●ファーストステージ第2節プレビュー
王者を圧倒した東芝は2週連続金曜ナイターでNTTコムと対戦
トヨタ自動車 - サントリー、神戸製鋼 - 近鉄など各地で好カード
開幕戦でパナソニックに快勝した東芝の快進撃は続くのか(写真は2戦連続出場のFB夏井) |
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ボールを動かすスタイルとなったNTTコムのアタックの中心となる南ア代表SOヤンチース。トリッキーなプレーに注目だ |
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パナソニックは開幕戦完敗のショックから立ち直り、本来の戦いぶりを取り戻すことができるのか(写真はHO堀江主将) |
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トヨタ自動車にとっては厳しい条件の中、力強い走りで開幕戦勝利に貢献した新人FB竹田など若手の活躍もサントリー戦の鍵に |
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開幕戦ではインサイドCTBに起用されたNECナドロ。SO田村(右から2人目)との硬軟ペアでヤマハ発動機DF翻弄を目論む |
開幕節では、いきなりディフェンディングチャンピオンのパナソニック ワイルドナイツが東芝ブレイブルーパスに敗れ、2季ぶりの王者奪回を目指すサントリーサンゴリアスもロスタイムの逆転劇で辛うじてコカ・コーラレッドスパークスに辛勝するなど、早くも実力伯仲の戦国リーグとなる予感を感じさせる熱い戦いが続いたジャパンラグビー トップリーグ 2014-2015。
8月29〜31日の3日間に渡って、北は北海道・札幌から南は九州・福岡まで、日本列島を縦断するかたちで5会場にて計8試合が行われる第2節も、今季の覇権争いを占う注目の対戦が目白押しだ。
前週に続き、東京・秩父宮ラグビー場では、金曜日に1試合、土曜日に2試合の計3試合が予定されている。
開幕戦で王者・パナソニックを圧倒。
「“今シーズンの東芝はやるんじゃないか”という期待を持ってもらえた」(冨岡鉄平ヘッドコーチ=HC)と、好スタートを切ることに成功した東芝は、2週連続で秩父宮でのフライデーナイトに登場。
やはり前節、秩父宮でFWの安定したセットをベースに宗像サニックスブルースのお株を奪うようなボールを動かす新しいスタイルを披露して会心のスタートを切ったNTTコミュニケーションズシャイニングアークスと対戦する。
昨季4戦4敗と圧倒され続けたパナソニックに対して、セットで優位に立ち、得意のドライビングモールからのトライも奪うなど、随所に“らしさ”を見せた東芝。
「勝因はフォワード」(冨岡HC)という一方で、ボールを効率的にスペースに運ぶ今季取り組んできたスタイルも機能し、何より全員が前に出てパナソニックのアタックを止め続けるなど、気迫も前面に出た会心のパフォーマンスを再び続けられるかが、第1のポイントとなる。
東芝はベテラン大野均に代わって、開幕戦で途中出場し、トップリーグ初出場ながら相手ボールのラインアウトをターンオーバーするなど存在感あるプレーぶりを見せた中田英里がLOに入る以外は前節と同じ14人が先発メンバーに並ぶ。
一方のNTTコムはCTB溝口裕哉主将が先発復帰。
前節、早くもトリッキーな動きで秩父宮をわかせた新加入のSOエルトン・ヤンチースと共にどんなゲームメークを見せるのか注目される。
両チームとも、第1節では東芝・小川高廣、NTTコム・西橋勇人の若いSHがゲームの流れを決定づけるトライを奪うなど活躍。さらに、東芝・大島脩平ゲームキャプテン、NTTコム・鶴田諒という本職はSHのWTB陣もキープレーヤーになっているなど共通点が多いのも興味を引く。
過去トップリーグでの対戦では東芝の3戦3勝だが、昨季はファーストステージを別プールで戦ったため、直接対決はなかった。
翌30日に秩父宮で行われるのは、パナソニック対クボタスピアーズ、キヤノンイーグルス対リコーブラックラムズの2試合。
奇しくも、開幕節で勝ち星を挙げられなかった4チームが集まることになる。
当然ながら、各チームともファーストステージで4位以内を確保するためには、開幕2連敗は絶対に避けたいところ。
開幕戦で東芝に力負けした王者パナソニックだが、HO堀江翔太主将は「最後の2分であきらめずにトライを取れたのは次につながる」と、点差を離されても、最後に自分たちのかたちに持っていけたことに関してはポジティブに受け止めている。
「チームで話し合って、ベクトルをひとつの方向にしていきたい」(同主将)
セットプレーやモール、ボールの動かし方など課題山積みだった開幕戦の内容をどう修正していくのか注目される。
尚、29、30日両日の秩父宮ラグビー場では「スプラッシュナイト!」と題されて、両チームの得点ごとにバックスタンドで放水が行われる予定だ。
札幌では熱戦必至のNEC - ヤマハ発動機
東京以外では、同30日には愛知・豊田スタジアムで2試合、兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場、福岡・レベルファイブスタジアムで各1試合、そして31日に北海道・月寒屋外競技場(ラグビー場=札幌)が予定されている。
豊田スタジアムでは地元愛知の豊田自動織機シャトルズとトヨタ自動車ヴェルブリッツが、それぞれ宗像サニックスとサントリーサンゴリアスを迎える。
第1試合は、共に開幕戦では持ち味を出し切れたとは言い切れなかった豊田自動織機と宗像サニックスのどちらが自分たちのペースをつかめるか、ある種サバイバルゲームの性格も持つ試合となる。共にアタック面に特徴のあるチームだが、持ち前の攻撃力を生かすためにも、セットプレーの優劣、そしてディフェンスでどちらが粘れるかなどもポイントになりそうだ。
前節では大雨の中、終止安定したパフォーマンスを見せたトヨタ自動車は、2季ぶりの王者奪還を目指すサントリーを迎えての今季初のホームゲームとなる。
「難しいコンディションの中、ディフェンスのリアクション良かったし、いくつかトヨタらしいラグビーも見せられた」と開幕戦に関しては廣瀬佳司監督も合格点評価。
昨季、2度の対戦とも50点近い失点を喫して大敗しているサントリーに対して、堅いディフェンスとSO文字隆也副将のエリアマネージメントでロースコアの戦いに持ち込みたいところ。
一方、前節、コカ・コーラの前に出るディフェンスに苦しんだサントリーにとっても、コカ・コーラ以上にフィジカルなトヨタ自動車のディフェンスをどう打ち破っていくのかは、今後のチームの伸びしろという意味でも重要になる。
トヨタ自動車PR高橋洋丞、FB竹田宜純、サントリーSH芦田一顕、FB松島幸太朗など、両チーム共に多く起用される若手がどんなプレーを見せるかも鍵になりそうだ。
神戸では共に開幕戦白星を飾った神戸製鋼と近鉄という関西の雄同士が激突。一方、福岡ではサントリーを追いつめたコカ・コーラがNTTドコモレッドハリケーンズを迎える。
また、北海道という地理的条件もあって、今節唯一のデーゲーム開催となる日曜日の札幌では、NECグリーンロケッツとヤマハ発動機ジュビロという、共に開幕節で持ち味を出して快勝を収めたチーム同士が対戦する。
(text by Kenji Demura)