トップリーグ2021 プレーオフ準々決勝レポート(キヤノン 17-32 パナソニック)

ジャパンラグビー トップリーグ 2021 プレーオフトーナメント 準々決勝
2021年5月8日(土)15:00キックオフ/埼玉・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場
キヤノンイーグルス 17-32 パナソニック ワイルドナイツ

キヤノンイーグルス

キヤノンイーグルスの右から沢木監督、田村キャプテン、マレー選手

キヤノンイーグルスの右から沢木監督、田村キャプテン、マレー選手

沢木敬介監督

「(リーグ戦ホワイトカンファレンス)1位のパナソニックさんと対戦し、チームとして成長してきており、チャンスを作れるようになってきています。ただ、トップ4の壁を崩すには、チャンスをしっかりフィニッシュまでもって行く力が身につかないと、なかなかトップ4の壁を崩すのは難しいと今日のゲームで勉強させられました。ただ、後半諦めずにチャレンジする選手の姿勢は評価できると思います。この悔しさを忘れないで、来年は必ずトップ4の壁を崩せるようにチーム一丸となって前へ進んでいきたいと思います」

── チームの変化、成長した要因は?

「一人ひとりがイーグルスを良くしたいという思いを表現できるようになってきていることがパフォーマンスに繋がって、チームの力になっていると思います」

──良い準備をしているように見え、ポゼッションを増やしていればスコアも縮めることができたと思います。課題がある一方で来季に向けての自信になったのでは?

「勝って環境を変えていかなければなりません。例えばレフェリーの印象であったりもします。レフェリーを味方につけるのも勝たなければ変わって来ないと思います」

田村優キャプテン SO

「チーム全員で勝とうと臨んだ試合だったので、負けて悔しいです。格上の相手にチャレンジする今までと違う私達の姿をお見せすることができたと思います。チームメイトを誇りに思いますし、このチームの一員としてプレーでき、すごく嬉しいです。皆に感謝しています。今日は勝てませんでしたが、また次にこうしたチャンスがあれば、勝てるようにしたいと思います」

──後半、パナソニックの福岡選手に走られてから良い流れが寸断されたように見えたが?
「福岡選手はスペシャルな選手です。オブストラクションかと思ったのですが。落ち着いて試合のことを考えると取れる試合を落としたなと感じます。いろいろな流れはありましたけど、細かな所でチームとして成長しなければなりませんが、皆の頑張りのおかげで成長していると感じています」

──どの部分でパナソニックの強さを改めて感じたのか?

「このような試合は数多く経験していると思います。私は信じて試合に臨みましたが、全員がこうした図式を崩すような経験をしてきたわけではありませんので、その差だと思います。これは経験しないと上達しないものですし、そこはパナソニックが上手だったと思います。経験できて分かることもあるので、悔しいですが私は嬉しいです」

エスピー・マレー選手 WTB

「非常に難しい試合になりましたが、差は本当に小さかったと思います。規律の部分が少し足りていなかったと思いますけど、フランチャイズチームとして成長していく部分だと思います。前回のカンファレンスの試合では大差で負けてしまいましたけど、今日はチームとして勝てると信じながらプレーしていたところはチームとして成長したところだと思います」

パナソニックワイルドナイツ

パナソニック ワイルドナイツのディーンズ監督(右)、コーネルセン選手

パナソニック ワイルドナイツのディーンズ監督(右)、コーネルセン選手

ロビー・ディーンズ監督

「このような試合を素晴らしい会場でプレーできたことを嬉しく思います。この素晴らしいラグビー場を用意して下さった埼玉県のラグビー関係者の皆さんに感謝いたします。熊谷ラグビー場は、日本で一番のラグビー専用スタジアムだと思います。この場所で準々決勝を戦うことは今シーズンのチームとしての目標でした。この試合にチームとして良い準備をして臨み、今日は素晴らしい試合ができたと思います。キヤノンさんも良いパフォーマンスで我々にプレッシャーをかけてきて、お客様も楽しめた良い試合だったと思います」

── 福井選手が23番で入っていた理由と意図は?

「チームの中で80分間プレーをしないことを想定した選手がいます。ヒーナンダニエル、ベン・ガンター、布巻峻介選手などをカバーするために福井選手を配置しました。リザーブにフォワードを一人増やすことでセミシ・トゥポウ選手を起用しました。彼はセンターをカバーできる選手と考えており、それによって梶伊織選手がメンバーから外れたのですが、決して彼のパフォーマンスが低いというのではなく、我々の基本方針によるものです。我々の選手は複数ポジションをカバーできる選手が多く、仮に怪我人が出たとしても十分にカバーできる準備はしています」

──坂手選手が欠場しているが、準決勝への出場のメドはたっているのか?

「坂手選手はコンディションが万全ではなく、リスクを回避するために現在は島根一麿選手が出場しています。彼は今、良いパフォーマンスを続けているので、そこには何の疑いの余地もありません。次戦以降、起用する可能性はあると考えてください。メンバー発表を楽しみにしてください(笑)」

──失点17点は満足いくものか?

「チームのディフェンスには非常に満足しています。キヤノンさんの攻撃は試練だと思っています。前回、戦った時よりも、はるかにチームとして成長しており、新加入の選手もいますし、万全の状態で臨んでこられたと思います。プレーオフというのは簡単なゲームはありません。我々にとっても次に向けて良いゲームができたと思っています。今日が我々にとって試練であったことは間違いありません。その中で福岡選手の活躍が今日は光っていたと思います。福岡選手はアタックに目が向くと思いますが、チームにとってディフェンスでの貢献は大きいです。ブレイクダウンでの働きや、今日もターンオーバーがありました。ファンの皆さんも彼のパフォーマンスには満足していただけたと思います。今日が彼にとって熊谷での最後のゲームになるかもしれませんが、試合後に『もしかして来年も帰って来てくれるよね?』と尋ねたら、彼から否定もなかったので、もしかしたら‥‥(笑)。福岡選手のトライを目撃したファンは、彼の思い出として目に焼き付けてほしいと思います」

ジャック・コーネルセン ゲームキャプテン No.8

「この試合は、ディフェンスに非常にフォーカスを置いて臨みました。キヤノンさんはアタッキングなチームで、ピッチのどこからでも仕掛けてくることは予想していました。我々もディフェンスに自信を持って臨んで、そのディフェンスからボールを取り返したボールでアタックを仕掛けることができ、良いゲームができたと思います」

──前回、日本代表候補に入ったことの受け止めと、パナソニックの中でどのようなこと(役割も含め)を意識してプレーしているのか?

「日本代表スコッドに選んでいただいたのは非常に光栄に思っています。今年、選ばれることを目標にしてきましたが、時期尚早と考えます。目の前のパフォーマンスにフォーカスしてやっていきます。自身のパフォーマンスについては改善の余地は多々あると思います。まだまだ成長できると思っています。今日の試合を経て次の試合に向けて修正をしなくてはならない点は数あると思いますので、そこを修正して次の試合に臨んでいきたいと思っています」

──キヤノンのハイテンポな攻撃に対してディフェンスで一番気を付けていた部分と最も効果的であったと思う部分は?

「キヤノンさんはアタッキングなチームで、今日もそうした攻撃でくると予想をしていたので、チームとして規律ということを高く意識を持って臨みました。さらに相手のフォワードのフィジカルな部分に対して引かずに立ち向かっていけたことがディフェンスとして機能したと思います」

──福岡選手のトライでキヤノンのアタックの流れを寸断でき、自分達のポゼッションを高められたのでは?

「福岡選手はピッチの何処からでも得点を取ってくれる選手だと思っており、チームメイトとしても助かっています。彼はアタックだけではなく、ディフェンスにおいてもチームに対して大きく貢献してくれているので、彼の働きに感銘を受けています」

布巻選手(左)、松田選手

布巻選手(左)、松田選手

松田力也選手 SO

「ディフェンスから流れを作ってアタックにつなげようと試合に臨みました。その結果、前半は風もありキックを有効に使ってプレッシャーを与えることができ、自分達のラグビーができたと思います。後半は風下になって相手にペースを握られる場面も多くありましたが、皆で我慢してしっかりディフェンスができ、勝つことができて良かったと思います」

──対面が非常によく知る人で、個人的な司令塔勝負もあると思う。相手はパナソニックを研究してきている印象があったが、司令塔としてどのようにしてゲームを勝ちに持って行ったのか?

「対面であることは、あまり考えていません。チームをどうやって有効に進めるかを考えて試合に臨みました。前半は風上ということで、キックをうまく使って相手にプレッシャーをかけ、反則を得て自分達が得点する良い形ができたので、チームをコントロールできていたと思います。キックオフを研究され狙われて再獲得がなかなかできなかったのでプレッシャーを受けていました。しかし、全員が取られても自分達の強みであるディフェンスがあるという自信をもっており、パニックはなく、しっかりと臨めました。沢木監督を含めて良い戦術を作ってくることは試合前から分かっていたので、何が起こってもパニックにならずにしっかりコミュニケーションをとる練習はやっていました。試合中もできていたので、とくにパニックになることはありませんでした。

──相手キックに対するディフェンスで、自陣ゴール前などで処理をミスする場面もあったが、何故起きたのか? ピッチ上で滑る選手が多かったように見えたが、プレーしていてどうだったのか?

「キック処理に関しては、コミュニケーションもとれていたし、ただ少しの判断のところで合わずに、チャージされてしまったのでそう見えたのでしょうが、グラウンドの中ではコミュニケーションもとれていて問題はありませんでした。ミスボールで皆がフィフティ・フィフティのパスをしてしまって自分達にプレッシャーをかける場面があったので、そこはしっかりプレッシャーを他人に逃すのではなく、自分のものはしっかりキープするなど、反省して次に生かしたいと思います。ピッチは芝生も良く、気にはなりませんでした。むしろ最高の環境だと思います」

──今シーズンは10番で先発し続けたが、得たこと、全体的な手応えは?

「10番として試合の始めからゲームを作るということは意識しています。これまでリザーブからの出場が多く、リザーブでは試合を見てから入れる分楽でした。スタートから出るということは、相手の分析が準備していたことと違うとか、そういう部分で判断しなくてはなりません。落ち着いて冷静に周りとコミュニケーションをとる必要がありますが、それができるようになってきていると感じており、そこに手応えを感じています。自分自身もプレッシャーに負けずにプレーできるようになりたいと思っています」

布巻峻介選手 FL

「ベスト8となり、タフな試合になることは予想できたので、フィジカル的にもしっかりと準備をしました。キヤノンさんは、いろいろなアタックをしてくるので、それに対応してディフェンスから試合を作っていくことを意識しました。それでも何回かやられる場面もありましたが、試合全体を通すと比較的ディフェンスはできていたので、こうした結果になったと思います」

──前半17分頃、ジャッカルをゴール前で決めていたが、その時の手応えは? ブレイクダウンでの相手の反則が多かったと思うが、普段以上に心掛けていたことはあったのか?

「特に心掛けていることはありませんが毎試合、毎試合、ジャッカルのチャンスがあれば私だけではなく、全ポジションの選手がしっかり入れるようになっているので、それで良い結果が出たのではないでしょうか」

──ひとつのジャッカルでリズム、流れが変わると思うが、あのプレーを自身はどう評価しているのか?

「ボールを取れなかったら相手にチャンスを与えることになるので、良いところでボールを取れたと思う」

──キヤノンは多様なアタックを用意してくるチームだが、いやな感じなのか? やりがいがあるのか?

「いやな感じはありません。むしろやりがいを感じます。私達はディフェンスにプライドを持つ“ディフェンスのチーム”だと思っているので、いろいろなアタックをしてくるチームは楽しみです」

──キヤノンのアタックは、ある程度自分達が準備していた範疇だったのか? それ以上のものだったのか?

「準備の段階から過去の映像を観て対策をしますが、同じようにならないことを予想して準備をしてきました。今日起きたプレーは、事前に読んでいたわけではありませんが、練習の中でできていたのでうまく対応できたと思います」

── ディフェンスで相手の強いキャリーが並んでいるラインにもプレッシャーをかけ、相手のやりたいアタックをさせないようにしている場面があったが、どのあたりでプレッシャーをかけるとか、ディフェンスラインで念頭に置いていることは?

「いろいろな役割がありますが、タックルにいった一人目が相手を倒し、二人目がジャッカルやブレイクダウンでプレッシャーをかけ、しっかり時間を生んで三人目、四人目がブレイクダウンに入る判断を正しくすることで次のフェイズができると思う。闇雲にすべてジャッカルに行くのではなく、本当にチャンスが来た時に個人、個人が良い判断ができると、試合を通して全員が動ける状態でディフェンスができると思うので、それを目指してやっています。ディフェンスに自信があるからこそ、目の前のチャンスに直ぐに飛びつくのではなく、我慢することで後に良い結果が得られることを信じてペナルティをせず、ディフェンスすることを意識しています」

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