1日、東京・秩父宮ラグビー場で「ジャパンラグビー トップリーグ プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015」ファイナルが行われ、計4トライを挙げたパナソニック ワイルドナイツが30-12でヤマハ発動機ジュビロに勝利。
昨季に続いて2連覇かつ三洋電機時代も含めて3度目となるトップリーグ制覇を果たした。
晴天に恵まれたものの、強い北風が吹き付けた秩父宮ラグビー場。
試合のすう勢を決める場面はキックオフ直後に早くも訪れた。
試合のサイドを決めるトスに勝ちながら、あえて風下を選択したヤマハ発動機だったが、相手のハイパントを大黒柱FB五郎丸歩が処理ミス。
いきなりヤマハ発動機陣22m内で組まれたファーストスクラムが崩れてパナソニックにPKが与えられる。
ヤマハ発動機がスクラムを崩したという判定だった。
このPGをパナソニックSOベリック・バーンズがゴールポストに当てながら決めて先制。
3週間前のセカンドステージ最終節での対戦では、パナソニックがスクラムで反則を取られて流れを失う面もあったが、今回はいきなり立場がひっくり返ったかっこう。
ファイナルでのヤマハ発動機との再戦のため、「目には目を」(HO堀江翔太主将)でスクラムでの対応を考えたというパナソニックにとっては、手応えを感じるスタート。
一方、「セットプレーではヤマハが上回っている。その強みをしっかり出していく」(清宮克幸監督)つもりでいたヤマハ発動機にとっては、いきなり出鼻をくじかれるかたちとなった。
それでも8分には、「シーズン終盤からFWで攻めてトライを取って勝ち続けてきたので、迷いはなかった」(三村主将)というヤマハ発動機が、敵陣深くの PKでPGを狙わずにFWがモールで攻めて、NO8堀江恭佑がトライを奪って逆転。
ただ、「ブレイクダウンで優位に立てず、球出しが遅れた」(同主将)というヤマハ発動機のアタックがなかなかパナソニックDFを破れなかったのに対して、王者は一気の攻めでトライを取り切る決定力を見せつける。
11分に敵陣深くのラックから出たボールをSOバーンズが逆サイドにキックパス。CTB霜村誠一が拾い、WTB北川智規にパスを通してパナソニックが再逆転した後、22分にはハーフウェイ付近でパスをもらったWTB山田が大きくゲインしてゴールに迫った後、「内からのコールがあった」(山田)という声に反応して、インゴールに蹴り込んだボールをバーンズが押さえて2トライ目。
28分にも、昨季のプレーオフMVP山田がヤマハ発動機DFを切り裂くトライを決めるなど、パナソニックのハーフタイム時点での得点は23。
一方、33分にWTB中園真司がトライを加えたヤマハ発動機の前半の得点は12。
前半あえて風下をとったヤマハ発動機にとって11点ビハインドでの折り返しは「想定内」(清宮監督)だったが、「みんなを信じてワークレートを高めた」(CTB林泰基)というパナソニックの守りを最後まで崩せず、後半は無得点。
逆に、試合終了4分前にWTB北川智規がこの日2本目となるトライでダメを押したパナソニックが最終スコアを30-12にまで広げてLIXIL CUPを手にすることになった。
主力が負傷のため試合途中で次々に退き、最後は控えのSH内田啓介がWTBのポジションに入るなど総力戦で戦わざるを得なかったパナソニックだが、「ヤマハのアクセスポイントを潰し続けたディフェンス力は素晴らしかった。チームが固い絆で結ばれている証拠だと思う」と、ロビー・ディーンズ監督も納得のパフォーマンスを見せて、2年連続でトップリーグの頂上を極めた。
text by Kenji Demura