トップリーグ2021 プレーオフ2回戦レポート(クボタ 46-12 ヤマハ発動機)

ジャパンラグビー トップリーグ 2021 プレーオフトーナメント 二回戦
2021年4月24日(土)12:00キックオフ/東京・江戸川区陸上競技場

クボタスピアーズ 46-12 ヤマハ発動機ジュビロ

ヤマハ発動機ジュビロ

ヤマハ発動機ジュビロの左から、堀川監督、大戸キャプテン、奥村選手

ヤマハ発動機ジュビロの左から、堀川監督、大戸キャプテン、奥村選手

堀川隆延監督

「今日のゲームを振り返ると、まず前半我々が準備していた通りいろいろなスペースにボールを動かせば、得点が取れるという手応えを掴んだ最初のスタートだったと思います。後半最初の敵陣ゴール前5mでスクラムを押していながら得点できなかったことが、今日のゲームに関しては大きな敗因になったと思います。あそこで得点に繋げることができれば、我々にもチャンスがあったのではないかと思います。
これでシーズンは終ってしまうわけですが、チームに声援を送って下さったファンの皆様と家族の皆様には本当に申し訳ない結果になってしまったと思っています。しっかり今シーズンのレビューを活かして、来季以降強いチームを作っていきたい」

──後半最初敵陣ゴール前での攻めに10分近くかかってしまったが?

「時間をかけても良いと思っていました。後半先に得点することが大事で、しかもスクラムが得点源になれば我々に流れが必ず来ると思っていましたので。あの後スクラムからボールを出したあとの展開が、しっかり準備できていませんでした。用意したことができなかったことが残念な結果に繋がったのだと思います」

──ヤマハの今後をどう考えていますか?

「我々のラグビーの背骨となるポジションと世代交代を、ここ数年で作っていかなければならない課題だとして捉えています。今回、五郎丸歩選手のコンディションが100%ではないという私の判断から奥村翔選手(FB)を起用したのですが、若いからではなくヤマハのスタイルをやり切るだけのポテンシャルを持っている選手なので、彼の力に託しました。若い選手がこういう経験を積めたということがチームの財産になるし、この負けた悔しさを来季以降胸に秘め頑張ってほしいと思います。
今日先発した奥村選手、庄司拓馬選手(FL)のルーキー2人は、非常に良いパフォーマンスであったと思うので、将来が楽しみです」

──五郎丸選手のコンディションはどうですか?

「先々週(4月10日)のパナソニック戦は前半で退きましたが、その時足の肉離れの診断が出ていました。本人は最後までファイトしたいとのことで、本来はリハビリしなければならない状態であったが、全体の練習に参加していました。昨日もノンメンバーの中で、先頭に立って激しい練習をし、チームのために最後まで体を張ってくれました。今日勝てなかったのは本当に申し訳ないのですが、最後の最後まで五郎丸選手らしくチームのためにやってくれたと思います」

大戸裕矢キャプテン FL

「大会を開催して頂いている関係者の皆様、応援に来て下さったファンの皆様本当にありがとうございます。
ゲーム内容としては堀川監督と一緒で、敵陣ゴール前5mで点が取れなかったことがターニングポイントであったと思います。取り切れる自信はあったのですが、取り切れないのが現状で、それが今のヤマハのレベルかなと思いますので、そういうところを成長に繋げていきたい。ヤマハ発動機ジュビロとしては、今シーズンは終わりましたが、来シーズンは新リーグでもっと強いチームとして帰ってきたいと思います。今シーズン、温かい応援ありがとうございました」

──五郎丸選手からチームに対してアドバイスはありましたか?

「直接はありませんでしたが、五郎丸さんは言葉ではなく体で示してくれる方なので。先週の練習もBチームに入って激しいエナジーというか、最後の気迫は自分たちの刺激になりましたし、『頑張って勝って次に進まないと』という姿勢になりました。五郎丸さんはプレーヤーとして引退されますが、僕たちの胸にはそういうプレースタイルは残っていきますので、今後もリスペクトしていきたいと思っています」

──後半始めの敵陣ゴール前のアタックについては?

「ベストシナリオは、スクラムトライをしたかったのですが、スクラムが崩れてしまって。そこからフォワードベースでいきたかったのですが」

──ヤマハの目指すアタックがやり切れなかったのは?

「自分たちの意図しなかった所にボールを運んだときに、もう一度立て直す力やターニングポイントでスコアを取り切る力が今年弱かったと思います。自分のゲームマネージメントや取り切る力も、まだまだ伸びしろかなと思います」

──試合後選手たちに涙を持って声をかけていましたが?

「先週今週と試合に出られなかったメンバーたちが、力のこもった熱い練習をしてくれたので、その恩返しとして勝利を届けたかったのですが、こういう結果となって悔しい思いがありました」

奥村翔選手 FB

「今日初キャップということで、ヤマハのジャージを着ることができたことは本当に嬉しく思います。自分自身は、ランとキックを持ち味として一生懸命プレーしましたが、まだまだ力不足のところがあったので、来シーズン、チームの穴を埋められるように頑張っていきたいと思います。今日はありがとうございました」

──ヤマハの15番の重みについては?

「ヤマハに入ってまだあまり時間が経っていませんが、五郎丸さんの熱いプレー、チームを引っ張る姿を見て、フルバックとして後ろからチームを支えるそういうプレーヤーが15番だと思いますので、しっかり受け継いで来シーズンに活かしていきたいと思います」

──試合前後に五郎丸選手からかけられた言葉は?
「試合前は、『自分がやってきたことを信じてやり抜け』と背中を押されました。試合後は、『来シーズンに向けて力をつけろ』と言われました」

クボタスピアーズ

クボタスピアーズのルディケヘッドコーチ(左)、立川キャプテン

クボタスピアーズのルディケヘッドコーチ(左)、立川キャプテン

フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「今日の結果についてはハッピーで満足しています。前節のトヨタ戦、その前のサントリー戦は望んだ結果ではなかったので、今日は良いパフォーマンスを見せられ、良かったです。ここにいる立川理道キャプテンをはじめ、選手各自がしっかりと貢献してくれたので勝利に結びつきました。気分はすごく良く、プレーオフの準決勝に向けてやっていきたい」

立川理道キャプテン CTB

「このプレーオフで、ヤマハとの対戦が決まってからは、先々を見ずにこの一戦に向けて準備してきましたが、その結果がしっかりと出たので嬉しく思います。次の試合まで少し時間が空くので、今日の反省をしながら、負けたら終わりというプレーオフをチームが楽しめるようやっていきたい」

──先制トライはされたものの、クボタのディフェンスは冷静にプラン通りにプレーされていたようですが?

「最初のトライはファーストタックルの選手が受けてしまい、相手に勢いに乗られてしまったうえでトライを取られてしまいました。しかし、『慌てずに修正しよう』とチームハドルで話したことができ、試合を通してディフェンスのシステムを信じ切って最後までできたと思います。ただ、まだまだ改善すべきポイントはあるので、満足せずに次に向けて修正すべきところを修正していきたい」

──随分と浅いラインのところでもしっかりとゲインが切れていたようですが、ヤマハの強い選手に対し前に出る自信はあったのですか?」

「アタックについてもしっかりと準備をしてきました。相手のディフェンスシステムを理解したうえでアタックに関しても上手くいったと思いますが、改善ポイントはまだまだあります。この試合に向けて準備してきたアタックとディフェンスができたのかなと思います」

──後半の頭に立川選手がジャッカルを決め、自陣でのピンチを切り抜けたときの状況は?

「最後は私がジャッカルをしたのですが、味方FWのスクラムも辛抱強く組み続けてくれましたし、ゴールラインを割らせずにディフェンスできた。ジャッカルを狙って結果としても良かったですが、全員の努力によるものです」

──二つのぎりぎりの試合を勝てずに迎えた今日の試合に向けた修正部分と、その結果は?

「2試合に惜しくも敗戦し、順位的に対戦相手がすごく厳しいブロックに入ったことをポジティブに捉えて、対戦する強い相手に結果を残していくことで自分たちが成長できるというマインドを持てたと思います。ラスト2試合のディシプリンのところも少し反省が出ていたので、その点も今日の試合で修正できたのかなと思うので、更に良くなれるポイントを今日の試合を通じて探していきたい」

──今日の試合は、同じ日本代表として戦った五郎丸歩選手の引退試合となりました。『試合前のやりとり』や『ピッチで一緒に戦いたかった』という思いはありましたか?

「試合前に連絡はしていませんが、個人的にはグラウンド上で対戦できたら嬉しかったというのはあります。カンファレンスが違ったので、そもそも試合できる可能性がない中、こうして最後、ヤマハと対戦できたことはすごく縁があって嬉しいことです。最後、観戦に来られた五郎丸選手と会うことができ、『次、また頑張って』という話もしていただいたので、その思いも背負いながら戦っていきたい」

ファンデンヒーファー選手(左)、井上選手

ファンデンヒーファー選手(左)、井上選手

井上大介選手 SH

「クボタとしては、ヤマハのことを分析し、やろうと言っていたアタックとディフェンスを実行することができたと思います。最初トライを取られたところは、ちょっと食らってしまいましたが、その後もう一回切り替えて自分たちのプレーをしていこうというところで、アタックをしっかりしてスコアできたので、落ち着きを取り戻して、いつも通りにクボタらしくラグビーができたと思います」

──序盤の最後、左オープンでトライをとった際のラックの場面で、井上選手が競り合った相手SHからボールをもぎとってマルコム・マークス選手(HO)に渡したプレーですが、井上選手の気の強さのようなものを見たかなと思いましたが?

「ボールが見えたので、そのまま取りに行ったら、取ることができたものです。気の強さというよりは、いつも田邉コーチから『下のボールには飛び込め』と言われている通りに体が動いたためだと思います」

──ゴール前で、ヤマハにスクラムで重圧をかけられた約7分間の場面、クボタは良く守っていましたが、スクラムサイドにいた井上選手の感想は?

「相手がスクラムで来ることはわかっていましたので、逆にそこを止めることができればいけると思っていました。ペナルティでも相手はスクラムを選択してきたため、スクラムにこだわっているなと感じました。ただ、味方のスクラム自体が負けているというよりは、相手FW1番が落としているようで、味方FW3番の北川賢吾選手が耐えていました。ヤマハはスクラムが得意で強くレフリーは難しかったと思いますし、選手たちも一瞬一瞬のプレーで優劣が分かれ、気の抜けない激しいスクラムを組んでいるなと思っていました」

──今日、クボタの錚々たる経営陣の方々が応援に来られていた中でプレーする緊張感や勝ち切れたことに対する感想は?

「クボタは大きな会社ですが、社長や副社長が時間を割いてラグビー部のためグラウンドまで足を運んで観ていただけるのは我々の励みになっています。社長が来ていただけるチームである、期待されていることなどを強く感じています。社長や上の方がいらっしゃるから、そのために勝つという訳ではありませんが、勝つことができればいつも褒めていただけます。この前もグラウンドで激励していただきました。グラウンドやゲーム中を問わず、厚いサポートと社長を身近に感じることができる素晴らしい会社であると、いつもプレーヤー間で話しており、励みになっています」

──今日は上手くボールを動かしていたと思いますが、特に良かったところは?

「相手は、ブレークダウンであまりファイトして来ないので、SHにとってはやり易かったです。ちょくちょく来る選手はいるのですが、その選手がいないとボールはすぐに出るのでさばきやすかった。我々が意識していたのは、味方のアタックが相手のディフェンスで流されないよう縦を突くことで、相手のウィークショルダーを突いたアタックができました。そして、そのボールを素早くリリースして外に動かすラグビーを、イメージした通り、練習でやってきた通りに行うことができました」

ゲラード・ファンデンヒーファー選手 WTB

「今、井上選手が言っていた通り、最初の数分間はあまり良くないスタートでしたが、ノックアウトステージでプレッシャーがかかっていました。チームで同じ絵を見て、プロセスを追ってやっていくという話をして自分たちはしっかりやってきました。自然とセットピースやプレーを徐々にやっていく中で、自分たちの流れに持っていくことができました」

──ヤマハの五郎丸選手のラスト試合となりましたが同選手は出場されませんでした。彼と対戦したかったなどの思いはありますか?

「ヤマハとは、個人というよりもチームとして戦っていますので、そのような思いはあまりなく、自分のフォーカスポイントは『自分の役割を全うすること』と『何がチームのためになるのか』というところでした」

──今日の相手FB奥村翔選手の対策はどのようなものでしたか?

「過去の試合を見て、奥村選手が切り返してくることはなかったようなので、外側でプレッシャーをかけるようにしました」

──奥村選手の切り返しがなかったことは、どのように確認されましたか?

「チームとして、ヤマハの過去の2試合を分析した結果です」

──最近発表された日本代表候補に選ばれましたが、意気込みは?

「日本代表候補の52人の一人に選ばれたことに感謝したいし、すごく光栄なことであり、自分が過去2年間にわたり目指してきたことです。ただ、現在のフォーカスは、次のクボタの試合のために自分が何をすべきかということ。クボタで自分のベストパフォーマンスを出せれば、日本代表の結果も自ずと付いて来ると思うので」

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