ジャパンラグビー トップリーグ2014-2015は1月11日に行われたセカンドステージ第7節8試合をもって、リーグ戦を終了。
1月24、25日の両日には、セカンドステージのグループAの上位4チームによる今季のトップリーグ王者を争う「ジャパンラグビー トップリーグ プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015」セミファイナルが開幕する。
13日には、4強入りを果たした神戸製鋼コベルコスティーラーズ(セカンドステージ1位=勝ち点29)、パナソニック ワイルドナイツ(同2位=勝ち点29)、東芝ブレイブルーパス(同3位=勝ち点28)、ヤマハ発動機ジュビロ(同4位=勝ち点27)の各監督・ヘッドコーチ、キャプテンが集い、「ジャパンラグビー トップリーグ プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015」開催発表記者会見が行われた。
「本当にタフなコンペティションだった。それは、最終節までパナソニック以外のプレーオフ進出チームが決まっていなかったことからも明らかだ。プレーオフに勝ち残った4チームはいずれもレベルが高く、シーズンを通して素晴らしいラグビーをしたチームばかり」
レギュラーシーズンのリーグ戦を1位通過した神戸製鋼のギャリー・ゴールドヘッドコーチがそう語ったとおり、まれに見るデッドヒートとなったトップリーグ2014-2015レギュラーシーズン。
実際、セカンドステージグループA 1位から5位にはいずれも5勝2敗のチームが並び、5位となったサントリーサンゴリアスはわずかにボーナスポイントの差「1」だけでプレーオフ進出を逃すという激戦だった。
そんな厳しい戦いを経てLIXIL CUP 2015に勝ち残っただけに、どのチームが日本ラグビー2014-2015年シーズンの頂点を極めてもおかしくないほど、実力は拮抗していると言っていい。
壇上に顔を揃えた4人の指揮官とスキッパーたちは、自分たちの今季の戦いぶりや対戦相手のことをどう見ていて、プレーオフではどういうゲームプランを思い描いているのか。
対戦カードごとに、記者会見での発言を紹介すると、以下のようになる。
◎ギャリー・ゴールド 神戸製鋼ヘッドコーチ
「3週間前にヤマハ発動機と対戦した時も本当にタフな試合だった。間違いなくクロスゲームになるだろうし、そこを勝ち抜くには、自分たちにとって重要な部分でしっかりプランどおりにチーム全体がプレーできるかどうか。まだまだ進歩していく必要がある」
◎清宮克幸 ヤマハ発動機ジュビロ監督
「やっとこの舞台に戻ってこられた。チームとしては8年ぶり。私がこのチームに携わって4年。『この舞台に立つために』。これは、普段の練習から常に言葉にしていた。『そんなんじゃトップ4に勝てないぞ』というのを自分たちを鼓舞する言葉として使ってきて、やっとこの舞台に立てる、資格を得るところまできたというのが我々の現状。
伸びしろは我々が一番と自負している。
神戸製鋼との前回の対戦は完敗。試合後の会見では『これくらい気持ち良くやられたら悔しくも何ともない』と答えたくらい。
ただ、2回目はそうはいかない」
◎橋本大輝 神戸製鋼主将
「トップリーグ創設時以来、優勝から遠ざかっているので、今年こそ、1年間やってきたことをぶつけて優勝目指してがんばっていきたい。
我々の強みをひとつ挙げるとすれば、春からフォーカスしてやってきたディフェンス。このディフェンスを80分間、規律を守って自分たちのスタンダードを出すことができれば、自ずと結果はついてくると思っている」
◎三村勇飛丸 ヤマハ発動機主将
「プレーオフでは自分たちのやってきたことを信じて、セカンドステージで神戸製鋼に負けているので、しっかりリベンジする気持ちを持ち、チャレンジャーとしての気持ちを忘れずにしっかりと戦いたい。
我々の強みはセットピース。スクラムとラインアウト。シーズン終盤、FW中心に自分たちの力を出しきる方向で戦い、チームはまとまっている」
尚、会見途中には、今季での退任が確実視される神戸製鋼のゴールドHCに対してヤマハ発動機・清宮監督が「これまで素晴らしい思い出ばかり日本で築かれていると思いますが、少し苦い思い出を持って帰ってもらおうと思っています」と宣言、ゴールドHCも「日本の思い出は素晴らしいものばかり。最後に印象が変わるようなことが起きるとは思わない」と、応えて、会場を沸かせる場面もあった。
◎ロビー・ディーンズ パナソニック監督
「ここに勝ち上がってきたチームの中に戦いやすいチームなど存在しない。特に、東芝と我々との対戦には長い歴史がある。昨シーズンもそうだし、今シーズンもそう。
両チームとも、次の対戦がまた新たなスタートであることを理解しているだろうし、間違いなく何かしらのドラマが生まれるはずだ。
東芝の選手たちはビッグゲームの経験が豊富な選手が多い。強くて、ボールキャリーができる選手にも注意が必要になる」
◎冨岡鉄平 東芝ヘッドコーチ
「初戦でパナソニックと戦えることを光栄に思っている。
前の日に行われる神戸製鋼 - ヤマハ発動機の勝者のことは一切考えていない。まずは、パナソニックに対して、最良の準備をして、最も東芝のアイデンティティを示せる試合ができるように、しっかり準備をして、勝ち上がっていきたい。
パナソニックは攻守の切り替えの部分では日本でナンバーワン。相手のディシジョンメーカーが気持ちよくラグビーをしているようでは勝てないので、どう手を打って対抗していくか考えたい」
◎堀江翔太 パナソニック主将
「今季、東芝には2戦して2回負けている。最後にもう一度対戦して勝ちたいと思っていたので、東芝とできて光栄に思う。相手はパナソニックとやるときは、特別に凄い情熱を向けてくる。その情熱に負けないように、しっかりとチームに情熱を持たせられるように働きかけて、何とか東芝さんに勝ちたい。自分たちは判断力にフォーカスしているので、上手に判断力を見せられたらいい」
◎東芝 森田佳寿主将
「(今季の)トップリーグが始まる前に、東芝がこの3つのポイントで全16チームの中で日本一になりたいということを書いた。『個の力、方向性、精神性』。この3つを高めるべくリーグ戦を戦ってきた。日本一を獲得するに相応しい3つの力を備えている。それが、我々の強み」
尚、同記者会見には、特別協賛社である株式会社 LIXIL 日本マーケティング統括部イベント推進部 石橋和之部長も出席。
「私たちLIXILは『優れた製品とサービスを通じて世界中の人々の豊かで快適な住生活の未来に貢献します』という企業理念を掲げています。
『One For All, All For One』という言葉が表すチームプレーの絆、『No Side』という言葉が表す清廉なスピリットに共感、感動を得て、冠協賛をさせていただく運びとなりました。
上位4チームが集結し、戦う、日本最高峰の大会を盛り上げさせていただくことで、今後の国際大会への良い流れをつくり、日本ラグビーの発展に貢献させていただければと期待しています」との、LIXIL CUP創設に至った理念や経緯などに関する説明があった一方、実際にファイナルを勝ち上がったチームに授与されるスポンサー杯LIXIL CUPもお披露目された。
「ラグビーの力強さと、権威ある大会の勝者をイメージ」したという高さ約55センチ、重さ約15キロの青磁製。ニューヨークやパリ、スイスなどでも個展を開くなど国際的に活躍する陶芸家である吉川正道先生によって新たに製作された同杯が、ジャパンラグビー トップリーグ プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015覇者に手渡されることになる。
text by Kenji Demura