●ファーストステージ第3節プレビュー
サントリーが金曜ナイターで首都圏初お目見え
静岡(磐田)ではヤマハ発動機対パナソニック
前節早くもフル出場を果たし、トヨタ自動車戦勝利のキーマンとなったサントリーFLバーガー。激しく懐の深いプレーはさすが |
|
サントリーから移籍のWTB小野澤は欠場するが、NO8菊谷は3戦連続で先発出場。キヤノンFWの支柱となる働きを見せられるか |
|
FW戦に自信を持つヤマハ発動機はホームで打倒王者を狙う(写真はHO日野とフォローする FL三村主将) |
|
大阪では今季初白星を目指しリコーが近鉄と、NTTドコモがトヨタ自動車とそれぞれ対戦(写真は2戦連続SOでプレーのリコー・ボーク) |
|
福岡レベスタには宗像サニックス、コカ・コーラの九州勢が揃って登場(写真は宗像サニックスWTBヘスケス) |
開幕2節が終了し、2連勝がプールA、Bそれぞれ2チームで、逆に2連敗も各プール2チームずつ。それ以外の4チームずつが1勝1敗となっている今季のトップリーグ。
勝ち点差も最大で10ついており、スタートダッシュに失敗したチームにとっては、今節是が非でも結果を出さないと上位進出の可能性が限りなく少なくなってしまいかねない状況だ。
早くもサバイバルゲームの様相も見せ始めている第3節は、金曜日の東京での1試合以外は、いずれも土曜日の夕刻、東京、大阪、福岡、静岡での開催が予定されている。
3週連続となる東京・秩父宮ラグビー場でのフライデーナイターに登場するのは、プールBのサントリーサンゴリアスとキヤノンイーグルス。
2年ぶりの覇権奪還を目指すサントリーにとっては、第3節にして初の首都圏でのゲームとなる。
「ボールのインプレー、ゲームのスピード。僕が5年間見てきた中で一番悪い試合だった」
大久保直弥監督がそう評さざるを得なかったコカ・コーラレッドスパークスとの開幕戦を17-13で辛勝した後、前節のトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦ではフィジカルバトルを制しながら、我慢強くアタックを続けて13-10で勝利。
2試合続けて厳しい戦いをものにしたサントリーだが、内容的には「アタックのテンポなど、サントリーらしさという意味では良くなっている」(同監督)と、調子は上向きにある。
トヨタ自動車戦で復帰したSH日和佐篤、今回はスターティングからSOに入るトゥシ・ピシのハーフ団がどうテンポをつくっていくか。
開幕2戦目にして早くもフル出場を果たし、しっかりまわりとリンクしたプレーぶりを見せた南アフリカ代表FLスカルク・バーガーの圧倒的な存在感にも注目だ。
一方のキヤノンもトヨタ自動車との開幕戦では持ち味を出し切れずに16-23で敗れたが、前節では「トヨタ戦でできなかった我慢が要所要所でできていた」(和田拓主将)と、チーム全体で課題を修正して33-21でリコーブラックラムズを退けた。
リコー戦後、「(キヤノンカラーの)赤い選手が多かったように見えた」と選手の働きを讃えた永友洋司監督にとって、自らの出身チームであるサントリーは特別な思いを抱く相手でもあるだろう。
過去のトップリーグでの対戦では2戦2敗と敗れていることもあって、そろそろ一矢を報いたいところ。
今季サントリーからキヤノンに移籍したベテランWTB小野澤宏時はコンディションの問題もあり、メンバーから外れている。
福岡では九州勢が昨季上位陣にチャレンジ
サントリー − キヤノンの因縁の対決以外は、すべて土曜日開催となる。
中でも注目は第2節を終わって唯一勝ち点を二桁に乗せる完璧なスタートを切っているヤマハ発動機ジュビロが、王者パナソニック ワイルドナイツを迎える静岡・ヤマハスタジアム(磐田)での一戦(プールA)。
前節、札幌でNECグリーンロケッツをFWで圧倒して55-7という大差での勝利を収めたヤマハ発動機は、清宮克幸監督をして「修正点はない」と言わしめるほどの充実ぶり。
NEC戦でも試合開始早々の相手ゴール前でのPKからスクラムを選択してトライを取りきるなど、セットプレーを起点としたアタックに圧倒的な自信を持っている。FL三村勇飛丸主将は「パナソニックは去年スクラムで苦戦した相手。今回は圧力をかけていきたい」と、まずは自分たちの強みを前面に出して王者に真っ向勝負していくことを宣言している。
開幕戦で東芝ブレイブルーパスの気迫溢れるプレーに完敗スタート(26-39)となった王者パナソニックも、前節のクボタスピアーズ戦では前半だけで5トライを奪って早くも勝負を決めるなど復調モード。
「ゲームの中でのコンテストが良くなった」とロビー・ディーンズ監督が言えば、HO堀江翔太主将も「内で頑張るのか、外に残るのかなど、ロビーさんのやりたいラグビーを理解してきた」ことに手応えを感じている。
このヤマハスタジアムの大一番は単独開催だが、土曜日の残りの3会場はいずれもダブルヘッダーとなる。
東京・秩父宮の第1試合は、1勝1敗同士のNTTコミュニケーションズシャイニングアークスと豊田自動織機シャトルズの顔合わせ。
共に前節では開幕戦よりもいい内容のパフォーマンスを見せており、4強入りのためにもお互いに絶対に破っておきたい相手であることも確かなだけに、激しい一戦となりそうだ。
続く第2試合は、開幕2連勝の東芝と同2連敗のクボタの対戦(プールA)。
ここまでまさかの勝ち点0のクボタは、東芝にも敗れて3敗目を喫するようだと、早くも4強入りに黄色信号が灯る(昨季のクボタはファーストステージ4勝3敗ながら5位となりセカンドステージで上位グループ入りを果たせず)。
前節のパナソニック戦の最後の15分間で見せたような激しいプレーを前半から続けられるかが、2003-2004シーズン以来となる東芝戦勝利のポイントか。
大阪・キンチョウスタジアム(長居球技場)では、ここまで2敗のリコーブラックラムズとNTTドコモレッドハリケーンズが、それぞれ近鉄ライナーズ、トヨタ自動車相手に初勝利を目指す(共にプールB)。
地元九州勢が昨季の上位陣にチャレンジする福岡・レベルファイブスタジアムでの2試合も熱い戦いが期待できそうだ(宗像サニックスブルース対NECグリーンロケッツ=プールA、コカ・コーラレッドスパークス対神戸製鋼コベルコスティーラーズ=プールB)。
(text by Kenji Demura)