負けたら終わり』というプレッシャーがありましたが、今シーズンとしては、技術云々ではできることは出し切ってやってきたつもりです。今日の試合は全員が『NECプライド』を出すということで試合に臨みました。試合では前半にレッドカードが出て、そこから非常に苦しい展開になりましたが、その中だからこそ『NECプライド』を試されるいい試合だったと思います。結果的には点差は大きく開きましたが、NECをよく知らないファンの方はNECのことをボロボロなチームでもよく頑張っているなとの印象をもったかも知れませんが、自分を含めチームメイトは今日の試合をとても誇りに思っています。レッドカードが出て、苦しい状況の中でシーズン通して皆ハードワークして、下を見て落ち込む時期もありましたが、今日の試合では声を掛け合って、上を向いて、どんどんプレーが良くなっていきました。そういう試合ができたことを全員誇りに思います。『NECプライド』を最後に出せたと思います」

──中嶋選手はストレングスがすごいことはこれまでも聞いていましたが、今日も江見選手相手にいいパフォーマンスも見せていました。サントリー相手でああいったフィジカルの強さがついたことは自信になったと思いますが、ご自身ではどのように考えていますか?

「フィジカルの部分は自分でこだわっている部分でもあります。トップリーグにいろいろなSHがいる中で、皆と同じようなプレースタイルをしているだけでなく、個性を出せるSHになりたいと思っています。その一つとして、日本人のSHはストレングスが弱いと言われがちですが、そこを自分は克服してストレングスの強さを自分の強みにしたいと思って、大学の時からプレーしてきました。そこを少しでも評価していただけるのは嬉しいことです」

──中嶋選手の最後のところ(後半40分)のトライを振り返ってコメントお願いします。また、後半開始早々には執念でスクラムを皆で押していました。ああいったところが『プライド』と思いますが?

「試合終盤になるにつれて、本当に体はきついですし疲労はピークだったと思いますが、気持ちで途切れなかったというところは見ていてもわかったと思います。フォワードのキャリーも、ブレイクダウンも、モール、スクラムでも『NECプライド』が試されていたと思います。皆、体を張って証明してくれていました。ファンの方々の声援も聞こえましたし、緑色のウェアを着て応援してくれている方が本当に多くいました。シーズン通して、なかなか勝てない中で継続的に応援してくれたファンの皆様の気持ちが伝わっての最後のプレーだったと思います。そういったところでもチーム関係者とファンの皆様にありがとうございましたと言いたいです」

瀧澤直選手 PR

「コロナ禍の状況で明日以降もどうなるのかもわからない中、このようなかたちで試合をできたことに感謝いたします。ありがたいと思います。シーズン通していろいろなことがありましたが、来シーズン以降に『このシーズンがあったので』と言えるような課題があるようになるのが、今シーズンの意味でもあると思います。悪かった部分は教訓として、良かった部分は次につないで更に良くするということで、この今年最後の試合がそういうふうになれば、来年以降、NECとしてプライドを持って戦っていけると思います。今日の試合では80分の時間のうちのかなりの時間を14人で全勝のチーム相手に戦う、難しい戦いでありましたが、最後にNECの時間を作れたことは僕もチームメイトも誇りに思っていいと思います。来年以降、このような(NECプライドを持てる)時間をもっと持てるように努力していければと思います」

──ベテランの瀧澤選手にとって、トップリーグが今年で終わってしまうことについて、ベテランとしての思いはありますか?

「僕がトップリーグを語るのはちょっと、荷が重いですが、NECとしてはトップリーグ優勝も経験していませんし。最高順位云々を言ってもしようがありませんが、僕自身は10数年やってきていますが、肌で感じていることとしてはどんどんレベルが上がってきていると思います。日本代表の強化や世界のトップレベルの選手がトップリーグに参加してプレーしたりすることが直接トップリーグのレベルアップに繋がっていると思います。僕が初めてトップリーグでプレーした10数年前と比べて、今日の試合のレベルは圧倒的に違うと思います。それはやはり多くの関係者の皆さんが作り上げたレベルアップだと思います。トップリーグは今年で終わり、来年からは新しいリーグが始まりますが、きっと日本のラグビーを盛り上げて、さらに日本代表が強くなるようなフォーマットになるだろうとの期待感を持っていますし、1選手としてもそのような新しいフォーマットになることに感謝したいと思います」

──今日は大差での敗戦となりましたが、上位のチームと戦えるトップリーグがあるということは選手にとって大きなものでありましたか?

「今日はこのように点差が開いた試合になってしまいましたが、もっとタイトな試合が多くあることが見ていても面白いリーグだと思います。この10数年間のトップリーグではトップリーグ以前と比べてもそういった試合が増えてきたのだと思います。今日はそういった意味では申し訳ない試合になりましたが、今後、下馬評では下位のチームが勝つような試合が見ていて面白いと思いますし、そういった試合が増えればいいと思いますので、プレーヤーとしてはそういう試合を増やさなければいけないと思います」

──ヤマハ発動機の五郎丸歩選手が、今日をもって引退となりました。五郎丸選手へのメッセージなどありますか?

「僕が五郎丸先輩に一声などと言う偉そうなことは言えませんが、一選手として2015年ワールドカップを見ていて、ラグビーが盛り上がり、その矢面に五郎丸選手が立つことになり、それへの五郎丸選手本人の覚悟を一人の選手として感じていました。プレーに影響が出るほど、いろいろな活動をしていましたが、それでも、ラグビー界のためにと思ってやっていたと思います。トップリーグの全選手が心から『ありがとうございます。お疲れ様でした』と言える方だと思います」

サントリーサンゴリアス

サントリーサンゴリアスのヘイグ監督(右)、中村キャプテン

サントリーサンゴリアスのヘイグ監督(右)、中村キャプテン

ミルトン・ヘイグ監督

「前半の内容については満足しています。フェイズをしっかり重ねて得点を取ることができました。後半にも同じようにフェイズを重ねて得点できたシーンもありましたが、ターンオーバーでボールを相手に与えてしまったり、アタックからディフェンスへのトランジション(切り替え)の反応が遅かったりしたところがあり、2試合連続して相手チームに30点以上の得点を許す結果となったところは満足できていません。しかしそこはポジティブにとらえ、次のリコー戦に向けてしっかりと改善して臨みたいと思います」

──今回、準備期間が2週間ありました。次戦にも2週間の準備期間があります。2週間、チームとしてどのようなスケジュールで過ごしてきましたか? また、次のリコー戦まではどのように予定されますか?

「ノンメンバー(試合に出る23人以外の選手たち)にもしっかりゲームタイムを与えたいと考えているので、来週はクボタと練習試合を組んでいます。練習する日は、当然インテンシティ(プレーの強さ、激しさ)を高くしたいと思っています。ただ、オフのバランスも重要だと思い、この2週間準備してきました。選手たちがフレッシュな状態で試合を迎えるようにオフの時間をとりながら練習時間を組んでいます。先週は、2週間の中で4日間オフの日を取って今日の試合に臨みました。東芝戦が雷雨再試合になって休みが十分に取れていませんでしたが、この2週間の中で4日間のまとまった休みを取りました」

──今日、WTB中鶴選手は今季初先発でした。起用理由と彼の今日のプレーについて? また、もう一人のWTB江見選手はシーズン後半から試合に出てきて日本代表候補にも選出されています。2人のWTBについてのコメントをお願いします。

「テビタ・リーが今季はプレー絶望となるケガをしてしまい、その意味でも中鶴選手にチャンスがきました。中鶴選手も少しケガがありましたが試合に出られる状態になってきて、6週間いいトレーニングをしてこの試合を迎えました。その中で80分間しっかりいいプレーをしてくれました。そこに関しては満足しています。江見選手はリコーとの練習試合でいいプレーをしてくれました。そこでのいいパフォーマンスの後から江見選手を先発で起用しています。練習試合でのパフォーマンスから、その後の試合でもいいパフォーマンスを続けて、日本代表候補に名前が入ったのだと思います。2人ともゲームタイムを得て、いいプレーを続けて欲しいと思います」

──ノンメンバーや若手選手が成長する環境はどのように準備しているのですか?

「チーム内の競争が、いいパフォーマンスを生んでいると考えています。それについては7週間~8週間、ずっと内部での競争について話をしてきています。プレシーズンの時から話をしてきたことですので、チーム内の競争がチームの厚みを作っていると思います。リョウト(中村キャプテン)も言ったとおり、ノンメンバーを含めて44人の選手がしっかり内部での競争ができていることがチームとしてのいいパフォーマンスを生んでいると思います」

中村亮土キャプテン CTB

「結果として今日、勝利したことで、優勝に向けて一つ進むことができて良かったと思います。ただ、自分たちの伸び代を感じられるゲームでもありました。1週間試合がありませんので、そこは一つ一つクリアにしていってレベルアップして次に臨みたいと思います。次に向けいい準備をしたいと思います」

──後半にNECに多くスコアされました。メンバーを入れ替えた後に起きたと思いますが、ピッチではどのように感じていましたか?

「まず、シンプルなタックルミスが増えて、すこしずつゲインされて少しずつくい込まれていました。点差が開いたこと、集中力が切れた時間帯だったこと、テクニック不足などいろいろあると思います。ひとりひとりタックルをもう一回見つめ直して次に向けていい準備をしたいと思います」

──今年のサントリーの良さの一つの原因は新しく入ってきた選手やベンチの選手たちの充実だと思います。若いベンチメンバーの充実振りは、どのように思いますか?

「まず、頼もしいです。ウチの今シーズンのいいところは、15人だけでなく23人、また、ノンメンバーの選手も含めて全員が同じように戦えるところが強みだと思います。誰かがケガをしてもバックアップがいて、それがまた強みになったり、江見選手、中鶴選手が出てきたりというのもあります。日々の練習から意識高くやっているので、それが表れてきていると思います」

江見選手(左)、森川選手

江見選手(左)、森川選手

森川由起乙選手 PR

「前半は開始からサントリーの持ち味のアタッキングラグビーが出て、いいかたちで前半を終えて、この試合をしっかり締めくくって次に繋がる試合にしていこうと後半に臨みましたが、NECのいいプレッシャーもあり、うまくかみ合わずに反省点がすごく残る試合になりました。しかし、その分、僕たちがもっと成長できるいい試合になったとしっかり受け止めて次の試合に向けて準備していきたいと思います」

──日本代表候補に選ばれましたが、代表候補に選ばれて嬉しいところ、またチャレンジングなところでの思いは? 森川選手は大学時代から機動力を発揮していますが、特に今日は、走り込んでくるアングルの良さが目立っていました。あれは森川選手個人の判断によるプレーですか、それとも、チームとして準備していたプレーでしたか?

「正直なところ、サントリーに入ってからは悩むシーズンが多かったのですが、代表候補への選出は特にスクラムの部分でやり続けた結果だと思いますので、今回52人の代表候補に選考されたことは素直に嬉しく思います。しかし、日本代表候補を意識することより、まず、サントリーとして優勝するために自分の役割をチーム内で果たすことを一番に取り組んでいます。僕の持ち味であるフィールドプレーでは、チームのかたちとしてプロセスをしっかり踏んでパートナーとなる選手とのコミュニケーションをとって、自分のアングルなど細かなコミュニケーションを練習の時からやっていることによる信頼関係があるので、思い切り走り込んでいいゲインを取り、ブレイクできたと思います」

──相手ボールのキックオフでいい状態に持ち込むことができていましたが、チームで何を意識してそれができているのですか?

「今日の組み立てでは、キックオフでは自陣からスタートするのでキックのオプションやフォワードでダイレクトに当たるとかのオプションの中で、相手のディフェンスを見てのプレーができたのでたまたま僕がラインブレイクできたときがあったと思います」

──タイトファイブの選手の運動量などで優位に立てていたと思いますが?

「練習からフォワードもバックスもハードワークをしているのでそこの差がしっかり出せたかと思います。そこには自信を持っているので、今日はインプレー時間を長くするということで臨みましたが、しっかり走り勝ててサントリーとしての態度を出せたと思います」

江見翔太選手 WTB

「自分たちがボールを持った時間帯にはいいアタックができて前に出てトライまで持っていけるシチュエーションはたくさんありましたが、試合全体を通してみるとディフェンス部分で自分たちの課題が浮き彫りになったところもあります。ここからはノックアウトステージで負けたら終わりですので、次のリコー戦まで2週間あるのでしっかり改善してリコー戦に臨みたいと思います」

──今年のパフォーマンスを見ていると、ケガから戻ってきてから非常に好調だと思います。自分のパフォーマンスとしてはどれくらい戻ってきた感じですか? また、日本代表候補に選ばれた気持ちは?

「ハムストリング=肉離れでしたので、WTBとしては致命傷ともなりうるケガでした。しかし、チームのメディカルスタッフほかの方々からしっかりサポートしていただき、ここまで回復できました。今はケガのことを全く気にせずに走れていますので、ケガをする前よりも調子がいいと思っています。まだまだ29歳ですので、まだ向上心を持って頑張っていきたいと思います。今回、日本代表候補に選ばれたのは正直、自分自身でもビックリしています。2017年シーズンのサンウルブズに選ばれた後にはワールドカップ日本代表を目指していた時期もありましたが、今回、こういったかたちでチャンスをいただき、(35人の代表枠には)当落線上だと思いますが、このノックアウトステージでもしっかりアピールして頑張っていきたいと思います」

──ケガをしていた時のモチベーションの保ち方は? また、毎年、サントリーにはいい選手がたくさん入ってくるので、どのように気持ちを切らさずに、このようにチャンスを掴むところまで来ることができたのか? また、以前に比べてハイボールへのプレーなどで体のインテンシティ(強さ)などが出ていると思いますが、ご自身でのプレーの強みについての認識は?

「WTBのポジションは激戦で若い選手も足の速い選手もたくさん入ってきます。今シーズンはテビタ・リーが不動の11番だったこともありますが、自分はいつメンバーとして選ばれて出ても、試合で貢献できるように毎週練習をしていました。メンバー外になっても、選ばれたメンバーのチームに対して、対戦するチームのマネをした相手チームとなって相手をイメージさせるような練習をします。そこで試合メンバーに対してプレッシャーを掛けて試合のほうが楽だと思わせるような練習をしようと日頃から考えていました。今回、ケガ人などがありチャンスがありアピールできたことが候補選出に繋がったのだと思います。『強み』としては、僕は日本人のWTBとしてサイズはあるほうだと思いますので、フィジカルの部分では負けないようにしたいと思います。ハイボールへのプレーについては今年、自分でも改善を心掛けていて、今日のようにSOバレット選手がキックしたボールを自分がキャッチするようなシチュエーションではしっかりプレーしたいと思っています」

──江見選手の中での日本代表のWTBのイメージとは?

「ワールドカップでの福岡選手、レメキ選手などのようにスピードとフィジカルとナレッジを兼ね備えた選手かと思いますが、外側でもフィジカル負けしないWTB、自分でもラインブレイクやモメンタム(勢い)をつけられる選手が(代表に)なれるかなと思います」

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