トップリーグ2021 プレーオフ2回戦レポート(トヨタ自動車 49-29 日野)

ジャパンラグビー トップリーグ 2021 プレーオフトーナメント 二回戦
2021年4月25日(日)14:30キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場
トヨタ自動車ヴェルブリッツ 49-29 日野レッドドルフィンズ

日野レッドドルフィンズ

日野レッドドルフィンズ 左から箕内ヘッドコーチ、プル共同キャプテン、北川選手

箕内拓郎ヘッドコーチ

「こういったコロナ禍の中で試合が開催されたことを非常に嬉しく思いますし、関係者のご尽力のお陰だと思います。ありがとうございました。チームを代表して感謝を申し上げたいと思います。試合については、1年を通じて勝つための準備をして、この試合に1点差でも勝ちたいという試合でした。パフォーマンスであり、結果については非常に残念です。この1年通じて苦しいところからスタートして、選手がやってきたプロセスに関してはやはり満足しています。そのいいところは今日出ていたと思います。選手はそういった感謝の気持ちを今日体現していたと思います。また、今日、足らなかったところについては、今シーズンの総括をして、来シーズンはこういった場でも勝てるチーム作りをしていきたいと思います」

──後半の途中(後半27分)まで、4点差での善戦でした。どのあたりでうまくいっての試合運びだったのでしょうか? また、それでもラストに勝ちきれなかったのは何が理由だったと思いますか?

「選手全員、チーム全員、勝ちを信じて準備をしてきたところで、1人1人が自信を持ってプレーできていたので、50分~60分のところまではシナリオ通りだったかと思います。ただ、選手にケガ人が出たこともありますが、ちょっとしたプレッシャーの中でのスキルを見せつけられたところもありました。そういった意味では我々としてはまだ伸び代があると思いますし、今後の課題になると思います」

──北川選手のこの1年の頑張りはどう評価していますか?

「本来なら、こういったものは選手と1対1でシーズン後にやるものですが、北川選手は先週の練習試合でとてもパフォーマンスがよく、トヨタの重いフォワードに対してというところで、今日はリザーブでの起用としました。北川選手は自分のすべてをしっかりと出してプレーしてくれたと思い、私としても満足しています」

──後半、4点差まで迫ったところでの選手の交替を含めて、作戦としては順調でしたか?

「トヨタのような強豪チームと対戦するには、23人のスコッドで戦うことを意識しています。入替えに関しては想定通りでしたし、交替出場した選手も力を出してくれ、交替選手を含めて80分間しっかり戦ってくれました」

オーガスティン・プル 共同キャプテン SH

「今日の試合ではチーム全員のパフォーマンスに感謝します。選手達はすべてを出してくれました。もちろん敗戦は残念ですが、同時に私たちは胸を張ってホームに帰っていきたいと思います。今日の試合はチーム全体でファイティングスピリットを80分間出し続けることとして、全員で出そうとしてきました。それが今日はできたと思います。チームの皆を本当に誇りに思います。そこに関してはコーチ陣が1年間通してハードワークしながら私たちを育ててくれたことに尽きると思います。これに感謝します」

──北川選手の最後の(後半42分の郷選手のトライ後の)ゴールキックの件。最後のゴールキックを北川選手が蹴ることになった経緯など教えてください。

「1週間の準備の中でキタ(北川選手)がひっそりと1人でゴールキックの練習をしているのを見たことがありました。本人は隠れて練習しているつもりだったのですが、体が大きすぎて隠れての練習にはまったくなっていませんでした。(笑い)。北川選手が引退するということに対して、我々としてもいいかたちで送り出したいと思っていました。特に彼の1年目にはチームにすごいエナジーを入れてくれた選手でした。だから、気持ちを込めて最後のゴールキックはキタに蹴ってもらいました」

北川俊澄選手 LO (19番)

「今日、(コロナ禍で)難しい環境の中、試合をできたことを嬉しく思います。お客様がたくさん入っている中で試合ができることに大変感謝しています。試合としては、私たちが準備してきたものはすべて出し切ったと思います。その中でも、来年に向けて、来シーズンさらにいいチームになるきっかけになる試合だったと思います。今日の結果はあまりネガティブに考えずに来シーズンに繋げられる結果と思い、来シーズンさらにいいチームになってほしいと思います」

──後半11分から北川選手が交替出場したあとに4点差まで迫ることができましたが?

「4点差に迫ったところでは、チームの中で皆、自信がみなぎっていましたし、スクラム、ラインアウト、モールともいいかたちでできるようになっていました。チームとして『勝てる』と言う自信があったので、僕が交替で中に入ってそういうところに持っていけたことは良かったと思います。そういうところから勝ちに繋がるチャンスを拾えたら、試合をひっくり返すこともできたかなと思います」

──最後のゴールキックはどんな気分で蹴ったのですか? また、試合が終わった後、北川選手が泣いているようにも見えましたが?

「ゴールキックは人生で今まで蹴ったことがないので、イヤだといっていたのですが、皆が、僕がキックするように勧めてくれたので、とてもありがたいです。今はまだ本当に引退するという実感はないのですが、感謝させてもらいました。泣いているか泣いていないかというと、決して泣いていないです」

──北川選手は今日がラストゲームということですね? どんなトップリーグ人生、ラグビー人生だったでしょうか?

「そうですね。ハイ。ラグビーという競技をやりながら楽しかったですし、スポーツの原点は楽しむことだと思います。これまで18シーズンやった中ではもちろんシンドイ時もありましたが、本当に楽しいラグビー生活だったと思います」

──ラストゲームが対トヨタ戦になったことへの感想は? トヨタでプレーしてきた時と、日野に移ってからの2年間でご自分がどう変わったと思いますか?

「ラストゲームが対トヨタだということはすごく運命的だと思います。自分がいたチームとの試合でしたが、今日、僕としては最後の試合にするという気持ちはありませんでしたし、勝ちに行きました。ただ、トップリーグ最後のトーナメント戦でトヨタと戦えたことは純粋に嬉しいですし、こういう機会をいただいた箕内ヘッドコーチには本当に感謝しています。日野に来て2年間どうだったかということについては、やはりそれまで16年間、1つのチームにいてそこから新しいチームに行くということはすごく難しいと思いましたし、ゼロからキャリアを始めるつもりでやりました。その中で、このように常に試合に出させてもらえたことはありがたいですし、会社やチームの選手、スタッフに迎え入れてもらったことに本当に感謝します」

トヨタ自動車ヴェルブリッツ

トヨタ自動車ヴェルブリッツ 右からクロン ヘッドコーチ、茂野共同キャプテン、髙橋選手

サイモン・クロン ヘッドコーチ

「まず、簡潔に申し上げてひどい試合だったと思います。80分の試合が110分かかり、前半だけで60分かかっていたのでテンポとして非常に遅い試合でした。日野さんは、もちろんそこをプラスにして、テンポを遅くした点もあったかと思います。トヨタの観点からは二つあります。一つ目は私たちがこの試合に臨むにあたり、マインドセットのスイッチが入り切れていなかったことが挙げられると思います。セットするスピードや、フィールド上での動き、そういったところが非常に遅かったと思います。二つ目はスキルセットです。ディテールでのミスが多かったと思います。ラインアウトのリフトであったり、スキルのエクゼキューション(遂行)の中でのミスが目立ちました。この試合から学んで、次につなげていく糧にしたいと思います」

──マインドセットがうまくいかないのは練習でも兆しがあったのか、それともゲームに入って何か相手のプレーとの兼ね合いの中でそうなってしまったのか?

「メインのところだけ言うと、特に個人の責任、それも準備の段階での個人の責任、そういったところに尽きるのではないかと思っています。マインドセットという言葉はやはり面白いもので、これに関しては週を重ねてプレーヤーグループ並びにチーム全体としても話を重ねてきた点ではあります。やはり、日野さんはコンタクトゾーンをハードに来る、こういった話はずっとしていたとは思いますが、マインドセットという言葉の全体的な意味はフィールド上でいかに速く動けるか、そういったところに体現されて来ると思っています。例えば、前半においてはサポートのランナーが遅かったり、クリーンアウトに入るプレーヤーが一歩遅れている、もしくはラインアウトのセットが一歩遅い、そういったところでマインドセットを自分たちでコントロールして、かつ、自分たちがやりたいようなプレーをしていく、そのように自分たちでマインドセットをドライブして行く、そういったところで一歩遅れていたのかなと感じました。ただ、プレーヤーは、やはりフィールドでプレーしながらも、さまざまな状況に適応し、勝ちという結果を得ましたので、ここに関しては次の試合に向けて改善していきたいと思っています」

──ドコモの印象は?

「非常に体力のあるチームだと思います。ロックもサイズがありますし、特にPJペレナラ選手がドミネートするプレーヤーですし、コントロールが上手いですし、ゲームのマネジメントも非常に優れたプレーヤーです。そういったドコモさんの成長具合は神戸戦でも日野戦でも、かなり明らかになっています。ですから、ドコモさんについてはさまざまなチャレンジがある試合となるとは思いますが、私たちのプレーヤーはそれを楽しみながら取り組んでくれると思っています」

茂野海人 共同キャプテン SH

「お疲れ様です。まあ、勝利したことに関しては良い結果だったと思います。やはり、ゲーム内容のところはひどい内容だったなと思います。僕たちとしては速いテンポでやりたいという意図があったのですが、そこを相手にコントロールされてしまったところもありますし、細かいミス、エリアを簡単にマネジメントしていかなくてはならないところを無理に自分たちのミスで取り込まれてしまった場面がありましたし、ラインアウトの細かいディテールのところもミスが多かったなと感じます。あとはやはりブレイクダウン周りのところでも、キャリーしたあとにサポートが遅れたり、やはりそういう細かいところの積み重ねが良いプレーにつながってくると思うので、次の試合まで時間がありますので、しっかり課題を修正して、あと3試合、一試合、一試合集中してやっていきたいと思います」

──出だしにターンオーバーが2回続いて、点数を許したがトーナメント初戦の硬さがあったのか?

「リーグ戦とは違うというのは、チームに対して話していましたが。やはり、そこのマインドのところで上手く持って行けていなかったなということもあると思います。ただ、今回の試合で、やはり勝ちにいって、こういうプレッシャーを受けたというのは糧になると思います。次の試合につながることだと思うので」

── 一緒にプレーした北川選手が引退するが、贈る言葉があれば?

「そうですね。やはり北川さんはあの歳ですごくハードワークして、ラグビーに真摯に向き合っているのをトヨタにいる間も見ていましたが、すごい選手だなあというのがあります。やはり、ラグビーを引退されても、どういう道を行くかというのは分からないのですが、また北川さんと一緒に、何かしらどこかで縁があったら、プレーするとか、ご飯を食べたりとかしていきたいと思います」

── 最後の場面では、花を持たせたかなとか、やられたなとか、次の試合に影響あるなとか思いましたか?

「チーム的にはしっかりフィニッシュしないといけないと思います。やはり、ああいう状況では、しっかり最後を締めるというふうに思わせることが一番なので」

──今回、緊急事態宣言の中で、お客様を入れて試合をすることができたが、それについてどう感じたか?

「難しい質問です。僕たちプレーヤーとしては、観客の皆さんがいる中でラグビーできるというのは、本当に幸せなことだと思いますし、こういう状況の中、ラグビーができているというのはプレーヤーとして感謝しかないと思います。緊急事態宣言の下、そこは僕たちがコントロールできるところではないと思うので、しっかり、僕たち自身はラグビーに対してフォーカスして、もしプレーができるならプレーして、良いプレーを皆さんに見ていただいて、元気とか勇気を与えるようになりたいと思います」

──ドコモについて印象があれば?

「今シーズン、すごく伸びているチームだと思います。ドンドン良いチームになって来ているけれど、僕たち自身は相手チームというより自分たちのチームにフォーカスを置いて、何をするかということです。まあ、相手チームのことばかり考えていても良くないと思うので。分析とかはしっかりして、ただ、やることは自分たちにフォーカスを置いてやっていきたいなと思います」

髙橋汰地選手 WTB

「まずは勝利できたということは、次の試合につなぎ切れたということでトヨタにとってすごくプラスだったということなので、そこは得がたいことでした。細かいところのミスだったり、トヨタの波に乗りきれないところだったりとか、自分たちで自分たちを苦しめてしまったという印象がありました。この課題を改善して、次の試合につなげられるので、ネガティブなことばかり考えないで、次の試合を見て、しっかりトヨタ全員で次に向かって行けたら良いなと思います」

──出だしにターンオーバーが2回続いて、点数を許したがトーナメント初戦の硬さがあったのか?

「プレーオフトーナメントが始まって、上手くいかないとは思っていたのですが、やはり立ち上がりが良くなくて、そのときにもっと自分たちにフォーカスして、自分のすべきことを明確にして、先制されてもやることは変わらないし、自分たちの仕事っていうものをずっとやり続ければ、トヨタのラグビーってものが、もっともっと自然とできるようになると思うので、次の試合はもっとハードになると思うし、そこをしっかり勝ちきって、次の試合につなげられるので、そこはしっかり改善して、次は最初からトヨタのラグビーをもっとぶつけていけば良いのかと思います」

──逆転のトライ、締めのトライを取り切って、自分の仕事ができたと感じるか?

「はい。今日の試合では2トライ取れたということは、すごくポジティブなことだと思いますが、自分でもっとトライを取り切る力を付けたいというふうに考えていて、もっと絶対に自分がトライを取れるシチュエーションというものはこの試合もあったと思うので、そこはもっと自分のスキルの精度を上げて、もっと自信をもってプレーしていけるようになれば良いかなあと思います」

──次の試合でそれを見せられるチャンスが広がったということか?

「今までもこの試合もそうですが、1試合1試合、毎回課題が見つかるので、次の試合はしっかり自分のトライできる力を見せられれば良いかなと思います」

──後半、4点差まで追い上げられたが、チームの様子とか、声掛けして戦ったのか?

「4点差まで詰め寄られた時も、負けているわけではなかったので、しっかりエリアを取って、しっかりシェイプして、敵陣で止めて、ずっと我慢していけば、日野さんもキックを使ったりとか、ボールをロスすると思うので、そこでしっかりプレッシャーを掛けていこうと皆で話をしていました」

──後半、やられたとかはなかったのか?

「そうですね、自分も焦る気持ちはなくて、いつもどおり、キックオフではプレッシャーを掛けて、敵がパスを回して来たら、皆でコミュニケーションを取りながらやっていくという、自分の役割と言うか、自分のするべきことを考えながらやっていたので、あまりそこで焦るという気持ちはなかったです」

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