プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015セミファイナル見どころ(2) 1/24

プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015

ジャパンラグビー トップリーグ プレーオフトーナメント
LIXIL CUP 2015
セミファイナルプレビュー【2】

神戸製鋼コベルコスティーラーズ vs ヤマハ発動機ジュビロ
1月24日(土) 14:00 大阪・近鉄花園ラグビー場
直前プレビュー

CTBフーリー欠場、SHエリス先発の神戸製鋼
ヤマハ発動機は不動メンバーでリベンジ目指す

リーグ戦1位通過の神戸製鋼コベルコスティーラーズと、同4位のヤマハ発動機ジュビロ。
両者は12月21日にセカンドステージ第4節で対戦。新人ながらいきなりトップリーグのトライ王に輝いたWTB山下楽平の2トライなど、計5トライを奪った神戸製鋼が40-10で快勝している。

奇しくも両チームにとってシーズン終盤に向けてのターニングポイントとなったのが、1ヶ月前の直接対決だった。

前回同様、FL橋本主将を中心に規律ある組織力でヤマハ発動機のパワフルなFW力を上回るインテリジェンスな戦いをしたい神戸製鋼

神戸製鋼は同・第3節でパナソニック ワイルドナイツに惜敗。試合後ギャリー・ゴールドヘッドコーチが「18年間、ラグビーコーチとして指導にあたってきたが、今日ほど怒りを感じた試合はない」と記者会見で発言するなど、やや精神的に厳しい状況に追い込まれた面もあったが、翌週のヤマハ発動機戦で「今シーズンの中でも最も難しい試合のひとつだったが、インテリジェンスを感じさせる戦いができた」(同HC)という落ち着いた試合運びを見せて完勝。チームとしてワンステップ上に上がったことを印象づけて、そのまま最終節まで勝ち続けて首位通過でのLIXIL CUP 2015進出を成し遂げた。

その前回の対決での先発メンバーから、神戸製鋼は3人を入れ替えて、ヤマハ発動機との再戦に臨む。
何と言っても大きいのは、BKの要と言っていいCTBジャック・フーリーの欠場。さらにSH佐藤貴志の故障もあって、元NZ代表SHアンドリュー・エリスが先発に回り、元日本代表の今村雄太がCTBで先発する他、NO8には1ヶ月前は出場停止処分中だった谷口到が入る。

「我々の強みをひとつ挙げるとすれば、春からフォーカスしてやってきたディフェンス。このディフェンスを80分間、規律を守って自分たちのスタンダードを出すことができれば、自ずと結果はついてくると思っている」
FL橋本大輝主将がそう語る、今季の神戸製鋼の快進撃を支えてきた組織的守りやディシプリンという部分に関してメンバー変更が、どう影響するのか。
前回同様、ヤマハ発動機の強力FW陣のパワープレーを抑えられた時、神戸製鋼の初のファイナル進出が見えてくる。

一方、1ヶ月前に「これくらい気持ち良くやられたら悔しくも何ともない」(清宮克幸監督)という完敗を喫したヤマハ発動機は、その敗戦により4強入りへ黄色信号が灯る現実に直面したが、その後の最終3節でトヨタ自動自動車ヴェルブリッツ、東芝ブレイブルーパス、パナソニック ワイルドナイツからそれぞれ4トライを挙げての勝利を収めて、8季ぶりに4強に滑り込んだ。

「シーズン終盤、自分たちの武器である五郎丸さん(歩=FB)のキックに頼らず、FW中心に自分たちの力を出し切るということでチームはまとまった」(FL三村勇飛丸主将)

他の4強チームに比べて、「選手層が薄い」との自己分析をするヤマハ発動機の清宮克幸監督だが、実際、セミファイナルの先発メンバーを1ヶ月前と比較すると、変わっているのは小池善行に代わって矢富勇毅が先発するSHのみ。
しかも、第5節のトヨタ自動車戦以降は矢富も含めて15人が不動で、確かにこれは他の3チームにはないこと。
「ほとんどメンバーが変わらないでシーズン通して乗り切ってきている。それは、メディカルやストレングスなど、関係スタッフの努力の賜物。レスリングトレーニングも4年間やってきた。そういうものが噛み合って、今回トップ4が取れた」(清宮監督)

3週間前の東芝戦では後半20分までに29-7と大きくリードしていたものの、その後6人のメンバー入れ替えをしたところ、最終的には1点差にまで追い上げられた。
続くパナソニック戦での後半20分時点でのリードは13点だったが、入れ替え時間を後半35分にまで延ばし、26-18で逃げ切ったものの、7人を入れ替えた後の39分にはやはりパナソニックにトライを奪われている。
「トーナメントは本当に安全セーフティなところじゃないと、入れ替えはできない。それが層が薄いということ。
前回負けているほうが楽。勝ったチームは次の試合で変われない。こちらは変われる。常に勝負ごとはそういうもの」(清宮監督)

神戸製鋼戦の悔しさを抱える不動のメンバーが1ヶ月前とは違う姿を見せて、「これからは、負けたら終わりなので、そこはしっかりスクラムなのかラインアウトなのか、ショットなのか判断していきたい」(FL三村主将)というLIXIL CUP 2015仕様の戦いも意識しながら、先行していく展開に持ち込みたいのは間違いないところだろう。

text by Kenji Demura

CTBフーリーが不在の神戸製鋼は元NZ代表SHエリスが先発。9月6日のコカ・コーラ戦以来今季2度目のスターティングとなる
清宮監督もイチ押しの急成長株LOクリシュナンやFL三村主将など不動のメンバーで神戸製鋼へのリベンジを狙うヤマハ発動機