●トップリーグ入替戦プレビュー
クボタ、コカ・コーラ、豊田自動織機に
釜石、九州電力、三菱重工がチャレンジ
FW戦でクボタとどれくらい戦えるかが、悲願のトップリーグ昇格を目指す釜石にとって鍵となりそうだ |
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コカ・コーラは九州電力との九州ダービーを制してトップリーグ残留を果たせるか(写真はLO豊田主将) |
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今季リーグ戦14試合中12試合で先発出場したCTB大西などベストメンバーと言っていい布陣で三菱重工相模原戦に臨む豊田自動織機 |
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現役最後の試合でS.ウィリアムズは三菱重工相模原のトップリーグ昇格に貢献できるか。九州電力は日本人だけでコカ・コーラ戦勝利を目指す |
2月14日、埼玉・熊谷スポーツ文化公園(県営熊谷ラグビー場)、福岡・レベルファイブスタジアム、愛知・名古屋市瑞穂公園ラグビー場の3会場でジャパンラグビー トップリーグ2014-2015入替戦3試合が行われる。
対戦カードはクボタスピアーズ対釜石シーウェイブスRFC(熊谷)、コカ・コーラレッドスパークス対九州電力キューデンヴォルテクス(レベスタ)、豊田自動織機シャトルズ対三菱重工相模原ダイナボアーズ(瑞穂)。
それぞれ勝ったチームが来季トップリーグで戦う権利を獲得することになる。
いずれの対戦にも共通するのは、トップリーグ勢が1ヶ月以上、実戦から離れているのに対して、トップチャレンジ組はその1ヶ月間にトップリーグ昇格を賭けた真剣勝負を3試合経験しており、挑戦者側のチーム状態が間違いなく上がっているということ。
下克上が起こりやすい条件は整っていると言っていいだろう。
特に、トップチャレンジ組3チームの中でも、厳しい実戦を続けることで、チーム力が如実に上がっていることを感じさせるのが、埼玉・熊谷でクボタと対戦する釜石。
トップイーストDiv1で2位になった後、トップチャレンジ2で大阪府警、中国電力に対していずれも10点差以内の勝利。その後トップチャレンジ1ではHonda HEAT、九州電力には敗れたものの、最終節ではトップイーストで12-24で敗れていた三菱重工相模原に対して27-26で勝利を収めている。
「失うものは何もない」(NO8須田康夫主将)と、勢いに乗ったまま、さらにギアを上げてトップリーグ入りを賭けた戦いに挑む。
「まずはディフェンスから」(同主将)というゲームプランで臨むことになるのも確かだろう
対するクボタはファーストステージでは勝ち点3差で5位となってセカンドステージでの上位グループ(グループA)入りを果たせず、セカンドステージでもわずか勝ち点1差でワイルドカードトーナメントに進出できないなど、不本意なシーズンとなった。
ファーストステージで東芝ブレイブルーパスを破り、ヤマハ発動機ジュビロにも引き分けるなど、ポテンシャルの高さは確かだが、グループBでの反則の多さがワースト3に入るなどディシプリンの部分や、終盤戦では後手に回るケースもあったブレイクダウンの部分をどう修正できているかが最大のポイントか。
レベスタでは熱き“九州ダービー”
瑞穂ではS.ウィリアムズ最後の勇姿?
福岡で行われる九州ダービーでの入替戦で2年ぶりのトップリーグ復帰を目指す九州電力も、トップチャレンジで調子を上げているチームだ。
トップチャレンジ1第1節では、終盤、三菱重工相模原の外国人選手にトライを重ねられて、引き離されたものの、第2節では釜石から4トライを奪って26-17で快勝、最終節ではトップリーグ昇格を決めたHondaに対して15-17と互角の戦いを繰り広げた。
「日本人だけでも本気でトップリーグを目指している」と平田輝志監督が語るとおり、外国人選手なしで入替戦にも臨む九州電力にとって生命線である「ロータックルと早いテンポ」(FL平田一真主将)という攻守の精度が上がっているのは、好材料だろう。
一方、相手が九州電力となり、地元のメリットを一方的には享受できない立場のコカ・コーラにとっては2年連続での入替戦。
昨年は辛うじて22-17で三菱重工相模原を退けているが、今年こそ「圧倒して」(LO桑水流裕策)、厳しいトップリーグで1シーズンを戦ってきたプライドを見せたいところ。
ちなみに、昨季のトップリーグでの両チームの対戦では、37-26でコカ・コーラウエストが勝利を収めている。
愛知・瑞穂では、2年連続で入替戦での僅差の勝負をものにできずにトップリーグ昇格を逃している三菱重工相模原が豊田自動織機に挑戦。
元ニュージーランド代表SOスティーブン・ドナルドがゲームをつくり、切り札の元ウェールズ代表WTBシェーン・ウィリアムズはリザーブスタートとなるが、三菱重工相模原としては終盤まで「緑の壁」(高岩映善監督)のディフェンス力によって僅差の勝負に持ち込み、今季での引退が確実視される名WTBが試合を決める走りを見せるような展開に持ち込みたいところだ。
一方、セカンドステージ最終節でNECグリーンロケッツに7-9で逆転負けを喫し、「正直、終わったと思った」(SH梅田紘一主将)と自動降格の危機に瀕しながらも、得失点差で入替戦に回れることになった豊田自動織機にとっては、「シーズンを通して課題だったブレイクダウンを修正して」(同主将)臨む、再度のサバイバルゲームとなる。
(text by Kenji Demura)