プレシーズンリーグ2015「見どころ情報」:“北の聖地”網走で光った新戦力

プレシーズンリーグ 2015 / トップリーグ 2015-2016「見どころ情報」

text by Kenji Demura

新トップリーグスター誕生の予感
“北の聖地"網走で光った新戦力

9月4日に開幕するジャパンラグビー トップリーグ プレシーズンリーグ2015。
毎夏、本格的なシーズンインを前に多くのチームが比較的気候の涼しい北海道東部で合宿を行い、多くの練習試合が組まれるが、今年も例外ではなかった。
8月8日には恒例となっている「網走ラグビーフェスティバル」が網走トレーニングフィールドで開催。トップリーグ所属の10チームが集結し、5試合の練習マッチが行われた。

今季は9月18日~10月31日までラグビーワールドカップ(RWC)2015があり、各チームは代表選手たちなしで9月4日~10月11日の「プレシーズンリーグ2015」を乗り切らなければならず、いつも以上に新戦力の動向に注目が集まった。

明大では主将を務めた神戸製鋼PR勝木(中央奥)。代表組不在の不安を払拭するスクラムワークを見せる
photo by Kenji Demura

今夏の網走で最も仕上がりの良さを感じさせたチームは神戸製鋼コベルコスティーラーズだったと断言していいだろう。
すでに8月3日にサントリーサンゴリアスとの練習試合に65-0と快勝していた神戸製鋼は、網走ラグビーフェスティバルの一環として行われた東芝ブレイブルーパス戦にも52-7で圧勝。
昨季、レギュラーシーズンを首位通過した神戸製鋼だが、「いまはちょっと群を抜いている感じがする」と平尾誠二ゼネラルマネージャーが認めるほどの順調な状態が続いている。

神戸製鋼と言えば、強力なセットプレーもチームの特長のひとつだが、強いスクラムの担い手である平島久照、山下裕史の両PRとHO木津武士は揃って日本代表としてイングランドでプレーするためにプレシーズンは不在となる公算が高い。
それでも、「いい競争ができているし、結束力も高まっている」(平尾GM)こともあって、セット面での不安はなさそうだ。
昨季、明治大学で主将を務めた新人の勝木来幸も前述の網走での練習試合(対サントリー、対東芝)で先発出場するなど、シーズンインしても確実な戦力として見込まれている。

また、パナソニック ワイルドナイツからSHイーリニコラス、NECグリーンロケッツからNO8イシレリ・ヴァカウタというすでにトップリーグでの実績を持つ2人が加入したのも確実な戦力アップにつながりそうだ。

すでに日本代表合宿に招集経験を持つLO小瀧。フィジカルを生かして東芝FWの核になることを目指す
photo by Kenji Demura

一方、網走では神戸製鋼に大敗を喫した東芝だが、こちらも長いシーズンに向けて細かい戦術面などは「まだ何もやっていない状態」(冨岡鉄平監督)であり、「若手の成長、シーズンに向けて体をつくるという点では順調にきている」という。

その神戸製鋼戦では、すでに日本代表合宿にも呼ばれた経験を持つLO小瀧尚弘(帝京大)、男子セブンズ日本代表の山本浩輝(筑波大)、U20日本代表NO8徳永祥尭(関西学院大)、WTB松岡久善(摂南大)という、大学ラグビーシーンを沸かせた期待の新人たちもプレー。
「最高の補強ができたので、どういうふうに組み合わせていくか。競争も激しくなっている」と、冨岡監督も新戦力に手応えを感じている。

9月4日開幕のプレシーズンリーグでは
ニューフェイスが上位進出の鍵を握る?

トヨタ自動車ヴェルブリッツもポジティブな変化の予兆を感じさせたチームだ。
網走ラグビーフェスティバルでのNECグリーンロケッツ戦、強力スクラムぶりは昨季までとはひと味違うヴェルブリッツを印象づけての快勝だった。
「トヨタのスクラムのイメージを払拭したいというのが夏合宿のテーマだった。印象を変えるという意味ではいいゲームをしてくれた」
そう手応えを語るのは監督就任1年目の菅原大志監督。
FWコーチに南アフリカ代表として80キャップを誇るピーター・オス・デュラントがチームに加わった成果は夏の時点で十分感じられた。
45-19で大勝したNEC戦ではやはり南ア出身のPRルアーン・スミスも先発出場。
「スクラムもいいプレッシャーを与えてくれたし、ボールキャリーもいい」と菅原監督も絶賛する活躍ぶりを見せた。
NEC戦では同じくPRの伊尾木洋斗(大阪体育大)、NO8タウファ オリヴェ(埼玉工大)、SH平野航輝(早稲田大)という新人もプレーした。

南ア出身でスーパーラグビーのフォースやブランビーズでのプレー経験を持つトヨタ自動車PRスミス(手前)
photo by Kenji Demura

トヨタ自動車にはスクラムで崩されたNECだが、その3日前の豊田自動織機シャトルズ戦は持ち味とも言えるタイトなゲームに持ち込んで14-5で勝利。
相澤輝雄総監督が「非常にいい。ラインアウトでも計算できる」と期待を寄せるFL大石力也(山梨学院大)、「体をしっかり張れる」(同総監督)SH木村友憲(流通経済大)、ケガから復帰したWTB竹中祥(筑波大)といった大学出身の新人もプレー。
さらに、日本代表SO/CTB田村優よりも「SOとしては上」と相澤総監督が高い評価を与えるサム・ノートンナイトがBK陣をリードする姿も印象的だった。

SOとしては日本代表で不在となりそうな田村よりも上との評価を受けるNECノートンナイト
photo by Kenji Demura

また、春夏のオープン戦で6連勝中のNTTコミュニケーションズシャイニングアークスは、PR佐藤勇人(早稲田大)、SH光井勇人(近畿大)、SO小倉順平(早稲田大)、CTB石橋拓也(慶應義塾大)といった大学時代から注目を集めていた期待の新人たちが網走でプレーした。
南アフリカ出身のLO/FL/NO8ヴィリー・ブリッツもコカ・コーラレッドスパークス戦でトライを奪うなど、早くもインパクトあるプレーぶりを見せている。

アタッキングラグビーを進化させたいNTTコムにとっては新人SH光井の球さばきもキーになる?
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一方、NTTコムに惜敗したコカ・コーラ(14-21=8月8日)だが、帝京大出身のLO町野泰司が先発出場し、「フィジカルも通用するし、レギュラー争いに絡んでくる」(山口智史監督)との評価を受けた。
また、スーパーラグビーのフォースから新加入したLOサム・ワイクスも「ウチにはない高さを補ってくれる存在」(同監督)として期待される。

コカ・コーラLO町野はフィジカルなプレーでレギュラー穫りを目指す
photo by Kenji Demura

リコーブラックラムズ-豊田自動織機シャトルズ戦(38-38=8月8日)では、PR眞壁貴男(立教大)、HO小池一宏(法政大)、CTB木上鴻佑(中央大、以上リコー)、HO村川浩喜(筑波大)、NO8竹内琢恭(近畿大)、SOブライス・ヘガティー、WTB徐吉嶺(前ヤマハ発動機ジュビロ)、FB山下一(筑波大、以上、豊田自動織機)といった新戦力もプレー。

サントリーサンゴリアスに、昇格チームであるHonda HEATがチャレンジした一戦では、PR森川由起乙、SH流大(以上、サントリー)、朴成基(Honda)の帝京大6連覇メンバーと共に、半井優太(法政大)、ビヨーン・バッソン(元南アフリカ代表)というHonda期待の両WTBも出場した。

厳しい夏を乗り切った新戦力がイキイキとしたプレーぶりで貢献するチームがスタートダッシュを成功する可能性が高いのは言うまでもないだろう。

チケット情報

「プレシーズンリーグ2015」及び「トップリーグ 2015-2016」の試合スケジュールについては、こちらのページをご覧ください。

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