10節 マッチサマリー(ヤマハ発動機 28-35 近鉄)

ヤマハ発動機ジュビロ 28-35 近鉄ライナーズ
【week10/2012年12月8日(土)/静岡・ヤマハスタジアム】

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息詰まる終了間際の攻防、ヤマハ痛恨のパスミスで近鉄が勝利

前節東芝戦に敗れ、リーグ4強に残るためには負けられないヤマハ発動機ジュビロと、前節リコー戦に勝ち、勝敗を5分にしたい近鉄ライナーズとの対戦が、12月8日、ヤマハスタジアムで行われた。
今冬一番の寒さと風の強い厳しいコンディションだったが、熱烈な4,951人の観衆が見守る中、最後の最後まで手に汗握る熱い試合が繰り広げられた。

試合は近鉄のキックオフで始まった。ヤマハが攻撃を仕掛けるも、相手の好ディフェンスにゲインラインを突破できず、ペナルティを繰り返す。逆に近鉄は風上の有利な条件を利用し、試合を優位に進める展開となった。

試合が動いたのは前半7分、近鉄13番CTB大西が敵陣22mゴール正面からのPGを決めて先制する。
しかし、ヤマハも15分に敵ラインアウトのボールを奪い取り連続攻撃、最後に5番LOトーマス優デーリックデニイが右中間にトライ、15番FB五郎丸のゴール成功し逆転する。20分に近鉄13番CTB大西が敵陣10mゴール正面からの長いPGを決め、点差を詰める。そして28分に敵陣22mでのスクラムからBKが右に展開し、最後は14番WTBリコ・ギアがゴール右隅にトライし逆転する(ゴール失敗)。
さらに31分にはヤマハ15番五郎丸のダイレクトタッチで得たラインアウトからの連続攻撃で7番FLタウファがゴール右にトライし(ゴール成功)、点差を広げ前半が終了した。

後半に入り、風上に立ったヤマハは試合を優位に進める。2分、7分と15番FB五郎丸が確実にPGを決め、点差を5に詰める。近鉄は10分に13番CTB大西がPGのチャンスを得るも風の影響で失敗する。
さらにヤマハは、16分に15番FB五郎丸が敵陣真ん中40mからのPGを決め、点差を2点に詰める。近鉄も20分に13番CTB大西がPGを決め、5点差に戻す。
しかし22分にヤマハは相手のキックをキャッチした15番FB五郎丸のカウンターアタックから左に展開、11番WTB徐がライン際を快走し、最後はフォローした5番LOトーマス優デーリックデニイが左中間にトライ。ゴールは失敗するも21-21の同点に追いつく。

追いつかれた近鉄は、33分にペナルティで得たラインアウトからの連続攻撃から、最後は10番SO重光がゴールポスト中央にトライし(ゴール成功)再度リードした。しかし、ヤマハも残りわずかとなった36分に11番WTB除が再びライン際の快走から、サポートした5番LOトーマス優デーリックデニイが22mからBKのような走りを見せ、左中間にこの試合3つ目のトライ。ゴールも成功しヤマハは土壇場で28-28と再度同点に追いつく。
双方譲らぬ熱い試合の展開に、スタジアムは大きな歓声に包まれた。

両チーム最後の力を振り絞った攻防の中、ペナルティで得た近鉄の攻撃中に試合終了のホーンが鳴る。ヤマハのゴール前で必死の攻防が続くが、42分に近鉄が痛恨のペナルティを犯す。
ここでヤマハは一発逆転の勝ち点4以上に望みをかけて自陣ゴール前からアタックを仕掛けるが、そこで致命的なパスミス。近鉄キャプテン15番FB高が奪い、再度の連続攻撃。最後は10番SO重光がゴールポスト右にトライ、ゴールも13番CTB大西が確実に決め、試合は近鉄の勝利で決着した。

歓喜に沸く近鉄フィフティーンとファン、グラウンドにへたり込むヤマハフィフティーン、最後の攻防が決した瞬間歓声が大きなため息となってヤマハスタジアムを包んだ。今日の敗戦は通常の1敗以上にダメージの大きなものとなるだろう。
近鉄はこの勝利で5勝5敗のタイに持ち込み、勝ち点も最後の決勝トライで勝ち点5をゲットした。逆にヤマハはこの日のホームゲームでの敗戦により、リーグ4強の争いで非常に厳しい状況となった。

この日のマン・オブ・ザ・マッチは、決勝のトライを決めた近鉄10番重光が受賞した。

会見ダイジェスト
ヤマハ発動機ジュビロ
清宮監督(右)、笠原キャプテン
清宮監督(右)、笠原キャプテン

■ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸監督

「今日は勝利が必要だった試合。久しぶりに選手に腹が立った試合だった。持っているものを出せないという試合内容でした」

笠原雄太キャプテン

「ホームで敗戦して非常に悔しい」

──持ち味が出せないとは、どのあたりが?

清宮監督
「前半から反則が多く、ゲームマネジメントできなかった。後半の勝負どころで必要のないプレーを繰り返した。特に、ゲームメイクするプレーヤーがレベルの低いプレーを繰り返した。そういうところです。
寒い中たくさんきていただいたのに勝利で応えられなくて悔しいです。今シーズンここではサントリー戦がありますけども、予定ではサントリーに勝ってベスト4という試合がしたかったです。次戦プライドをかけてがんばる。ファンの方々にまた会場に来ていただくようお願いしたいです」

──風下でのスタートはどのような経緯で判断を?

笠原キャプテン
「こちらが風下を選びました」

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近鉄ライナーズ
前田監督(左)、高キャプテン
前田監督(左)、高キャプテン

■近鉄ライナーズ
前田隆介監督

「遠いところまで応援に来てくれたファンに感謝します。今日はどんな内容でも勝つゲームをして帰ろうと思った。強風の中、うまく対応した選手に感動しています。
まだリーグ戦は続きますので、以後もしっかり準備して迎えたいと思います。本日はありがとうございました」

高 忠伸キャプテン

「勝ってよかった。こういうゲームもあるんだなと率直に思います。うれしさと驚きと。最後まで80分通して集中していこうということを、全員が守ってくれたことがありがたいと思うし、そういうゲームができてよかったと思います」

──うれしさと驚きとおっしゃっていましたけど、驚きとは?

高キャプテン
「最後のこういう終わり方。うちにほとんどチャンスがない状態で転がってきたことに対してで、なかなか経験できないです。最後の1分は特別なゲームとなったと思います」

──同点で最後のホーン、そこから勝ちにいくことで風下とアウェーだがその辺の判断は?

前田監督
「後半向かい風だったのでキックしても陣地が取れないので、自陣からボールを継続してアタックしていこうと。ただそれで逆にいいディフェンスされてペナルティを重ねられて点差を縮められたというのは後半の立ち上がりがまずかった。
同点の状況で最後はボールを繋ぎきった。相手ターンオーバーがあり、それをまた奪い返したというシチュエーションで、集中力は最後の最後まで切れなかったのがよかった。
後半の風の中、選手たちは最後のトライまでしっかりした集中力を持っていてくれたと思います」

──風上で11点リードのスコア差の心境は?

高キャプテン
「特別気にしていない。強風で風上という認識はないし、風も舞っていた。風もあってやっている選手はリードしているとは特別思わなかったと思います」

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